【梅ヶ丘でひとり飲み】女性ひとり飲みが捗る、焼酎×創作和食のペアリングが楽しい隠れ家店

【梅ヶ丘でひとり飲み】女性ひとり飲みが捗る、焼酎×創作和食のペアリングが楽しい隠れ家店

今日は、あの街で一人呑み vol.10
【梅ヶ丘でひとり飲み】女性ひとり飲みが捗る、焼酎×創作和食のペアリングが楽しい隠れ家店
FOOD 2025.06.17

よそ行きの私”に少し“”が混ざったような、どっちつかずの自分で楽しむ時間は外呑みならでは。そんな外呑みの醍醐味、たまには “ひとり”で味わいませんか。誰にも気を遣わなくていい。自分と対話をする。いつもじゃない人と出会う。知らない世界に飛び込めるひとり飲み、女性ひとりでも気負いなく楽しめる場所を、お酒業界の広報歴14年の児島麻理子さんが“あの街”で探索します。今回の街は梅ケ丘
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児島麻里子
児島麻里子
株式会社TOAST 代表

お酒にまつわるプロデューサーやライターとして活躍。出版社、洋酒会社での広報の経験を生かし、お酒の楽しさを日々発信している。趣味は世界の蒸留所を巡ること。これまでに世界7か国国以上の蒸留所とバーを巡る。ハナコラボパートナー。2025年、お酒に特化したPR会社のTOASTを立ち上げ。Instagram:@mariccokojima


下北沢や豪徳寺、松陰神社など、近年勢いのある世田谷の北沢エリア。そのなかで次の盛り上がりをみせてくれそうなのが、梅ケ丘です。北沢地域で最大の羽根木公園を中心に広がる、閑静な住宅地には、地元で愛される新旧の店舗がコンパクトにまとまっています。街歩きが心地いい梅ケ丘で、国際感もあふれるカウンター和食から街飲みをスタート。

バルのようなスタイルで、旬の創作料理を楽しむ。

梅ケ丘の商店街の風景に、違和感なく馴染む家屋のような建物。ただいま、という雰囲気で入っていきたくなるのが、オープンして4年目になる〈十月十日〉です。

濃緑の扉を開けると、そこにはバルのようなカウンターが。季節の日本料理という枠を超える空間に、入口から期待感が高まります。

町屋のように奥に長い店舗には、カウンターが2台。手前の台はドリンク中心に並べられ、奥の台は目の前に料理人が立ちます。どちらのカウンターでも同じ料理が楽しめますが、しっかりとしたコースを楽しみたいときは奥ひとりでも軽くアラカルトを楽しみたいときは手前。そんなふうに、気分に合わせてシーンを選べるのが魅力です。

奥のカウンターも、京都の古民家風。料理もお酒もしっぽりいただけそうな雰囲気。

スペインってこういうバルがどこにでもあって、居酒屋のように気軽に飲めるんですよね。そういう雰囲気を和食でも表現できたら面白いと思って」

そう語るのは、海外経験が豊富な和食出身の料理人、紀野泰寿さんです。 京都料理のお店で腕を磨き、ドイツのワイナリーにある日本食レストラン、モロッコでの高級日本食レストラン等での経験を積んだインターナショナルな料理人の紀野さん。帰国後に物件との縁があり、梅ケ丘に拠点を移しました。

オーナーシェフの紀野泰寿さん

その多国籍感はメニューに現れています。例えば「鯛とハマグリのアクアパッツァ」や「海老のカダイフ揚げ」など、和食をベース紀野さんならではのセンスと味わいに昇華されています。かと思えば、「カニクリームコロッケ」や「季節の炊き込みご飯」など、旬の食材を使った定番メニューも健在。定番料理でも新しい発見があるような味わいを、丁寧にかつ軽やかに、カウンターの奥で作り出してくれます。

「“藁焼きソーセージ”もおすすめ。モロッコで教えてもらったハリッサというスパイスで仕上げています。ドイツの銘品をモロッコで食べているようなイメージですね」(紀野さん)

真骨頂は、ワインや焼酎とのペアリングにあり。

梅ケ丘のよさは風通しのよいコミュニティがあること。オープン前から周りの飲食店が気にかけてくれてお客様を紹介してくれたり、またお客さまから紹介してもらったスペインのスパークリングワインがあまりに美味しくて仕入れたりと、人との繋がりでお店が形づくられています。

ワイン焼酎という少し異色な取り合わせにも、人との縁が。海外からの帰国後に知人から結婚祝いでもらった1本の焼酎。そのイメージを一新するような味わいに、お店では、和食の定番の日本酒でなく焼酎を置こうと決めたそうです。

「店をやるなら、自分の人生で出合ったもので構成したいと思いました。ワイナリーのレストランで働いていたので、飲み物は料理の一部。食事の甘みがあるなら、飲み物の酸で締めようとか、逆に同じ要素で揃えるとか。そういうテイスティングはワインだと当たり前ですが、焼酎だと意外とやられていない。その発想で焼酎も合わせています」

イサキと焼き茄子のサラダ仕立て1,280円、焼酎「Colorful」タイム添え 880円
水の上に焼酎を注ぐ、ロックスタイルで。この「Colorful」が結婚祝いでもらい、焼酎に目覚めた銘柄。

その言葉の通り、〈十月十日〉の真骨頂は焼酎と料理のペアリング。炭であぶったイサキと焼き茄子には、芳ばしさを引き立てるようにタイムを添えた焼酎を。梅雨を感じさせるナスタチウムの葉をめくりながらいただきます。ほかにも、料理に合わせて焼酎をハーブティと合わせたり、温度帯を変えたりと、こんな味わいがあったのかと1杯ごとに驚きの連続

ワインとのペアリングには、ごま豆腐の揚げ出を。春に旬を迎えた行者にんにくのソースと、夏に旬を迎える鱧を合わせて。器のなかで、季節が春から夏になるという仕掛けがある一皿です。 「ワインは妻の友人のイタリア人に教えてもらったイタリアの島のものを。太陽を浴びながらも優しく繊細な味わいで料理に寄り添ってくれます」

ごま豆腐の揚げ出し 行者にんにく0,000円、グラスワイン(nuragus di Cagliari)

会話をしながら紀野さんが料理を作って提供してくれる流れが小気味よく、カウンターならではの楽しさを感じさせてくれました。

「最初は人見知りだったので、なんていうお店にしてしまったんだと思ったのですが、いまでは出合いを楽しんでいます。梅ケ丘の街は落ち着いていながらも、暮らす人はクリエイティブな仕事や、さまざまな分野の第一線で活躍される方が多くて刺激的な日々です」

カウンターの端には、“これ、いいものだから使って”と常連客が持ってきてくれた器が、そっと重ねられている

子供が体内で成長するまでの年月でもある〈十月十日〉。お客様からの愛を受けながら、日々進化を続けています。

〈十月十日〉
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場所:東京都世田谷区梅丘1-15-13 キクコーポ 101
営業時間:17:00〜23:00
定休日:月・火曜日
TEL: 03-5799-6389
公式インスタグラム:@totsuki_tooka_umegaoka

text_Mariko Kojima photo_Miyu Yasuda

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