Hanako編集部’s note. いいカフェって、なんだろう。取材で垣間見た、その答え。|『Hanako』8月号特集「カフェが好き!今すぐ行きたいカフェ100軒。」編集後記

TRAVEL 2024.06.28

2024年6月28日発売 Hanako特集「カフェが好き!今すぐ行きたいカフェ100軒。」を担当した編集者が自由に記す、編集後記です。

特集のお話をする前に少しだけ。超個人的な、私とカフェの関係について。

今から数年前のこと。私はHanakoとは別の、とある会社に在職していたのですが、その会社が自社オフィスの1階でカフェをオープンしました。場所は早稲田。オシャレとは無縁とも言える立地。正直言って、カフェ不毛の地。

そんな地の、しかも駅から徒歩7分ほど坂を上がった先に、そのカフェは誕生しました。最初はもちろん、お客さんはまばら。
けれど集客に躍起にならず、バリスタでもある店主とスタッフは、真摯にコーヒーを淹れ続けました。

まずは、どこから噂を聞きつけたのか、欧米人を中心に外国人のお客さんが少しずつ訪れるようになりました(当時、オーストラリア人のスタッフがいたので、彼の友人から派生したのかもしれません)。
多国籍なゲストで少しずつ活気づいてきた店内。すると近所に住む人たちが「この店はなんだろう?」と気に掛けるようになり、主にオバサマたちが井戸端会議の場所として利用するようになりました。

そして次に広がったのは、ワンコの輪。ドッグフレンドリーでもあるそのカフェに、とあるオバサマが飼い犬を連れてやってくると、それを見た人たちが「ワンコと一緒にくつろげるところを見つけた!」とばかりに続々と来店。
そうなってくると、今度はSNSにその様子をアップしてくれる人が増えました。いつしか人が人を呼び、オープンから数年で、すっかり賑わうそのカフェ。

今ではモデルさんやクリエイターなどオシャレなお客さんも増えたみたい。外国人も、オバサマも、ワンコも、クリエイターも。ごった煮がオモシロイ。
実は本誌P.47にも登場しているので、ぜひご一読ください(下写真はそのカフェの看板スイーツ、蜜芋バスクチーズケーキ)。

そういったわけで、カフェの誕生から閑散期を経て、じわじわと客足が集まる様子を数年間、近くで観察していて思ったこと。
ズバリ、いいカフェって、客層が限定されない、老若男女も国籍も不問で、誰にとっても開かれ、心地よい場所なんじゃないだろうか、と。

巷で人気の「映えカフェ」も大いに結構。だけど、映えたい人だけが集まるカフェは、なんだか薄っぺらい。
でも例えば、映え空間で、地元のおばちゃんなんかがコーヒー片手におしゃべりしているのを見ると「そうそう、これが正解!」と心の中でガッツポーズをしたくなる。

Hanako カフェ特集 編集後記

で、今回のカフェ特集。ちょうど100軒のお店を取り上げたわけですが、取材中に遭遇した光景もまさに理想形。
猛暑だったある日、アイスクリームを買いに立ち寄って、さっとテイクアウトしていったおばあちゃん。おそらく近所の工事現場で働く人たち?が、アイスコーヒーを飲みながら一息つく様子。朝一番、外国人観光客がスーツケースを押してモーニングを食べに訪れる街のロースタリーカフェ。そうそう、これよ、これ!

カフェが人を呼び、人がまたカフェの厚みを作っていく。「おしゃれでかわいい」は当たり前。もっとその先にあるカフェの魅力は、「おしゃれでかわいい」場所に、いろんな人が等しく集まること、だと思うのです。

そして、そんな個人的な理想を裏テーマとしながら、日本全国のおすすめカフェ100軒を、今回の特集ではピックアップしました。ぜひ実際にカフェに出向いて、その魅力を実感していただければと思います。

Hanako カフェ特集 編集後記

おまけ。冒頭で紹介したカフェの看板スタッフは、モデル業もこなす韓国出身の彼。ほんわかとした雰囲気が魅力で、彼を軸にまた、新たな客層を呼んでいるようです。

Hanako 編集後記 カフェ特集

こちらは駒場東大前に今年オープンした〈SUHO〉(本誌P.18)にて、オリジナルトートバッグを買ったら引くことができた、愛らしいおみくじ。店主の息子さんの手書き…! 店内には他にも、息子さん作のものがあちこちに。文中でも触れた、おばあちゃんがアイスクリームをテイクアウトして行ったお店もここ。きっと優しい吸引力が店じゅうから滲み出ているんだろうな。

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