言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第17回~ LEARN 2019.12.27

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。年内最後となる今回は来たる2020年に向けて思うこと。

「2020年の私は…」

 心の準備をする間もなく年の瀬がやってきた。2020年なんて遠い先だと思っていたのに、何てことだ。
 2020年といえば、そう「東京オリンピック・パラリンピック」。私は、世界が熱狂する一大イベントが、東京で2020年に開催されることに対して運命のような「何か」を感じている。日本に生まれ育ったものとして自国で開催されることへの高揚感や、生きている間にこんな世界規模のイベントに遭遇することはきっともうないに違いない!という思いはもちろんだけれど、ここだけの話、あまりにも私の人生とタイミングが合いすぎるがゆえに、「何か」を感じているのだ。
 
 私がテレビ朝日に入社したのは2013年の4月のことだった。その夏の終わりに、突然舞い込んできた開催決定のニュース。「あれ、これ私、本当にラッキーかもしれない」と心底思った。たまたまアナウンサー試験に引っかかって、それだけでも御の字だったのに、ましてやオリンピックが東京で開催されて、そこに仕事で関われる可能性があるなんて! そう、当時の私は正統派のニュース番組に出るアナウンサーになるものだと思っていたのだ!(笑) 2020年には入社8年目、脂の乗った29歳。選手を取材したり、競技会場からリポートしたり、間近でメダル獲得の瞬間を伝える立場になるかもしれない…なんて希望に胸を膨らませ調子に乗りすぎた私は、友人たちにこの「2020年問題」を吹っかけていた。
「2020年には30歳だよね?そのとき自分が何をやってると思う?何やっていたい?私は絶対にオリンピックに関わりたいから、任せてもらえるように仕事を一生懸命頑張るつもり。あなたは?」そんな風に問い詰めて、周りをドン引きさせていた記憶がある。就職したばかりのころに自分の姿を描けないのは至極当然だし、ただただ私の気合が空回りしていただけのことだった。思い出すだけでとんでもなく恥ずかしい。青かったなぁ。
 
 皮肉なことに今現在の私は当時描いていた姿からほど遠いところにいる。誰がどう見てもバラエティ色に染まっているし、そこに適性があると自分でも思う。しかも、かなり珍しいことに情報番組も報道番組もレギュラーでついたことがないのだ!もう傍流も傍流すぎて、どこをどう行けば本流に戻れるのかわからない(戻ろうとも思ってないけれど)。一方、スポーツ分野で活躍するアナウンサーは、選手やチームを何年も何年も取材して情報を集め、関係性を作り、長期タームで仕事をしている。先輩方の姿を見ていても、本当に取材がモノをいう世界だということがわかる。今から飛び込んだところで門前払いを食らうに決まっている…。
 それでも、こんないい頃合いで、この職業で、オリンピックを迎えることがどれほどの確率なのかを考えると、むくむくと私の中で「やりたいな精神」が湧き上がってくるのだ。もし関われたら、このキャリアのハイライトになることは間違いない。万、万が一、私がオリンピック・パラリンピックの仕事をすることが出来たら、孫の代まで自慢しようと思う。
 

photo:moron_non
photo:moron_non

(2020年は1月10日更新予定)

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