読むならこの3冊。小説、コミック、実用書から作家・鈴木涼美さんがセレクト【2026年5月】

読むならこの3冊。小説、コミック、実用書から作家・鈴木涼美さんがセレクト【2026年5月】
読むならこの3冊。小説、コミック、実用書から作家・鈴木涼美さんがセレクト【2026年5月】
CULTURE 2026.05.28
作家の鈴木涼美さんがセレクトした2026年5月のおすすめ本3冊をご紹介します。松浦理英子『今度は異性愛』、菜緒都『We are Connected』、こてらみや『わたし思いの自炊ごはん』——小説・コミック・実用書と、ジャンルもさまざま。気になる一冊から、ぜひ手に取ってみてください。

※情報は記事公開時点のものです。

CURATED BY 鈴木涼美  text_Suzumi Suzuki

1. BLと異性愛小説の創作から浮かぶ女の困難と欲望。『今度は異性愛』松浦理英子

BLと異性愛小説の創作から浮かぶ女の困難と欲望。『今度は異性愛』松浦理英子

1,980円(新潮社)

主人公は60代のアマチュア作家。かつてインターネット上でBL 小説を発表していた彼女は、コロナ禍で筋トレをしたせいか久しぶりに創作意欲が湧き、しかも今まで挑戦したことのない男女の小説を書いてみようと思い立つ。その創作の過程と書き始めた小説の一部が日記形式で綴られる本作は、BLを好む女性たちの言葉や創作に向けて過去の男性との関係を振り返る主人公の思索を通して、女として生きることや女として男と関わりを持つことの困難を鋭く描く。「女の人生は女らしさを引き受けるかどうかの選択を迫られますからね」という言葉が読後も余韻のように残っている。

2. 女子大生4人のポッドキャスト収録現場からお届け。『We are Connnected』菜緒都

女子大生4人のポッドキャスト収録現場からお届け。『We are Connnected』菜緒都
1,210円(リイド社)

部屋に集まったのは高校の同級生である女子大生たち4人。就活を控えた彼女たちは炬燵(こたつ)にマイクを設置し、お菓子をつまみながらポッドキャストの収録を始める。その部屋での会話やそれぞれの視線から4人の関係性や若い女性たちの置かれた状況を描くワンシチュエーション漫画だ。大きな魅力は誰の回想も心の声もナレーションもないこと。本当に女子大生たちの会話を覗き見しているくらいにリアリティのある言葉や仕草しか書き込まれないのに、4人がそれぞれ何を思うか、この部屋の外でどんな状況に置かれているのか、普段はどんな女性なのかを想像させる。

3. 自分のために料理するのが意外と楽しそうに思える。『わたし思いの自炊ごはん』こてらみや

自分のために料理するのが意外と楽しそうに思える。『わたし思いの自炊ごはん』こてらみや
1,870円(家の光協会)

すでに作りたい料理名が念頭にあったり、もらった野菜の下処理に迷ったりした際には、これ以上ないほど便利な世の中になって久しい。それでも料理家による料理の本というのが魅力的なのは、どんな暮らしの中にどんな料理を組み入れたら魅力的かが、立体的に浮かび上がるから。現在ひとり暮らしとなった著者が、無理なく、体調や気分に合わせて自由に、そしてなるべく食材を無駄にせずに使いまわしながら提案するレシピは、大人数をもてなす料理とはまた違う、自分への慈しみにあふれている。「麻辣サラダごはん」や「トマ玉バジル丼」はすぐに作ってみた。

CURATOR
鈴木涼美
作家

すずき・すずみ/エッセイ『めめSHEやつら』(KADOKAWA)、長編小説『典雅な調べに色は娘』(河出書房新社)が発売中。

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