かわいすぎて食べられない! 名店から受け継いだ三軒茶屋〈オクトーブル〉のスワンシュー FOOD 2024.02.13

日常のおやつから差し入れまで、数ある洋菓子の中でも年間消費量が多いシュークリームは、本国フランスを超えた独自の進化を遂げている。日本フランス菓子の歩みを、今に伝えるスワンシューが人気の三軒茶屋〈オクトーブル〉を紹介します。

三軒茶屋〈OCTOBRE〉のスワンシュー

「スワン」「スウリ―」各464円。ミニサイズは各270円~。
「スワン」「スウリ―」各464円。ミニサイズは各270円~。

「シュークリームは、キャリア3年以上の者だけが触るもの。日本語とフランス語で書かれ、厨房の壁に貼られていました」と、神田智興シェフは振り返る。1968年、フランス人のアンドレ・ルコント氏が創業した名店〈ルコント〉(現在は閉店)での修業時代のことだ。白鳥形の「スワン」とねずみ形の「スウリー」、2種のシュークリームは「楽しく、夢見るような気持ちになるように」と、ルコント氏が作り出した、同店の代表作。神田シェフは、〝最後の弟子〞として、その味を伝えている。

すべての素材を重ね、形が崩れないバランスにも技あり。
すべての素材を重ね、形が崩れないバランスにも技あり。

「スワンは生地が硬すぎると、切るときに割れてしまい、柔らかすぎると形が保てない」
 
今や懐かしい感じがするお菓子だが、冒頭の言葉の通り、高い技術が必要だ。〝元祖〞はシュー生地と生クリームのみだが、店ではカスタードクリームと果物を加えている。「自慢のカスタードも味わってほしいし、果物でより華やかになる」からだ。

「シュークリームは、お菓子のおいしさの原点。菓子職人の自分にとって“おふくろの味”のようなもの」と話す、神田シェフ。
「シュークリームは、お菓子のおいしさの原点。菓子職人の自分にとって“おふくろの味”のようなもの」と話す、神田シェフ。

神田シェフはフランスのパティスリーでも3年間腕を磨いた。「技術より、お菓子との距離を学べた。学校帰りの子供がエクレア1個を買いに来る、そんな店の在り方は素敵だなと」

ショーケースに並ぶ姿も愛らしい。
ショーケースに並ぶ姿も愛らしい。

住宅街に店を構えて10年、店の前にテーブルと椅子を並べて、「今日のおやつ」を求めて立ち寄る人々を待っている。

OCTOBRE(オクトーブル)

住所:東京都世田谷区太子堂3-23-9
TEL:03-3421-7979
営業時間:10:00~19:00
定休日:火休
Instagram:@patisserie_octobre

〈ルコント〉伝承アイテムはほかに「シューパリジェンヌ」や「ニューヨークチーズケーキ」などがある。イートインなし。店外にテーブル1卓あり。

photo_Shin-ichi Yokoyama text_Kei Sasaki

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