あったらいいなと思って早幾年。 スタイリスト木村真紀による「ソロソロ、イイモノ。」Theme #1/春ジャケット LEARN 2022.05.01

似合うものは決まってきたし、あふれるほど欲しいわけじゃない。心地がいい、具合がいい、気分がいい、品がいい。いろんな意味でバランスの「イイモノ」に、少しの特別を添えて。

お小遣いやバイト代を雑誌と服に注ぎ込んでいた学生時代はもちろん、出版社に勤めていた時も、パリでスタイリストのアシスタントをしていた時も、今ではよくあんな服着ていたなと笑っちゃうくらい自由に服を楽しんできました。30代後半という遅咲きのスタイリストとして独立してから約2年半。年齢を重ねるにつれて上質でミニマルなものが好きになってきた半面、進んでしまったのがワードローブのユニフォーム化です。仕事の時は黒子に徹するのがモットーとはいえ、そろそろ気分が上がる色やデザインのものが着たい今日この頃。

第1回のテーマは「春ジャケット」。ジャケットは一枚は持っていると思うのですが、合わせやすさを重視してブラックやネイビーなどの定番色をついつい選びがちですよね。今年は"春だし"を理由に明るい色や柄物に手を出しちゃいましょう。ということで今っぽいグリーンやチェック柄に袖を通してみたのですが、一枚で主役級のアイテムを着慣れていないせいか、"お洒落なジャケットを着ています"という感じの気恥ずかしさに負けて断念。最終的に知的なニュアンスもあって、かっこよくも、女性らしくも着られるエクリュやベージュがバランス良しで"イイ"色だなと落ち着きました。

推しジャケットの1つ目が〈seya.〉のノーカラージャケット。リラックスしたオーバーサイズが新鮮なのにおおげさに見えないのがとても良くて、ちょっと大きめに着てそのアンバランスさを楽しみたい一着です。

もう1つは〈COATE〉のテーラードジャケット。アイボリーより少し生成りで、ほかにはない色味と風合いの特別感が気に入っています。大きめのラペルや長い着丈といった〝かっこいいディテール〟がかっこよくなりすぎないよう、Tシャツなどで抜け感をつくって春らしく着こなしたいです。

独特の色と風合いが優しいテーラード。

ジャケット129,800円(コート|フクヤ チハル デザイン 03-3447-6424)※価格は2022年4月時点のものです。
ジャケット129,800円(コート|フクヤ チハル デザイン 03-3447-6424)※価格は2022年4月時点のものです。

乾いた夏を表現したという独特の風合いは、美しく細いコットンにラミーという麻の一種を掛け合わせたもの。奥行きのある立体的なシルエットにエクリュの凛とした優しさを感じる色合いが相まって、さまざまな表情が楽しめる。Tシャツを合わせてもカジュアルになりすぎず、今年らしいグリーンを合わせれば洒落た大人の着こなしに。

仕立ての良さが光るリラックスノーカラー。

ジャケット110,000円(セヤ|エディフィス新宿 03-5366-5481)※価格は2022年4月時点のものです。
ジャケット110,000円(セヤ|エディフィス新宿 03-5366-5481)※価格は2022年4月時点のものです。

ノーカラーだからこそこだわった首元から真っすぐ落ちるラインや柔らかな肩のシルエットといった細部に繊細さが光る、リラックスした仕立てのジャケット。乾いたベージュの独特な色合いは今季のテーマであるマヨルカ島・フルマントール岬の砂や岩をイメージしたもの。心地いい風が吹く開放的な岬を感じる軽さと肌触りの良さも魅力。

上・トップス19,800円(コート|フクヤ チハル デザイン)/スカート88,000円(エストネーション 0120-503-971) 下・シャツ46,200円(コート|フクヤ チハル デザイン 03-3447-6424)/パンツ71,500円(ネヘラ|ショールームリンクス http://www.links-partners.com/)/下に着たタートル17,600円(ニアーニッポン|ニアー 0422-72-2279)photo : Arata Suzuki (go relax E more) styling & text : Maki Kimura

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