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2020.11.07

第8回 ハナコラボSDGsレポート すべての人がより輝ける社会へーー“女性が手掛けるSDGs”を発信するプロジェクト「WDGs 〜Women Development Goals〜」が描く現在地。/編集者・藤田華子さん

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足! 毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第8回は、編集者として活躍する藤田華子さんが、企業・団体の枠を超えて“女性が手掛けるSDGs”を発信するプロジェクト「WDGs 〜Women Development Goals〜」を取材しました。
SDGs 藤田さん

昨年、結婚してから「家内」「嫁」「奥さん」と呼ばれることに違和感を抱いていました。読んで字のごとく、これらは女性が社会進出することを前提としていない呼称だから。それが象徴するよう、世界経済フォーラムによる2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本はなんと153カ国中121位と過去最低の結果に(※)。
いま私たちが抱える課題の背景や、誰しもがありのままでいられる社会を目指すには何が必要なのか。“女性が手掛けるSDGs”を発信するプロジェクト「WDGs ~Women Development Goals~」のプロジェクトリーダーである、〈一般社団法人ウーマンイノベーション〉代表理事の小川孔一さんと、〈株式会社サニーサイドアップグループ〉社長室室長・谷村江美さんにお話を伺いました。

※出典元:世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ指数」
https://www.joicfp.or.jp/jpn/2019/12/19/44893/

ジェンダー・パリティ指数121位の日本。では、1位と前後はどんな国?

ーー世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップ(世界男女格差)レポート2020で、日本のジェンダー・パリティ指数は153か国中121位と悲しい結果でした。なぜこのような結果になっているのでしょうか?

小川さん:ニュースなどでは121位という数字が一人歩きしていますが、その前後のランキングはご存知ですか?

ーーう〜ん、どこでしょう…?

小川さん:120位がアラブ首長国連邦、122位がクエートです。アラブ首長国連邦は、婚前の性行為が法律で禁止され、クエートはいまだに男女別々に教育を受けている。日本はそういう国々に挟まれて121位なんです。では、逆に1位はどこだと思いますか?

ーーヨーロッパのイメージがありますが…。

小川さん:そう、アイスランドで、なんと11年連続トップなんです。たとえば男性の育休率を例に挙げると、日本は6.16%、アイスランドは85%。なぜ8割以上の方が育休を取れるのかというと、法律で男女どちらでも3ヶ月間育休を取得することが決められているからです。日本には「女性活躍推進法」(女性が働きやすい環境づくりを企業に求める法律)があり、育休後に職場復帰できるように改善しましょう、子どもの数が減っているので出生率を上げましょうなど目標はありますが、なかなか実現しているとは言えない現状です。

ーー「奥様」や「家内」と読んで字のごとく、女性は家にいることがスタンダードだった背景が影響しているのでしょうか?

小川さん:日本はアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が蔓延している社会ですよね。TVアニメの家族構成や、お手洗いの表示で男性が青、女性が赤だということもその一例です。また日本は戦後、男性たちの頑張りを中心にここまで国が成長したという事実があり、その前提ですべてを男目線で作ってきた社会なので、ある意味しかたなかったのだと思います。

谷村さん:そういう点では、悲観しようと思えばいくらでもできますよね。私は9年前と5年前に出産を経験しているのですが、たとえば保育を取り巻く環境は劇的に変わってきたと思います。育休で給付される金額の割合が上がり、認可保育園に関しては無償化されました。それでも世界的には遅れているかもしれないのですが、着実に進んではいる。どの側面から何と比べるかによって、前向きな受け止め方もできるということを、この取り組みをするうえでは忘れたくないです。

SDGs 藤田さん

ーーおふたりはどのようなきっかけで、ジェンダー問題に関わるようになられたのですか?

小川さん:私は子どもが2人いるんですけど、妻の「自然な出産がしたい」という意向で、2人とも自宅出産したんです。一晩中妻の背中をさすり、私がへその緒を切った。出産は女性にしかできないことなんだと改めて感動して、ただただリスペクトするばかりでした。そして我が子を抱えたときに、この子たちの未来を私たちが設計しなければと思い、次世代を応援するプロジェクトをスタートしました。

谷村さん:弊社代表の次原悦子は、いつも「社会的に意義のあることを、PRの力で発信し、世の中を巻き込んでいく」ということを心がけています。私たちに何ができるか模索するなかで、SDGsの「5.ジェンダー平等を実現しよう」に辿り着きました。そもそも社内はダイバーシティを大切にする風土。女性だけ特別視しようというわけではなく「女性を、もっと照らせすことができたら!」とサポートを始めました。

