文筆家・甲斐みのりさんが行く花咲線の旅。

文筆家・甲斐みのりさんが行く花咲線の旅。
文筆家・甲斐みのりさんが行く花咲線の旅。
TRAVEL 2026.07.30PR
道東エリア、釧路駅から根室駅までの17駅を繋ぐ「花咲線」。壮大な景色や時に野生の動物も見られる人気のローカル線だ。旅の著作でおなじみの文筆家・甲斐みのりさんが、本土最東端を目指して、途中下車をしながら旅しました。(PR/根室市)
photo_Tetsuya Ito illustration_Makoto Motomura text_Minori Kai edit_Ai Sakamoto
旅した人
甲斐みのり
文筆家

かい・みのり/旅、散歩、お菓子、地元パン、手土産、ホテル、建築などを主な題材に、書籍、雑誌、webなどに幅広く執筆。地方自治体の観光案内パンフレットの制作や、講演活動も行う。

花咲線
ラムサール条約に登録されている厚岸湖(あっけしこ)・別寒辺牛湿原(べかんべうししつげん)を走る花咲線。ここを通過する際は、乗客が景色を楽しめるよう一部の列車で徐行運転を行う。
花咲線 路線図 イラスト
花咲線

JR根室本線内、釧路~根室間を結ぶ路線の愛称。全長約135km、片道およそ2時間半かかる。太平洋沿いの海岸線や大湿原の中を通るため、車窓から広大な景色が楽しめると観光客にも人気が高い。

花咲線の玄関口【釧路駅】

鉄道旅のいいところは、心置きなく車窓からの風景に没頭できること。それが、豊かな自然が広がる北海道ならなおさらだ。ときおり途中下車をして絶景に触れたり、土地土地のおやつや名物を買い込んで、気の向くままに車内でほおばったり。いつか過ごしてみたいと夢見た時間を、道東で叶えることができた。

JR根室本線の一部「花咲線」は、片道2時間半ほどで、北海道東部の釧路と根室を結ぶローカル線の愛称。有人駅は、釧路駅、厚岸駅、根室駅のみ。ときおり野生のエゾシカや、放牧中の牛・馬と、動物たちの姿をとらえながら、原生林、湿原、海岸線と、ダイナミックな景色の中を走り抜ける。

旅の始まりは釧路から。朝8時に営業が始まる駅前の〈釧路和商市場〉へ。まずは場内の惣菜店でご飯を調達。そこに鮮魚店の店先にずらりと並ぶ旬の魚介をのせれば、自分だけの「勝手丼」が出来上がり。「魚卵は好き?」「旬ならこれ!」。売り子との会話を楽しみながらネタを選ぶうち、丼はたちまち海鮮の宝石箱に。場内に本店を構える釧路のソウルフード〈ジョイパックチキン〉でカレーチキンも買って、イートインスペースで朝食を。朝からどんな〝勝手〞も許されるのが旅の醍醐味!

釧路で殊に心がときめいたのが、カラフルなタクシーの行灯と郷土料理。前泊して夜の街を歩いたり、そばの老舗〈竹老園〉で、クロレラ配合の緑色の麺に、ごま油をからめて食べる「無量寿そば」も食してほしい。

釧路ならではのタクシー行灯(あんどん)に注目!

釧路 タクシー 行灯

まりもに小鳩、星、北海道。釧路を走るタクシーの行灯のかわいさには甲斐さんも興味津々。昼と夜で表情を変えるのも面白い。

「釧路の台所」で地産の海鮮を堪能!〈釧路和商市場〉

函館の朝市、札幌の二条市場と並ぶ北海道三大市場の一つ。花咲ガニやホタテ、ホッキ貝など地産の魚介を販売。その場で食べることもできる。名物は「勝手丼」。酢飯や米を惣菜店で調達し、〈さとむら〉など鮮魚店で海の幸を自由に選ぶ。

information
釧路和商市場

住所:北海道釧路市黒金町13-25
TEL:0154-22-3226
営業時間:8:00~17:00
定休日:日休

1954年に設立された釧路で最も歴史のある市場。いくら醤油漬けなどお土産にぴったりな加工品も揃う。

釧路独自に発展した無量寿そばの元祖店。〈竹老園 東家総本店〉

釧路独自に発展した無量寿そばの元祖店。〈竹老園 東家総本店〉 花咲線 釧路

純正黒ごま油「無量寿」と麺つゆを和えた冷たいそばに、刻み海苔、ネギ、卵黄を混ぜて食べる「無量寿そば」。その発祥の店がこちら。ごま油の香りで食欲が増し、つるりといける。お供には、かしわそばから麺を抜いた「かしわぬき」を。

