吉祥寺がクセになる理由。 サステナブルな街に進化中!【吉祥寺】人も地球も喜ぶサステナブルなお店4軒 FOOD 2021.04.19

吉祥寺好きに話を聞くと「あのお店にも寄っていきたい」「あの人にも会って話したい」…と気がつけば吉祥寺から離れられなくなってるみたいだ。ただ「好き」というのだけとは違う、足を運ぶほどに虜になってしまうこの感覚を味わえる吉祥寺には、「クセになる」という言葉がぴったり。吉祥寺をこよなく愛する人たちに教えてもらった、クセになる理由。今回は、サステナブルな取り組みをしているお店をご紹介します。

1.生活につながる市民活動をパン屋を通して発信する。〈木曜パンの日(HatWork)MIDOLINO_〉

武蔵野市緑町にあるレトロな商店街には、多くの人が協力しあうシェアキッチン〈MIDOLINO_〉がある。そこで「木曜パンの日」として国産小麦・天然酵母のパンを作っているのが〈HātWork〉の坂口夫妻だ。2人は長年のあいだ国際協力NGOやフェアトレード団体など、地域の様々な市民活動に関わってきた。お店で扱うパンの食材やフェアトレード雑貨は、活動で出会った生産者さんの手によるものだ。

【POINT】
・シェアキッチンで育む地域コミュニティ
・フェアトレード雑貨とおいしいパンを販売
・市民活動を続けてきた夫妻が手がけるお店

〈木曜パンの日(HatWork)MIDOLINO_〉
■東京都武蔵野市緑町1-5-20
■090-8478-6026
■10:30~19:30 *木曜のみ営業

2.熊本食材を食べて地域復興をサポート。〈ZENON SAKABA(ゼノン サカバ)〉

〈ZENON SAKABA〉はもともと熊本地震の復興支援をきっかけにオープンしたお店。代表の地元でもある熊本の食材を直接仕入れることで、地域へのサポートを行っているそう。また、普通なら殺処分されてしまう雄牛の肥育に成功した農家さんと取引し、東京で唯一ジャージー牛が食べられる。10食限定のローストビーフ丼はオープンと同時に完売することもあるそうなので、楽しむには早めに行ってみて。

【POINT】
・熊本地震の復興を支援しているお店
・ジャージー牛を扱うお店は東京でここだけ
・出版社運営のためコミックとのコラボも

〈ZENON SAKABA(ゼノン サカバ)〉
■東京都武蔵野市吉祥寺南町2-11- 1
■0422-27-2275
■11:30~23:00(日~22:00) *年末年始休
■120席

3.スリランカの茶園と築くパートナーシップ。〈カレルチャペック紅茶店 吉祥寺本店〉

吉祥寺で長く愛される老舗の紅茶店〈カレルチャペック紅茶店〉。スリランカのルンビニ茶園と日本独占契約を結び、直接取引を続けてきたからこそそろう新鮮な紅茶たちは、香り豊かで本当においしい。ルンビニ茶園は世界遺産の森林に囲まれた場所で、自然環境や労働環境の保護に力を入れているため、共に事業団体を立ち上げて協力しあっているという。季節によって様々なフレーバーが登場するので、ぜひ一度お試しを。

【POINT】
・スリランカのルンビニ茶園の新鮮な茶葉
・自然環境・労働環境に配慮した取り組み
・吉祥寺産の蜂蜜と紅茶をセットで買える

〈カレルチャペック紅茶店 吉祥寺本店〉
■東京都武蔵野市吉祥寺本町2-17-5
■0422-23-0488
■11:00~19:00 *水休(水が祝の場合は営業)

4.地域の人々と連携してフェアトレードを推進!〈パタゴニア 東京・吉祥寺〉

〈パタゴニア〉の吉祥寺ストアは、武蔵野市のフェアトレードタウン認定を目指すコミュニティ「フェアトレードむさしの」に参加するお店。「コミュニティスタンド吉祥寺」などを通して街とのつながりを深めながら、消費の在り方について考え、地域にはたらきかけている。リサイクル原料を使用したアパレルはもちろん、最近ではオーガニック食品「プロビジョンズ」のラインナップも充実。おいしく健康的に、環境再生のサポートができる仕組みがうれしい。

