花井悠希の朝パン日誌 寒い朝に助っ人現る!モーニングに食べたい、都内の焼き菓子店2選

LEARN 2021.12.02

寒くなってきましたねぇ。お布団から出たくありませんねぇ。ちょっと早い気はしましたが、まぁいいでしょう。この手を使う季節がやってきました。出よ、“焼き菓子を朝パンにするの術”!召喚した(※自分で買ってきた)焼き菓子さえあれば、つらい朝もこちらのもの。ご褒美をエサに布団から飛び出すのです。

「ああ、おいしい…」そんな素直な感想が口から漏れてしまいました。脳に、四肢に、爪の先、カラダの隅々まで、「おいしい」の伝達信号が行き渡っていくのを感じます。ドーパミンが溢れカラダの隅々までリラックスして、緩んでいく…これは麻薬だ(言い過ぎ)。

表面はさくっと、内側はほろほろでさらさら。でもその粒は一つ一つふっくらと膨らんでいて柔らかく口溶けていきます。表面に覆われたジャリっと響くメープルの飴がけが香り高く甘さを伝えて、くるみが森の香りを閉じ込めたような香ばしさとポリポリと乾いた歯応えで変化球を投げてきます。温かな飲み物と相性抜群な柔らかな質感と繊細な口溶けに、木の実から届く森の香りとメープル。冬の訪れにぴったりなスコーンです。

オールドファッションドーナツみたいな感じかな?と親密に話しかけたら、全然別人だったという話(どんな話だ)。どの角度から切り取っても繊細です。舌に触れるチョコレートのヒヤリとする苦味、そこから苦味が先陣を切って進んでいきながら満ちていくカカオの強い味わい、粒子の細かい生地の解け方。表面から内側へ入るときにさくっとくる食感もそう。どの瞬間も繊細な語り口。温め狂(!?)の私が少し温めてしまったせいで表面のチョコレートが少しとろりと溶けてしまったのは大誤算。チョコレートはそりゃ溶けますよね。そんなことしなくても口内の体温でとろりと溶けちゃう滑らかな子だったのにね。リベンジせねば!

「黒いちじくのタルト」
「黒いちじくのタルト」

ひっひっひ。夜のうちに「黒いちじくのタルト」も食べたことも報告しておきます。こんもりのったクリームと断面から見える大きな黒いちじくがたまらないでしょう?すみません、ただの自慢です。ご査収ください。(なにを?)

朝から心もカラダも喜ばせよう…〈もりかげ商店〉@目黒

東京都目黒の工房にて、素材の響きあいを愉しめるような“日常にあるとうれしいおやつ”を作られているお店。きび砂糖や豆乳、メープルシロップ、植物油などカラダに負担のかからない素材で作られるお菓子たちは、素朴なだけじゃなくついついカラダが求めてしまうようなおいしさがあって、一口また一口と手が伸びてしまいます。目黒の工房は不定期で開店しているので(この所は毎週金、土曜)なかなかお目にかかれない所も追いかけたくなっちゃう理由の一つ。

トップに飾られたナッツたちが存在感を放つタルト。ほろっと口内で解けて溢れてからは早いのです。断面から見える色合いから想像するとピーカンナッツのペーストなのかな?と思っていた焦げ茶色の物体は、チョコレート。

<MERCI BAKE ><もりかげ商店>

深く甘美な味わいに酔わせながらあっという間に口内の熱で溶けていく。こんなに可愛らしいほっこり系のルックスなのにさ、こんなに大人な口溶けなのだからドキッとしちゃいます。この子みたいにギャップを醸し出せる女性になりたいものです(他人事)。タルト生地は薄く、バターは使われていないのにパイのようにシャリシャリサクサクと軽やか。そこからチョコレートの溶けるテンポに合わせてケーク部分が解けていきます。ケーキ部分はしっとりでもざらっとでもなく、かといってふんわりとも例えられない、解けていくうちに柔らかさが増して繊細に口溶けるテクスチャー。その全てにナッツや全粒粉など素材のいきいきとした香りが充満しています。
最後の一口までタルトのサクサクなファンファーレは響き、表面のピーカンナッツ達は香ばしくご機嫌で、キリッと効いてくるさりげない塩気が甘さや香りを引き立てて飽きのこない更なる深みへと誘います。ほら、また食べたくなってしまう。

明日起きたらあの子を食べるんだって考えて眠るのも幸せだし、例え目覚ましアラームをこの世の終わりみたいな顔をして止めたとしても思い出せば気分良く目覚められるし、焼き菓子というトキめきを朝に持って来たらいいことづくめ。寝坊したらせっかくの焼き菓子タイムが少なくなっちゃうという自分への脅しも早起きポイントです(効き目あります)。忙しない年末に向けて、焼き菓子モーニングの贅沢を取り入れてみませんか?

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