information
竹老園
竹老園 東家総本店

住所:北海道釧路市柏木町3-19
TEL:0154-41-6291
営業時間:11:00~15:30LO
定休日:火休
席数:50席

釧路に多い〈東家〉の総本店。クロレラ入りの緑色をしたそばを供する。かしわそばや茶そばも名物。

ローカル感に和む【別保駅】

ローカル感に和む【別保駅】 花咲線 別保
別保駅は無人駅。「べっぽ」と記されたレトロな佇まいがかわいい。

さて、花咲線に乗り込んで、最初に下車した三角屋根の別保(べっぽ)駅。お菓子、食材、地酒、小物と、お土産探しをするのが好きだと地元の人に話すと、愛らしい特産品や海山の幸が取り揃う地産地消センター〈ロ・バザール〉を勧められた。オリジナルキャラクター〝コンクマ〞グッズやユニークなデザインの食材を買い込む。旅から帰って手渡す人の顔を思い浮かべながら。

別保公園内にあるショップ&カフェ。〈釧路町 地産地消センター ロ・バザール〉

ショップ〈ロバの市〉では、地産地消にこだわった食品や、釧路町由来の商品を販売。オリジナルキャラクター、昆布をかじる「コンクマ」は、とぼけた表情がかわいい。釧路町の特産品である仙鳳趾(せんぽうし)産の牡蠣や昆布森産の昆布もお見逃しなく。

information
釧路町
釧路町 地産地消センター ロ・バザール

住所:北海道釧路郡釧路町字別保原野南24線78-6
TEL:0154-62-2216
営業時間:9:00~18:00
定休日:無休

カフェでは、仙鳳趾産の牡蠣を使ったメニューも。

名産の牡蠣を味わい尽くす【厚岸駅】

花咲線は一日でも十分に往復可能だけれど、厚岸駅で一泊することに。日本で唯一、一年中生牡蠣が食べられる〝牡蠣のまち〞で、牡蠣尽くしの時間を過ごすため。名物駅弁「氏家のかきめし」や銘菓「牡蠣最中」で腹ごしらえしながら、漁協の直売店〈エーウロコ〉を目指す。

水槽から選ぶ3種類のブランド牡蠣をその場で食べ比べると、みずみずしくて濃厚。夜は、牡蠣生産者の中嶋均さんが営む予約制のオイスターバー〈牡蠣場〉で、さらに旨みいっぱいの牡蠣三昧。窓から厚岸湖のパノラマが広がる特別な空間と、希少な〈厚岸蒸溜所〉のウイスキーの取り合わせは、至福そのものだ。

やっぱり食べたい、牡蠣を使った名物。

花咲線 厚岸 牡蠣

右・〈厚岸駅前 氏家待合所〉の「氏家のかきめし」1,480円。下・〈荒川菓子司〉の「元祖 牡蠣最中」小 281円。中には牡蠣を使った餡が。

新鮮な牡蠣をお土産に。安さに驚く漁協直売店。〈厚岸漁業協同組合直売店 エーウロコ〉

海産物のお土産を探すならここへ。厚岸で育った3種のブランド牡蠣「マルえもん」「カキえもん」「弁天かき」がサイズも豊富に揃い、道外に送ることができる。時期が合えば、厚岸産の巨大アサリ「アサリえもん」に出合えるかも?

information
厚岸漁業協同組合直売店 エーウロコ

住所:北海道厚岸郡厚岸町港町5-3
TEL:0153-52-0117
営業時間:10:00~16:00
定休日:火休

眼前に漁場を眺めながら新鮮な牡蠣を味わう贅沢。〈牡蠣場〉

漁師の中嶋均(きん)さんが、牡蠣を多様な調理法で提供する。メインは厚岸生まれ、厚岸育ちの「カキえもん」。旨みが凝縮したSSサイズをまずは生でいただく。牡蠣を剥く中嶋さんの手技を堪能しつつ厚岸産のウイスキーを飲む至高の時間をぜひ。

information
牡蠣場

住所:北海道厚岸郡厚岸町奔渡1-137
TEL:0153-52-5277
営業時間:18;00~22:00(予約制)
定休日:15席

牡蠣はピザやパスタ、グラタンでも味わえる。シーズンにはアサリも。

霧多布岬のゲートウェイ【茶内駅】

2日目の朝、厚岸駅から再び花咲線に乗車。ヨシやスゲが繁茂する別寒辺牛湿原の、どこまでも美しい風景や、深い森の輝きに見惚れるうちに、茶内駅に到着。〈コープはまなか〉で噂に聞く濃厚なソフトクリームで糖分補給し、楽しみにしていた霧多布岬に移動する。持参した双眼鏡で、切り立つ断崖から野生のラッコを観察。霧に包まれる海の中、見えた!2頭仲よく並んで水面にプカプカ。愛らしい姿に多幸感で胸がいっぱい。ほくほくの気持ちのまま最後の目的地・根室駅へと辿り着く。

