【熊本】阿蘇に行くなら立ち寄りたい!小国町にある森のパン屋さん〈そらいろのたね〉。
2021.03.04

第89回 花井悠希の朝パン日誌 【熊本】阿蘇に行くなら立ち寄りたい!小国町にある森のパン屋さん〈そらいろのたね〉。

3月といえば、まだ寒さを肌で感じながらも、温かくなったら(そしてコロナが少し落ち着いたら)どこへ行きたいかなあ…と思いを巡らせるのが楽しい季節。気持ちはつい外へ外へと向かってしまいます。お仕事で訪れた熊本で、車移動中に立ち寄ったあのパン屋さんはそんないまの気分にぴったりかもしれません。
花井 悠希
花井 悠希 / ヴァイオリニスト

「三重県出身。三重県四日市市観光大使。3歳よりヴァイオリンを始める。 2010年4月21日コロムビアよりデビュー。〈1966カルテット〉メンバー。http://columbia.jp/hanaiyuki/

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ここは桃源郷?

まがりくねった山道を車でぐるぐると上ったり下ったり。ようやく到着すると、そこには緑深い周りの景色と溶け込むようにして建つ山小屋風情のパン屋さんがありました。ピクニック気分でホップ・ステップ・ジャンプ!急な階段もなんのその。浮き足立って登ります(良い子のみんなは慎重にお願いします)。

小国町 そらいろのたね
ツリーハウスみたいでワクワク!

扉をあけて店内を見渡しても、1つ1つのパンを見ても、店員さんとお話しても、まだおとぎ話の中に入り込んでいるような心地が続く。これこそ非日常!遠くへ旅行に来た気分を五感全てで味わえます。そして旅の空気と共に飛行機に乗って東京に帰り、次の日の朝にパンでもう一度あの景色や空気を辿るように味わうことが出来るのがやっぱり、私がパンに惹かれてやまない理由なんだなぁとしみじみ&むしゃむしゃ。

小国町 そらいろのたね
「クリームパン」
小国町 そらいろのたね
くっきりと分かれた空気とクリーム。

阿蘇のジャージー牛乳を使ったクリームとの説明を聞いて、すかさず手に取ったのは言うまでもありません。そしてその選択は間違っていなかった!トップの表面に薄く塗られたシロップによってほんのりと甘味がまず届いたら、トーストでこんがりと焼けたその部分から香ばしさも立ち上がってきます。こちらの中心構造は、半分が空気、もう半分はクリーム。お待ちどおさまって声が聞こえてくるかのごとく、クリームチーズのようなクリーミーな香りと味わいが渦巻いて、卵のコクとクリーミーさは重なりあって、リッチなプリンを食べたときのような厚みのある味わいであれもこれもともてなしてくれます。口当たりはとんとろりん。重みがありながら、舌触りはどこまでも滑らかなのですよ。ギリギリ凝固できた卵焼きやプリンのようなフルフルの卵感です。世の全たまご好きに捧げたいです(何者?)。

小国町 そらいろのたね
「クロワッサン」
小国町 そらいろのたね
外側から内側への食感の変化が断面にもあらわれてます!

ザクザクザクザク。その音と共にバターの油分と甘みがふんわり広がったと思ったら小麦と胚芽の香ばしさが間髪入れずにやってくる。その香ばしさに安心しながら、どの角度から見てもそそる1番厚みのあるところにワシャっとかぶり付くと、その折り重なった層がさらさら崩れふんわりとした柔らかさとなって返ってきました。あれ?さっきまでザクザク、サクサクしてたのにな。確かめようと何度口に運んでも、ザクザク、サクサク、ふんわりの3段活用。決まって終わりはふんわり柔らかな口当たりに着地します。香ばしさだけじゃないのよって、緩やかに滲む甘さも心地よいです。

小国町 そらいろのたね
「レーズンパン」
小国町 そらいろのたね
こういうホワッとしたパンは、手で半分にしたくなる。

ふかふかでふにゃんふにゃんの生地に身も心も壁を取っ払われ、あらまぁそこには生まれたての私(怖いわ)。そんなこちらの頃合いを見ていたかのように(そんなわけない)絶妙なタイミングでやってくるシナモンの香りがニクい。トーストすると底の方はサクサク、茶色味を帯びた生地はまっさらな小麦粉だけとは違う複雑な味わいと香りをもたらしてシナモンに呼びかけます。シナモンの芳香の中から甘みがじわじわと顔を出し、レーズンの果実味にバトンを繋げるあたりは鮮やか。シンプルなはずのレーズンパンにフレーズが感じられてハッとします。

小国町 そらいろのたね
「チーズのぱん」
小国町 そらいろのたね
目を離すと噴火してしまうんじゃないかと思う程たわわなチーズ。
小国町 そらいろのたね
気泡たっぷりが柔らかさの証?

こちらも温めるとふにゃんふにゃん。手で持ち上げるだけでも形を変えそうなほどふにゃふにゃです。そんな心許ない姿に母性をくすぐられ、「よーしよーし」と◯ツゴロウさんよろしく撫で回したい気持ち…をぐっと堪えてポーカーフェイスで口に運びます(潰れるからね)。はぁ、やわらか。ミルクパンみたいなやさしさです。断面を見るために入れるパンナイフでさえも恐々になってしまいます(甘やかしすぎ?)。そこにナチュラルチーズとチェダーチーズ2種類のコロコロチーズが塩気と異質なコクでグンと引き締めるんだから、こちらは振り回されっぱなしです。お見事!

小国町 そらいろのたね
「チーズブレッド」
小国町 そらいろのたね
証明写真のように真っ正面からパシャリ。

パンに鼻を近づけるとチーズの香りに加えてオレガノのなんとも食欲をそそる香りがやってきました。欲張ってどちらものっかった部分目掛けて頬張ると、一気にそれは味わいとなって返ってきます。オレガノにチーズ、塩気。そうです、イッタリアーン(どうした)!口内の温度で2種類のチーズが緩みコクがさらに濃くなります。生地はというと全く異なるキャラクター。さくっと軽やかに軽快に進んだと思ったら、思いがけずもちっとした引きに押し戻されます。“さくっと”からの“ぬっ”と。これは結構意外性があって驚くかも。全粒粉の香ばしさは手放しで喜びたいし、予想外な食感には全身全霊で楽しみたい。そんなあなたに届けます(何者? ※2回目)。

小国町 そらいろのたね
「ジャージーミルクパン」「木の実パン」は夜パンでスープなどと合わせていただきました。 お料理とナイスバランス。
小国町 そらいろのたね
なぜかカッコつけた感じで写っていますが、注目してもらいたのは写真左側。こんなおとぎ話に出てきそうな雰囲気のお店なのに、看板にある通り「PayPay使えます。」

あぁ、必ずや再訪して、自然の香りとパンの香りが混ざりあうあのご褒美のような香りをまた胸いっぱい吸い込んで深呼吸したい。こちらのお店はオンラインショップで通販も可能。いまはお取り寄せしたパンを食べながら、そんなプランを頭で考えて膨らませて、一緒に春を待ちましょう。

2021年4月1日以降更新の記事内掲載商品価格は、原則税込価格となります。ただし、引用元のHanako掲載号が1195号以前の場合は、特に表示がなければ税抜価格です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。

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