季節に合わせて、豊かに暮らそう。 プロが教える球根水耕栽培の方法。初心者にもわかりやすく解説 LEARN 2022.03.05

植物が芽吹き、寒さが和らぐ春だからこそ、やっておきたいこと。植物、食、暮らし、美容、それぞれのエキスパートたちが実践しているあれこれを伺いました。今回は、球根を水に浸けて育てる水耕栽培。春からはじめたい、花のある暮らし。水耕栽培なら、切り花よりも世話がラクで、花が咲くまでの成長過程も楽しめます。2月26日(土)発売Hanako1206号「自分を高める、学びの教科書。」よりお届けします。

部屋の中で春が咲く、球根から育てる楽しみ。

水耕栽培

東京・原宿の裏通りにある一軒家レストラン〈restaurant eatrip 〉の庭先に店を構える生花店、〈THE LITTLE SHOP OF FLOWERS 〉。店にはほかでは見つからないようなニュアンスカラーの花々が並び、センスあふれるブーケアレンジにもファンが多い。一年中花に囲まれて過ごしているオーナーの壱岐ゆかりさんが、毎年春になると楽しんでいるのが、球根の水耕栽培だという。

「球根だけを見てもどんな花が咲くのかわからないので、それを想像するのが楽しいんです。また、土植えだと土の中では見えない根っこが成長していく様子が見られるのも良さ。生命力溢れる世界が様々な角度から楽しめるのが水耕栽培の魅力です」球根は、秋頃から出回りはじめ、冬の間は寒いところで保管するなど仕込みが必要で、育てるのは難しいイメージがある。でも「今からでも大丈夫」と壱岐さん。

根と芽が伸びてきたら窓際など日の当たる暖かい場所へ。「“冬が終わった~。春がきた~”と、球根たちが準備をはじめる様子が楽しめますよ」
根と芽が伸びてきたら窓際など日の当たる暖かい場所へ。「“冬が終わった~。春がきた~”と、球根たちが準備をはじめる様子が楽しめますよ」

2〜3月は、根や芽が出ている水耕栽培用の球根が花屋さんに並ぶ。それなら、球根を一から育てるテクニックもいらないので、初心者でも安心。「花瓶は、わざわざ専用のものを買わなくても、家にあるグラスや空き瓶、お皿などで代用できます。白く伸びた根の様子が楽しめるからガラス製のものがおすすめです」

球根は、生花よりも手入れが実はラクなのも特徴。水が濁ってきたら替えてあげればいいだけ。「植物の育て方に教科書はありません。植物にも個体差がありますし、育つ環境もそれぞれ違います。今、どんな状態なのかをちゃんと見て、気遣ってあげること。植物を育てるということは、ルール通りにいかないことも多い。それを楽しんで、対処してあげることは自然との向き合い方を学ぶ一歩になるはずです」

■用意するもの

水耕栽培

A.ガーデニング用はさみ
B.球根
C.花器
D.水

ガーデニング用のはさみは切れ味の良いものを。球根は水耕栽培用に販売されているものが◎。水は、水道水で OK 。注ぎ口が細いポットを使えば水量を調節しながら注げるので便利。

【Point #1】花の種類を知る。

1.チューリップ
水耕栽培にするなら、小ぶりの「ミニチューリップ」がかわいい。野生種や原種に近く、100 種類以上あるといわれている。球根の皮が固いものが多いので、皮に切り込みを入れたり、取り除くと吸水しやすくなる。

2.ヒヤシンス
ボリュームがある豪華な花と香りの良さが人気。室内で水耕栽培すると 2 月頃から、涼しい室内でも3~4月に開花する。花は重さで垂れやすいので、咲いたら花茎をカットして花瓶に生けて楽しんでも。

3.ムスカリ
全長15cm程度でブドウの房のような花を咲かせる球根植物。暑さや寒さに強く、土に植えると数年は植えっぱなしにできる。毎年3~5月に開花し、咲き終わって種ができる前に花をカットすると球根に栄養がまわる。

【Point #2】はじめ方と日々のお手入れ。

水耕栽培

球根は、根と芽が出るまでは寒い場所に置き、根が短いうちは、球根のおしりが水に触れる程度の水量に。根が伸びてきたら、根の1/3程度が水に浸かるようにしよう。風通しが良く、明るく日当たりのいい場所に置き、水が濁ってくる2~3日ごとに水替えを。球根を濡らさないように注意。

【Point #3】飾り方のコツ。

水耕栽培

球根から伸びる花茎は、まっすぐに伸びているものもあれば、曲がっているものも。それぞれの自然の姿を生かす花器を選ぶのがポイント。花茎がカーブしていたり、花の重みで垂れ曲がるものは花器の側面にもたれさせるといい。小さな球根は複数まとめて大きなカップなどに生けても素敵。

【Point #4】楽しんだあとは。

水耕栽培

花が咲いたあとの球根は、栄養がからっぽの状態。花茎と葉のついた球根に切り分け、花は切り花として楽しもう。球根は捨てられることも多いが、土に植えるとうまくいけば来年また花を咲かせてくれるかも。球根を土にしっかり埋めたら肥料を与え、土からの栄養を球根に蓄えさせよう。

【Point #5】小さい器に生けるとき。

球根よりも口が小さい花瓶や瓶に生けると、球根が剥き出しになってユニーク。根っこを花器の中に入れるのが大変なときは、長すぎる根や、もじゃもじゃになった部分の根を少しカットして整えてあげて。実験道具をイメージしたラボラトリーベース890円(THE LITTLE SHOP OF FLOWERS)

落ちたり枯れたりしたら、花の部分だけカットして平らな日陰で乾燥。「春のお花は花びらが軽やかで、色もカラフルなのでおすすめです。好きな器に入れてインテリアにしたり、色は抜けてしまうけれどアロマオイルを垂らしたりしても」

Teacher…〈THE LIT TLE SHOP OF FLOWERS 〉オーナー 壱岐ゆかり(いき・ゆかり)

水耕栽培

インテリアショップやファッション PR を経て、こちらをオープン。花に携わって 11年 。代々木上原のアトリエにてワークショップを開催。

https://store.thelittleshopofflowers.jp/

(Hanako1206号掲載/photo : Megumi Seki text : Motoko Sasaki edit : Kana Umehara)

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