Hanako世代が知りたい「副業」事情。 副業から転職・起業・フリーランスへと発展させるための方法。フリーランス協会代表理事・平田麻莉さん LEARN 2019.05.22

「もっと経験とスキルをつけていきたい」「もう少し稼げるようになりたい」「効率よく仕事がしたい」......。副業を始めてしらばく経つと、こういった悩みに直面する人も多いはず。この段階で副業の進め方について一度振り返って改善すると、スキルや収入が上がり、転職や起業、フリーランスとしてキャリアをステップアップさせる人も少なくないと「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」代表の平田さんは言います。ではいったい何を見直せばよいか?その方法を教えてもらいました。

【STEP1】スキルがつくところに身を置く

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どんなジャンルの仕事であっても、副業を増やしていくにはスキルアップが必要不可欠です。

「まずは経験とスキルがつく場所に自分の身をおくことが大事です。
副業は大きく分けてタスク型、プロジェクト型、ミッション型に分かれますが、この中でもオンライン上で受注を受けるクラウドソーシングなどの仕事は軽作業のタスク型が比較的多く、求められる責任範囲もそこまで広くありません。
副業の手始めに向いているタスク型の仕事をある程度こなしてきた方は、思い切ってプロジェクト型やミッション型といった、企業の担当者と密接につながって仕事をこなす業務に挑戦するのも一手です。
これらの仕事は、知り合いやエージェントなどを通じて得ることが多いですね。

プロジェクト型やミッション型の仕事をこなす上で、必ず徹底していただきたいことは案件が納品される際に相手から『フィードバックをもらう』こと。
副業やフリーランスの留意点として、案件を終える際にクライアントの本当の声が聞きにくい、ということが挙げられます。
どこがよかったか、どこがよくなかったか本音をしっかり確認、観察することで、次の仕事から生かすことができます。

また、自分と同ジャンルの仕事で活躍する人のサービスを使ってみることもオススメ。
例えばライターなら、プロの人に原稿を書いてもらったり、その方の講演会に参加したり、スポットコンサルを利用してみる。
そこで、自分のスキルとどこが差があるか?その差を埋めるためにどんなことをすればよいのか?を明確化していくとよいでしょう」

【STEP2】自分の能力を可視化する〜ポートフォリオの作成〜

(撮影:青木勇太、撮影協力:DIAGONAL RUN TOKYO)
(撮影:青木勇太、撮影協力:DIAGONAL RUN TOKYO)

スキルが上がってきたらポートフォリオや職務経歴書の作成を検討する必要があります。
「可視化というのはとても大切で、小さなことでも自分が手がけた仕事の実績は、ポートフォリオに記載しておくことを推奨しています。
ポートフォリオ作成は基本的に職務経歴書の記載と変わりませんが、案件ごとに、クライアント名、自分の役割や仕事内容、実施期間、などを明記すると、クライアントも発注する際のイメージが湧きやすくなります。
その中でも最も重要なことは『その案件をこなした結果、クライアントにどれだけのインパクト(結果)があったか』を明記すること。これを記載するためには前述のとおり、フィードバックをもらうことが必須です」

【STEP3】人脈を作る

(C)フリーランス協会
(C)フリーランス協会

平田さんが代表を務めるフリーランス協会の「フリーランス白書」によると、ほとんどのフリーランスの方は人脈から仕事獲得につながったと言う結果になったのだそう。これは副業する人にも当てはまるといいます。
「見ず知らずの方に仕事をお願いするより、知り合いにお願いしたほうが安心するし、意思疎通しやすいですよね。
また、この人脈のなかには副業をする人から副業をする人へのパスも含まれるため、ライターからライター、ライターからカメラマン、のような近しい業界の方からの紹介もあるということです。自分の副業と近しい業界や職種の人にはどんな人がいるのか考えてみるのもいいかもしれませんね。
人脈というと、地方にお住いの方や知人が多くない方は作るのが難しいと感じるかもしれません。しかし、最近の副業支援サービスはそういったところにも目を向けていて、副業をする人同士、副業をする人とクライアントをつなぐイベントなどもよく実施しています。フリーランス協会でも様々なミートアップやセミナーを開催しているので、そういったイベントに飛び込んで積極的に動いてみるのもおすすめです」

【STEP4】営業に行かなくても仕事がくる状態にする

平田さんはプロボノの社会活動として協会の代表理事を務める傍ら、広報アドバイザーや出版プロデューサーとしても活躍し、2児の母でもある。(撮影:青木勇太、撮影協力:DIAGONAL RUN TOKYO)
平田さんはプロボノの社会活動として協会の代表理事を務める傍ら、広報アドバイザーや出版プロデューサーとしても活躍し、2児の母でもある。(撮影:青木勇太、撮影協力:DIAGONAL RUN TOKYO)

人脈が広がり、仕事が舞い込むようになっても、そこから次の仕事に結びついたり大きな仕事を任せてもらえるかは別問題。
ここで単発で終わってしまう人と継続の案件につながる人の差はどんなところにあるのでしょうか。
「『なんだ、そんなことか』と思うかもしれませんが、楽しそうに仕事しているかどうかが本当に大切なこと。
いつも笑っていて、仕事を楽しんでいる人は、自然とクライアントもまた一緒に働きたいと感じるようで、楽しんでいる人には営業に行かなくても仕事が舞い込んでくることが本当に多いんです。
それと、自分が受けきれない仕事を無下に断らないことも大切。自分では対応できない仕事でも、できるだけ他の信頼できる人を紹介したり、一緒にプロジェクトを進めたりすると、クライアントからは『困った時はこの人にお願いしよう』と思ってもらえるようになりますし、紹介した人から別の仕事を相談されたりするようにもなります」

【STEP5】時間をうまく生み出す〜外注の利用〜

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仕事が順調に回り出すと、どうしても時間に追われてしまう人がほとんど。オーバーワークになって体調不良になると元も子もありません。
「自分の時間をしっかり確保するためには効率よく仕事をすることももちろんですが、外注を利用することもおすすめ。この段階までくると、ある程度お金を生み出せるようになっているはずなので、外注するだけの資金はあるはず。
税理士を雇って確定申告をお願いしたり、家事代行サービスを使って、掃除をお願いしたりして、自分の作業時間を確保しましょう。最終的には自分にしかできない仕事を自分が担う形になることが理想です」

【STEP6】保険や補償制度でリスクヘッジする

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仕事を順調にこなしても、ふとしたきっかけから大損害を被ることもあります。
「副業でやっていくということは、実はかなりの危険も伴っています。個人情報をうっかり漏洩してしまったり、借用したものを破損してしまったり、急な体調不良によって納期が遅延してしまったり......数えるとキリがありません。
こういった問題は、本業では会社が守ってくれますが、副業の場合はすべての責任が個人にふりかかります。そうならないよう、保険や補償制度を事前に考えておくことが大切です。
ちなみに、フリーランス協会では、副業やフリーランスで仕事をする人向けに、日本で初の賠償責任補償制度を作っていますので、ぜひ参考にしてみてください」

(text:yuma tsujino)

平田麻莉

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会代表理事。パワーママプロジェクト「ワーママ・オブ・ザ・イヤー2015」受賞。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会HP

☆前回の記事「これだけはおさえておきたい「副業」の基本とは?副業プランナー・中野貴利人さん」はこちらから。

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