小川さん:私が行っているプロジェクトでは、3月8日の「国際女性デー」が一番スケールが大きい。ニューヨークで婦人参政権を求めたデモがきっかけで、女性への差別撤廃と女性の地位を訴える日ですね。イタリアではこの日、男性が大切な女性にミモザを贈り、女性たちは家事や育児から解放され、外出や外食を楽しむんです。日本では認知がほとんどなかったこの「国際女性デー」を、新たな社会的ムーブメントにするために、2017年よりイベント展開をスタートしました。「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」は2020年で15都道府県での同時開催まで拡大しています。また、SDGsに貢献した女性や企業を表彰する「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD for SDGs」も2019年より展開し、多くのメディアにも報道いただきました。

「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」
「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」
「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD for SDGs」
「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD for SDGs」
「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」
「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD for SDGs」

谷村さん:国際女性デーの日は、私たちも15時に帰宅してOKな「プレミアム・ウーマンデー」という制度があるんです。それぞれが、好きな時間を過ごしてもらえればという会社からメンバーへのメッセージで、好評な制度のひとつです。

ーーとても素敵ですね!

小川さん:じゃあ、藤田さんの会社でもそういう制度作っちゃいましょう!SDGsは、いいと思ったことを実践していくのが大切です。

SDGsの 「5.ジェンダー平等を実現しよう」は、すべての“横ぐし”

SDGs 藤田さん

ーー女性が手掛ける SDGs に関わる活動情報やメッセージを発信するプロジェクト「WDGs ~Women Development Goals~」 とは、どんなものですか?

小川さん:女性を中心とした、SDGsを叶えるためのプロジェクトです。SDGs が掲げる課題解決の目標「5.ジェンダー平等を実現しよう」は、すべての“横ぐし”ともいえるんです。この目標を軸に、 企業・団体や業種の枠組みを超えて、女性という視点から SDGs を読み解くことがこのプロジェクトです。 いまSDGsについて認知率は上がってきてはいるものの、まだ個人レベルまでは落とし込めていない。そのためには、男性にない、女性ならではの共感力やシェアする力が欠かせない。女性を中心に発信してもらうことで、スピード感を持って2030年に向けてゴールが見えてくるのではと私は思っています。

谷村さん:アーティストのスプツニ子!さん、島田由香さん(〈ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社〉取締役 人事総務本部長)など、さまざまな業界の女性たちからご賛同いただいています。こんなに多くの女性が、SDGsの課題解決のためにパワフルな取り組みをそれぞれのフィールドの中で実施されている。点で活動されている方々をつなぎコミュニケーションしていければ、もっと加速していくのではないかと思いますね。

ーー参加企業や賛同している個人の方は、どのように集まったのでしょう?

小川さん:もともとの繋がりがある方、ずっと一緒に活動をしている方が中心ですね。HAPPY WOMANの活動に賛同いただき、国際女性デーなどを通じてネットワークが拡がっています。

谷村さん:フェムテックのスタートアップや企業・団体のリーダーとしてご活躍されている方にお声がけしたところ、〈ゲッティイメージズ ジャパン〉、〈野村アセットマネジメント〉、〈JAXA〉、文部科学省の方々を始め、多くの皆さまにご賛同いただきました。

小川さん:〈ユニリーバ・ジャパン〉は、就職を希望する方に対してジェンダーや容姿ではなく「個人の意欲と能力」にフォーカスを当てようと、顔写真と性別に関する一切の項目がないオリジナルの履歴書フォーマットを使われています。私たちはそういう想いがシェアされていくよう、サポートできたらと思いますね。

谷村さん:みなさん、男性社会の中でもがき苦しんだ経験もお持ちだと思うのですが、実際にお会いすると本当にしなやかで、明るく、魅力的な方々ばかりです。業種のバッティング等も気にせず参加いただいていますし、参加に必要な条件などはありません。ひとりでも多くの方と大きなうねりを作っていけたらと思います。

SDGs 藤田さん

ーー「女性が手がけるSDGsの現在地点を明らかにすること」というミッションに込めた想いをお聞かせください。

小川さん:SDGs の17 の課題解決の目標に「17.パートナーシップで目標を達成しよう」というものがあります。SDGsは、世界中みんなで向き合っていかないと達成できないもの。個人が活動している現在地点を明らかにし、どんどん繋がり、新たな一歩を踏み出していってもらえればと思ったんです。

ーー私も現在地点を知るからこそ、未来に向けて何ができるか考えるようになりました。女性が主体になることで、逆に閉鎖的になってしまう動きもあるのかなと感じています。そのあたりは意識されていますか?

谷村さん:女性視点での発信にこだわっていますが、ジェンダーを超えた客観性は大切にしています。私も女性なので、つい主観的になってしまう瞬間があるんですよね。でもビジネスや社会性のある場所で何かを発言する際って、客観的であるほうが、より多くの人に自分の意図を伝えやすいことが多いのではないかと感じていて。そういうときに、性別を超えた客観性のバランスは大切だなと思います。そんな点でも、ポジティブであることを諦めずに前向きに取り組んでいきたいです。

ーージェンダーギャップを解消するためには、コミュニケーションが欠かせないと思います。どんな心構えでいることが大切だと思いますか?

