ふわトロオムライスは必食。建築美の魅力あふれる都立家政の名喫茶〈つるや〉

ふわトロオムライスは必食。建築美の魅力あふれる都立家政の名喫茶〈つるや〉
ふわトロオムライスは必食。建築美の魅力あふれる都立家政の名喫茶〈つるや〉
CULTURE 2025.05.14
中庭を眺めるひとときを求めて行きたくなる東京・都立家政の〈つるや〉の魅力を紹介します。
photo_Satoshi Nagare text_Masae Wako, Ami Hanashima coordination_Ai Sakamoto
教えていただきました
倉方俊輔
建築史家

東京都生まれ。大阪公立大学教授。建築の歴史を、作り手ではなく使う者の視点から読みとく。『東京モダン建築さんぽ』(エクスナレッジ)ほか著書多数。BUNGA NET で「ポストモダニズムの歴史」連載中。

名建築の下で、フレンチシェフ直伝のオムライスに舌鼓。

都立家政の名喫茶〈つるや〉のオムライスとクリームソーダ

現在は4代目が腕をふるう「オムライス」1,300円は、具材を一晩寝かせた後、身がたっぷりのカニ缶と合わせた特製カニピラフを使った本格派。コーヒーは「中庭と時計を眺めながら豆を蒸らすのもいい時間」と語るみゆきさんが、ペーパードリップで丁寧に淹れる。

都立家政の名喫茶〈つるや〉の店内
床を70㎝ほど掘り下げた半地下の店内。敷地内に中庭を設け、大きな窓を通して店内に自然光を取り込んでいる。中庭には灯籠や鶴の置物も。低めの椅子は〈天童木工〉製。

建築家の池原義郎が設計した店舗兼住宅が、商店街近くに立っている。店内は床を約70㎝掘り下げた半地下。椅子に座ると目線よりやや低い位置に中庭が広がるのが心地いい。倉方さんは言う。

「入り口に立つとカーブを描く壁があり、すぐには店内が見通せない。ところが、ゆるやかに折れ曲がった階段を下りるにつれ、少しずつ全体像が明らかになるんです。空間と行動と気分が作用し合うのは、人間を中心に考えるモダニズムの特徴ですが、〈つるや〉はさらに、建築家の趣味性や“この土地ならでは”という場所性も表現されている。魅力的です」

〈つるや〉の魅力1. 緻密に計算された階段。

都立家政の名喫茶〈つるや〉の階段

少しずつ角度を変えて折れ曲がる階段。入り口から半地下のフロアへ下りるにつれ、目の前の景色が変わる。

〈つるや〉の魅力2. 半地下から眺める和の中庭。

都立家政の名喫茶〈つるや〉の階段

椅子に座ると、半屋外の中庭が目線近くの高さに見える。穴ぐらに潜っているような安心感が心地いい。

〈つるや〉の魅力3. 細木を生かした天井照明。

都立家政の名喫茶〈つるや〉の天井

細木を何本も並べて湾曲させた天井。木の素材感を生かしつつ、木枠の隙間に照明を埋め込んでいる。

information
つるや
つるや

住所:東京都中野区鷺宮1-27-3
TEL:03-3330-2170
営業時間:11:00〜19:00
定休日:水木休み
席数:24席
開業:1969年
改装:1969年
設計:池原義郎
規模:2階建

店名は、創業者であり3代目渡部みゆきさんの祖母が好きだった「鶴」に由来。

※記事内に特段の記載がない場合は禁煙店です。
※20歳未満の方は喫煙可能エリアへは入ることができません。

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