諸岡なほ子の『おいしいのりもの旅』第12回 「あかいくつ」に乗って満開の横浜めぐり(後編) LEARN 2018.07.08

横浜の街を歩いているとよく見かけるのが、レトロでかわいらしい赤いバス。その名も「あかいくつ」。横浜市交通局の横浜観光スポット周遊バスで、2005年から運行中。これで、赤レンガ倉庫も元町も関内も中華街も簡単にアクセス可能。今回は、「あかいくつ」に揺られながら、のんびり横浜のおいしいもの探し!

☆前編はこちら

大人の乙女心鷲づかみのプリンアラモード

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横浜中華街の中にあるローズホテル前にある停留所から乗車した「あかいくつ」。元町をすり抜け、坂道をのぼると「港の見える丘公園」バス停に。今回はこちらで下車して、散策に。

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外人墓地方向に歩き始めると、すぐにこんな標識が立っています。なんか、どっちへ行っても楽しそう。さすが横浜。この辺りはいわゆる「山手」と呼ばれるエリアで、幕末から明治32年まで外国人居留地とされていました。

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緑の豊かな道沿いに、こんな洋館や教会が。今は小さな資料館やカフェとして公開されているところも多く、大人の散歩にはうってつけ。

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こんなかわいい、白い電話ボックスも立っていました。よく見ると扉には「自働電話」と書かれています。自動ではなく、自働。どちらもオートマティックという意味ですが、明治時代に交換手に通話の接続を依頼していた頃の公衆電話を「自働電話」と呼んでいのだたそう。スマホが当たり前になってしまった私たちにしてみれば、自働どころかものすごく手動で他動な感じがしますよね。

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景観が美しいので、絵を描いている方もいっぱい。「すごいですねー」と思わず話しかけてしまいます。3時間ほどで描いたのだとか。

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さて、お腹もこなれてきたところで、少々道を戻り、ブルーグレーの壁が印象的なこちらの建物へ。「山手十番館」は1967年に建てられた小さな洋館で、2階がフレンチレストラン、1階がカフェとして使われています。

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外観だけでなく、内観もロマンチック。しかし、口はもうロマンよりスイーツを求めているので、わざわざ遠方からそれだけを食べに来る方もいるというこちらの名物をオーダー。

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ジャジャン!プリンアラモード。なんと見目麗しいハイカラさん!

足の長いガラスの器もシルバーのスプーンとフォークも、そしてこの彩りのキュートさが大人になった乙女心も鷲づかみ。さらによく見てみると、プリンの表面のカラメルソースの中には、バニラビーンズがちりばめられていて、実力派感がこれでもかと漂っています。ドキドキ。

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「それでは早速頂いてみたいと思います!」とレポーターな私が心の中でカメラ目線をして、スプーンでプリンをすくうと…はっ、なにこれ、低反発、いや、プリン的には高反発。柔らかなフルフルのプリンを想像していたら大間違い。こちらのプリン、驚きの手応えなのです。それでもゆっくりとスプーンをプリンの中へと沈め、すくい上げて口へ運ぶと、ん〜、なんとも濃厚。しかし、舌の温度でゆっくりととろけていく。ああ、乳製品、動物性脂肪なのね。個人的にはバターに近いイメージ。カロリーは高そうだけれど、そこは目を瞑り、じっくりと舌に集中。控えめな甘さがいいバランス。脇を固めるバニラアイスクリームやフルーツ、ウエハースもいい仕事をしてくれます。はー、おいしい。

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山手十番館は、実はお庭も美しく、お店の方に声をかけると案内してくださいます。私が訪れた日も、噴水やお花がキラキラしていたのですが、このガーデンウェディングの設えがまた私の中の女子を呼び覚まします。

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ついついパチリ。

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お隣は歴史を伝える「山手資料館」となっていて、明治42年築、横浜市内に現存する唯一の木造西洋館。こちらもまた素敵です。それにしても横浜、さすが横浜。この歳になって横浜の楽しさに目覚め始めている私でございます。

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