小川さん:そこは男女関係なく、どんな関係性でも、自分が「どうしたいのか」「何をしたくない」のかを整理して伝えるのが大切だと思います。それを素直に伝えることで関係値が悪くなるのではなんて頭をよぎってしまうこともあるかもしれませんが、自分の考えを伝える勇気は大切です。黙ったまま知らないふりをして生きていくことが幸せにつながる場合もあるかもしれませんが、その気持ちや違和感を抱えているのは真実なので、フタをしないで話し合ってほしいなと思います。

谷村さん:例えば私の場合、子どもが生まれてすぐのころは、勝手に自分で緊張して強張ってしまい、子どもの声が聞こえたらどうしようと、自宅で仕事の電話に出るのも申し訳なく感じていたんです。でもいまは職場で家族のようなアットホームな雰囲気が築けていて、子どもの声が聞こえてもご愛敬という風に思える。自分の意識次第でそういう関係・環境を築くことができると思うんです。小さな一歩が、自分の気持ちや環境を変えてくれるのではないでしょうか。

女性の活躍が当たり前になり、「国際女性デー」がなくなる日が来ることを

ーージェンダー問題に興味があるHanako読者に、オススメの本や映画などの作品を教えてください!

谷村さん:歴史小説がすごく好きで、なかでも宮尾登美子さんが書かれた、女性をテーマにした作品はオススメです。大河ドラマにもなった『天璋院篤姫』は、徳川家に嫁ぎ、病弱な夫を支えながら大奥三千人を見事に統べた女性の話です。そのほかにも代表作の『一弦の琴』や、歌舞伎の市川団十郎さんを支えた女性『きのね』など、どの作品も、主人公はとにかく芯が強い。時代によって選択肢は限られていますが、誰に何を言われても自分が信じることを貫き続けた。その姿勢に感銘を受けますので、ぜひみなさんに読んでいただきたいです。

小川さん:映画だと『マイ・インターン』でしょうか。年上のロバート・デニーロが、アン・ハサウェイを支える立ち位置がすごくいいなあと思います。最近だと、草彅剛さんが出演している『ミッドナイトスワン』も、ジェンダー問題を考えるうえではオススメです。

SDGs 藤田さん

ーー今後、やってみたいことはありますか?

小川さん:私は20年近く女性応援プロジェクトをしてきたんですけど、2030年には、私の会社も解散して「国際女性デー」がなくなっていればいいと思っているんです。ジェンダーギャップについて考え、女性の活躍を推進・啓蒙するのが目標なので、それがなくても、自然と叶えられていればいいですよね。そのときは「HAPPY HUMAN」というブランドに変えたいと思うんです(笑)。あとはHanako読者からいろんな質問を受け付けて、アンバサダーの方に答えていただく企画もできたら!

ーーハナコラボは働く女性の集まりです。いままさに、ジェンダーの格差で悩んでいる読者にメッセージをお願いします。

谷村さん:私は社会人になりたてのころ、よく悩んでは会議室で泣きながら母に電話することもありました。でも昔と違っていまは、前日のことは忘れるようにしていてます。努力で何とかなることもあれば、努力では解決しないこともあり、悩みには”種類”があるとわかってきたからです。子どもの前でも、会社でも、なりたい女性のイメージを持ってーーそのイメージに近づけていけるように、極力前向きな気持ちで頑張れるといいですよね!
あと、代表の次原に結婚するときに言われた「ORの時代は終わった。いまはANDの時代よ」という言葉が心に残っています。女性だから何かを諦める必要はない。自分の意志と行動次第と信じて、嫌なことばかりにとらわれないでいることが大切だなと思います。

小川さん:私は、人生はドラマや映画と同じく、自分が主人公なんだと伝えたいですね。物語では、いろんなことが主人公に降りかかってくる。そんななかでも目標や夢を持ち、そこに向かって進む物語を作っていく。もし何か違うと思ったらそこで目的地を変えればいいんです。そうしているうちに最後にハッピーになる。誰もが、そんなふうに豊かで幸せな人生を送っていけるといいですよね。

■「WDGs ~Women Development Goals~」の公式サイトはこちら

藤田 華子
藤田 華子 / ハナコラボ/SDGsレポーター

「〈RIDE MEDIA&DESIGN株式会社〉所属。編集者としてコンテンツを制作しながら、プロジェクト〈Act for Planet〉を推進。〈DRESS〉〈暦生活〉〈ランドリーボックス〉などでエッセイの執筆も担当する。」

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