【POINT】
・地域のお店と連携してフェアトレードを推進
・消費の在り方を考え直す店舗づくり
・オーガニック食品のコレクションがそろう

〈パタゴニア 東京・吉祥寺〉
■東京都武蔵野市御殿山1-5-6
■0422-70-5613
■12:00~19:00、土日11:00~18:00 *第3水休

都市とサステナブルをつなぐ吉祥寺の可能性。

「吉祥寺って実はサステナブルな街なんです」。そう話してくれたのは、都市養蜂家として吉祥寺エリアで養蜂を行う金子裕輝さん。IT企業の営業から養蜂家に転身したのは、農作物の受粉を促し循環させるミツバチの生態にサステナブルな魅力を感じ、強く惹かれたから。吉祥寺のように農薬の影響を受けにくく蜜を集められる植物が豊富な都市は、実は養蜂に向いているのだそう。金子さんの手がける蜂蜜ブランド〈バランス〉の「さとまち吉祥はちみつ」は、吉祥寺産の蜂蜜として地域のマルシェや取扱店で人気を集めている。

「やっぱり駅のすぐ近くにあれだけ大きな公園がある街っていうのはなかなかないです。井の頭公園は植物も昆虫も野鳥も多様性があって、僕が吉祥寺で養蜂をやり始めた理由もこの環境の良さが大きい。井の頭公園の池の水を抜いて水質改善や生態系の回復を促す〝かいぼり〞を市民中心で取り組んでいたり、環境活動へのエネルギーも強いです」養蜂を通じてコミュニティを広げ、環境問題に取り組む「吉祥寺ハニカムプロジェクト」や、ローカル&サステナブルをテーマにしたマルシェ「コミュニティスタンド吉祥寺」も主宰する金子さん。そこで価値観を共有する吉祥寺のショップオーナーたちと出会い、独自のコミュニティを育んできた。

そんな金子さんに、吉祥寺エリアの「サステナブルなお店」を聞いてみた。「まずは〈パタゴニア〉。リサイクル素材のアパレルはもちろん、最近では環境への貢献や再生につながる農作物を使ったオーガニック食品にすごく力を入れているんです。吉祥寺をフェアトレードタウンにするための取り組みも吉祥寺ストア独自で行っています。それから、シェアキッチン〈MIDOLINO_〉で木曜日に出店している〈HātWork〉。フェアトレードや地域支援のNPOなど、長年さまざまな市民活動をされてきた坂口さん夫妻が、素材にこだわったパンとフェアトレード雑貨を売っています。スリランカの紅茶を直接輸入している〈カレルチャペック〉や、熊本地震の復興のために熊本の野菜や牛肉を提供している〈ZENON SAKABA〉では、僕の蜂蜜も取り扱ってくれています。それぞれ環境や地域のことを考えた産地選びを継続的に行っているお店なので、ぜひ知ってほしい。こうしたお店の方々と一緒にコミュニティを作り、アクションを続けていくことも、僕にとってのサステナブルなんです」私たちが何かを買ったり、食べたりすることは、実はとても社会的なこと。お店選びにもサステナブルな視点を取り入れてみれば、きっと吉祥寺の街がもっと好きになるはず。

金子さんの考えるサステナブル。

①地域とのつながり
「コミュニティを広げて有機的なつながりを作っていくことで、サステナブルな活動が一過性のものじゃなく、大きな動きになるはず」

②フェアトレード
「途上国との国際協力だけじゃなく、国内でも地域による格差をなくしたり、街を活性化させるような取り組みが必要だと感じます」

③自然環境への配慮
「環境破壊による災害の影響はどんどん身近に、甚大になっています。環境・地域のためにできることを実践し続けるのが大切」

Navigator…金子裕輝(かねこ・ゆうき)

環境や地域への貢献といった養蜂の魅力に惹かれ、IT企業から養蜂家に。蜂蜜ブランド〈バランス〉を手がける。

(Hanako CITYGUIDE「クセになる、吉祥寺。」掲載/photo:Jun Nakagawa text:Mayu Sakazaki)

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