凛と咲く菊花を愛で邪気を祓う。重陽 (ちょうよう) の節句に健康長寿の祈りを。
この日は邪気を祓いや不老長寿の力を持つとされる菊花を飾るのが慣わし。菊花に真綿を被せて香りと朝露をたっぷり含ませ、重陽の節句当日である翌朝に顔や体を清める「菊被綿(きくきせわた)」や、菊の花びらを浮かべた菊酒をいただく風習が受け継がれてきました。
そんな雅な世界を垣間見られるのが、各地の神社で執り行われる重陽の節句。健やかな秋を迎えるためにも、この機会に菊花咲くご神域に足を運んでみませんか。
その一 菊花に彩られた築地 波除神社で、平安の雅を体験。
まずは「災難を除け、波を乗り切る」ご神徳で広く知られる築地、波除(なみよけ)神社へ。こちらでは毎年、9月9日には平安時代の宮中行事を再現して重陽の節句が執り行われています。

菊花に被せた着せ綿は目にも鮮やか。白菊は草木染めの黄色い綿、黄色の菊は赤い綿、赤い菊は白い綿でひと晩覆い、翌朝外します。平安時代の女性たちは、この綿を顔にあてて若さを願ったのだとか。


「茱萸嚢(しゅゆのう)」も飾り付けられます。これは重陽の節句飾りで、漢方で生薬として用いられる呉茱萸の実を納めた袋に菊花と赤いグミの実を飾ったもの。独特の芳香が邪を遠ざけるといわれます。

この日は菊の花びらを浮かべた菊酒の振る舞いや「後の雛」と呼ばれる雛飾りも。平安の雅を満喫する初秋の1日を楽しみましょう。


住所:東京都中央区築地6-20-37
HP:https://www.namiyoke.or.jp/
その二 東京のお伊勢さま・東京大神宮で、菊の花手水にうっとり。
「東京のお伊勢さま」と親しまれる東京大神宮でも、重陽の節句に合わせて毎年、手水鉢に菊花をはじめとする花々を浮かべた花手水を楽しめます。今年のテーマは「実りの宝箱」。夜になるとライトアップされて花々がより鮮やかに映り、寿命が延びる思いがします。

伊勢神宮の内宮に祀られる天照皇大神と外宮に祀られる豊受大神のほかに、結びの働きを司る「造化の三神」を祀る東京大神宮は、神前結婚式創始の神社。縁結びの御利益でも知られています。

重陽の節句のお詣りを機に縁結びを祈るのも吉。ふんわりと可愛らしい雰囲気の縁授守は、2頭の蚕が作る繭から紡いだ「しけ絹」の袋に、縁起の良いエンジュの木玉を納めたお守り。繭から糸を紡ぐように良縁を紡いで幸せに導いてくれるのだとか。

住所:東京都千代田区富士見2-4-1
HP:https://www.tokyodaijingu.or.jp
その三 武蔵野の面影を宿す杉並・大宮八幡宮で菊被綿飾りに見惚れる。
武蔵国の三大宮の一つで古くから「多摩の大宮」とも称された大宮八幡宮でも菊被綿を再現。重陽の節句前日の夕方に菊被綿神事が斎行され、翌9月9日から21日まで境内の清涼殿ロビーに菊被綿が展示されます。

大宮八幡宮の創建は1063年。源頼朝の祖先にあたる源頼義が奥州平定の凱旋に際して、京都の石清水八幡宮の分霊を祀ったのが始まりだと伝わります。

その境内は面積にして約1万5000坪。東京23区内にある神社としては明治神宮、靖国神社に次ぐ広さを誇ります。武蔵野の面影を残す社叢は自然の気配が濃く、深呼吸をするだけで気持ちが穏やかに整っていくよう。忙しい日常から一歩離れて、静かに自分を見つめ直すのにもぴったりの環境です。

酷暑の夏を乗り越えて迎えた秋、重陽の節句のお詣りは心身を整えて新たな一歩を踏み出す良い機会になるはず。初秋の心地よい空気と清らかな美しさをもつ菊花を楽しみに出かけましょう。
住所:東京都杉並区大宮2-3-1
HP:https://www.ohmiya-hachimangu.or.jp/


















