食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。 CASE47 市瀬悦子

食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。 CASE47 市瀬悦子
連載〈HOME SWEET HOME〉
食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。 CASE47 市瀬悦子
LEARN 2026.07.16
おいしいものを作る人、おいしい場所をプロデュースする人。食に関わるプロフェッショナルのセンスを、プライベート空間のインテリアから学びます。今回は、立地も広さも間取りも、「これ以上ない!」とほれ込んだ家に約20年暮らす、市瀬悦子さん。5年前、二度目のリノベーションを決行し、居心地はさらにアップしたそう。気持ちよく働き、穏やかにくつろげる光と風が通る家は必見です。
photo_Michi Murakami illustration_Chikako Ban text & edit_Kei Sasaki
プロフィール
市瀬悦子
料理研究家

いちせ・えつこ/料理研究家アシスタントを経て独立。CBC『キユーピー3分クッキング』レギュラー講師等幅広い媒体で「おいしくて作りやすい」レシピを提案。『たっぷり野菜がおいしいパスタ』 (学研)ほか著書多数。

https://www.e-ichise.com/

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二度のリノベで完成、住まい兼仕事場の理想形。

ヘリンボーンの床とステンレスのキッチンの美しいコントラスト。シンクのサイズなど、尊敬する師の枝元なほみさんのキッチンも参考に。お手入れも隅々まで完璧。

広々としたLDKは、南側一面が窓で、たっぷりと日の光が入る。近くに高い建物がなく、視界の先 に空が広がるのが気持ちいい。

「日が低い冬場ほど室内に深く日が射しこんで『この部屋、温かいですね』と、言われるんですよ」と、市瀬悦子さん。うれしそうに話す様子から、とても気に入った家であることが伝わってくる。パートナーと二人で暮らすのは、東京都目黒区に立つマンションだ。

二度目のリノベーションで機能性とくつろぎを形に。

仕事場兼住居として申し分ない広さと、公私の空間を分けられる動線。プラス、先述の日当たり、開放感。便利な立地なのに静かな環境も気に入って、暮らし始めて20年近くになるという。入居時、すでに築30年を超えていて、キッチンを仕事仕様に整える必要もあったためリノベーションを行ったのだが、5年ほど前、二度目の大規模修繕に踏み切った。

「仮住まいの戸建てを借りて、ほぼスケルトンにして一から。新しい家に引っ越すのと同じか、それ以上のエネルギーを使ったけれど(笑)、やっぱりここが気に入っているので」

仕事で使うキッチン周りは、掃除のしやすさも含め、さらに機能的にする。個人的に好きな木の質感、ナチュラルなテイストは、その他のスペースにうまく取り入れる。メリハリをつけながら、全体にまとまりのある理想の空間が完成した。

キッチンには、アイランドの作業台が二台ある。壁際のシステムキッチンと平行にしつらえられたものに加え、食器棚や冷蔵庫が並ぶ一角にもう一台。スタッフとチームで作業する際も十分なスペースや動線が確保できるし、サブの方は、撮影時の器の確認などにも役立つ。食器棚は壁一面の大容量。その他の収納もすべて造り付けで、大型家具不要のすっきりとした空間を叶えた。独立型のパントリーへの憧れはあったが、キッチンとリビングダイニングの広さを優先。メインのアイランド作業台が、食材収納を兼ねている。

美しい暮らしから生まれるおいしく健やかな味。

システムやアイランドの外装は、艶消しのステンレスを選んだ。清潔感を保ちながらインダストリアルに寄り過ぎないのが市瀬さんテイストだ。床はキッチンだけを大判のタイルにし、あとはヘリンボーンのフローリングに。間仕切りのない空間だけれど結界は設けて、という形も〝らしい〞気がする。床だけでなく、キッチン以外は、木材の色みやテクスチャーがインテリアの基調になっている。造り付けのオープンシェルフは、並ぶ器まで木のもので統一。撮影時の作業台として使うアンティークのテーブルも、アクセントになっている。観葉植物も大小あり、すっきりとした室内に色彩とすがすがしさを添えている。

もう一つ。大学時代は外資系CDショップでアルバイトをしていたほど、大の音楽好きとしての顔を持つ。ここ最近、レコードをかける時間はないものの、音楽は高音質で聴きたいとオーディオにもこだわりアリ。ロックにR&Bと守備範囲は広いが、最近の推しは日本のHIPHOPグループという意外(!)な一面も。

大学を卒業した当時、まだ「料理研究家」という職業など知らず食品メーカーに就職。その後〝時の人〞だったパトリス・ジュリアンに憧れて料理の道を志した。師事したのは枝元なほみさん。どちらもカラーは違えど、ライフスタイル、言い換えれば「生きること」の上に独自の味づくりを築いた人だ。その系譜に連なる市瀬さんの料理は、なるほど、こんな場所から生まれるのか、というインテリア。明るく清潔で、気取りがなく上質。で、温かみとリラックスしたムードがある。

100 m2 、ウォークインクローゼット付き2LDK。LDKは約26畳。オフィスやベッドルームから直接、洗面所、玄関へ行ける動線も、自慢の一つだ。20年暮らすうちに、築50年に。


【TODAY’S SPECIAL】年々、ヘルシーになるプライベートの食卓

大の揚げ物好きで、揚げ物をずっとおいしく食べられるように、普段から野菜や豆腐をたくさん食べて体を整えるよう心がけている。アルコールも外食のときに楽しむのが基本で、家では飲まない日も増えているのだとか。暑い季節の定番は薬味山盛りの冷ややっこを、上質なオリーブオイルと醤油で。小口切りの美しさが味を作る一品。

【MY ESSENTIALS】機能を追求した空間に、音やグリーンの彩りを。

観葉植物を至るところに

大型の鉢植えを含め、増え続ける観葉植物。手間はかかるけれど、室内にグリーンは欠かせないのだとか。近所に頼れるプラントショップもあり。

好きな音楽を、よい音で

デンマークのクオリティオーディオブランド〈DALI〉のスピーカーを部屋のコーナー、天井近くにセット。小型だが、高音質が広い空間に行きわたる。

増え続ける器の頼れる収納。

必要なものはほぼそろうが、旅に行くと必ず買い足してしまう器が、少しずつ増殖中。すべて収まる収納は、トビラの透け感もお気に入り。

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