ぷかぷか浮かぶラッコの群れを観察。〈霧多布岬〉

霧多布半島の東側に位置する岬で正式名称は湯沸(とうふつ)岬。トッカリ(アザラシ)を見られることからトッカリ岬とも呼ばれる。人気なのは野生のラッコ観察。数組の親子を含む十数頭が確認されており、仲よく浮かぶラッコたちは格別にかわいい。

information
霧多布岬

住所:北海道厚岸郡浜中町湯沸

霧多布岬駐車場から湯沸岬灯台に至る遊歩道からラッコを見られることが多い。海面までは距離があるので、双眼鏡を持参するのがおすすめ。

日本最東端の駅【根室駅】

根室といえば、バターライスにデミグラスソースがけのトンカツをのせた「エスカロップ」が名物。複数の店で味わえる中、品よくレトロな設えに惹かれて発祥店の系譜を継ぐ〈どりあん〉の扉を開く。ボリューミーな見た目とは裏腹に軽やかな食べ心地で、ぺろりと完食した。

旅の最後、忘れがたい体験が待っていた。日本一早く朝日が昇る納沙布(のさっぷ)岬の手前。オホーツク海が広がる海岸にポツンと佇む〈coffee & souvenir Boutique〉へ足を延ばす。東京から移住した三宅理子さんが、漁師の番屋だった建物に手を加え、昨年始めたコーヒーショップ。地元の人から譲り受けた剥製や鹿の角が神々しく、愛くるしい道東のお土産や、一杯のコーヒーとともに記憶に刻まれる。斜め向かいの、ポニーを放牧する草原〈北方原生花園〉もドリーミーな景色。花咲線は楽園へと運んでくれる列車だった。

贈る人を選ばない素朴な根室銘菓。

贈る人を選ばない素朴な根室銘菓。

しっとりとやわらかい独特な食感がクセになる〈端谷(はしや)菓子店〉のオランダせんべい1袋4枚入り280円。

根室の名物グルメを大切に受け継ぐ老舗。〈どりあん〉

1969年創業。根室のご当地グルメ「エスカロップ」発祥の店の味を今に受け継ぐ。1週間煮込むというデミグラスソースの奥深い味わいが、この店の特徴だ。レトロな内観も合わさって、昭和の喫茶店にタイムスリップした感覚に。

information
どりあん

住所:北海道根室市常盤町2-9
TEL:0153-24-3403
営業時間:10:00~19:30LO
定休日:火休
席数:43席

ドライカレーに焼いた牛サガリ(ハラミ)をのせた「オリエンタルライス」1,380円も根室名物。

海沿いの高台に佇む東のはじっこカフェ。〈coffee & souvenir Boutique〉

昨年オープン。店の奥にあるワードローブの重厚な扉を開くと、北海道由来のアイテムがズラリ。新旧のユニークなものを織り交ぜた店主のセンスが光る。旅のお供に、北海道産ビートシロップを入れた「コーヒービート」を召し上がれ。

information
coffee & souvenir Boutique

住所:北海道根室市豊里7-7
TEL:なし
営業時間:11:00~16:00
営業日:金~日・祝営業

〈北方原生花園〉の向かいに位置。

草原でポニーに出合う。〈北方原生花園〉

草原でポニーに出合う。〈北方原生花園〉 花咲線
ヒオウギアヤメやエゾカンゾウ、トウゲブキなど北海道らしい植物が見られる。海霧の中、色とりどりの花が咲く風景は幻想的だ。

広さ約75haの原生花園。100種類ほどの花々が初夏から秋にかけて咲き誇る。強風のせいで背丈が低く、曲がりくねった形のミズナラの風衝林も必見。雑草駆除のためポニーが放牧されており、運がよければ近くで草を食む姿が見られる。

information
北方原生花園

住所:北海道根室市豊里
TEL:0153-24-3104(根室市観光協会)
営業時間:終日開園
定休日:無休

JR根室駅から車で約20分。入口に無料駐車場がある。花の見頃は6月下旬~9月上旬。

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