【三軒茶屋でひとり飲み】路地裏で見つけた大衆割烹。秋田の旬菜と美酒に酔う、大人のネオ晩酌

【三軒茶屋でひとり飲み】路地裏で見つけた大衆割烹。秋田の旬菜と美酒に酔う、大人のネオ晩酌
今日は、あの街で一人呑み vol.15
【三軒茶屋でひとり飲み】路地裏で見つけた大衆割烹。秋田の旬菜と美酒に酔う、大人のネオ晩酌
FOOD 2026.04.16
よそ行きの私”に少し“”が混ざったような、どっちつかずの自分で楽しむ時間は外呑みならでは。そんな外呑みの醍醐味、たまには “ひとり”で味わいませんか。誰にも気を遣わなくていい。自分と対話をする。いつもじゃない人と出会う。知らない世界に飛び込めるひとり呑み、女性ひとりでも気負いなく楽しめる場所を、お酒業界の広報歴14年の児島麻理子さんが“あの街”で探索します。今回の街は三軒茶屋
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児島麻理子
児島麻理子
株式会社TOAST 代表

お酒にまつわるプロデューサーやライターとして活躍。出版社、洋酒会社での広報の経験を生かし、お酒の楽しさを日々発信している。趣味は世界の蒸留所を巡ること。これまでに世界7か国国以上の蒸留所とバーを巡る。ハナコラボパートナー。2025年、お酒に特化したPR会社のTOASTを立ち上げ。Instagram:@mariccokojima

今回の街飲みは三軒茶屋にやってきました。
その昔、三軒のお茶屋が並んでいたことから、その地名が付けられたといわれている三軒茶屋。いまもはしご酒がしたくなるような魅力的な個店が多く立ち並ぶエリアです。
近年では“三軒酎屋”という呼び名が現れるほど、本格焼酎の街として知られていますが、そのなかで日本酒も健闘中。しっぽりと日本酒と野菜のアテを楽しめる新世代の大衆割烹をご紹介します。

野菜のおばんざいから始まる“あふれる野菜”を日本酒と楽しむ

入口にかかるのは、“縄のれん”と呼ばれる伝統的な縄の暖簾。暖簾ごしにも活気を感じる新世代割烹が、2025年7月、三軒茶屋にオープンした〈せきらら〉です。

三軒茶屋 ひとり飲み せきらら
三軒茶屋 ひとり飲み せきらら

印象的な店名には、「食材にもお客様にも嘘をつかない」というメッセージが込められています。さらに、コロナ禍を経てお客様同士がお酌し合う文化が薄れてしまった中で、「皆が“せきらら”に語り合う場になってほしい」という想いも重ねられているそう。

そんなやさしい気持ちは、料理にきちんと反映されています。温かい野菜のすりながしのお通しから始まり、料理の主体は“あふれる野菜”。オーナーの実家である秋田の青果店〈保坂青果〉から届く野菜を使い、「派手でなくてもよい食材を、きちんと調理して提供する」という信念のもとに仕立てられています。

ここでまず頼みたいのは、野菜のみで作られたおばんざい「あふれる野菜6種盛り」です。

三軒茶屋 ひとり飲み せきらら
あふれる野菜6種盛り一人前1,180円

本日のラインナップは、秋田の鳥海山で取れる味の濃い鳥海なめこ小松菜のうま煮、秋田の蕨とスナップエンドウを使ったとんぶりマヨネーズ和えフルーツトマトの出汁漬け三内人参と菜の花の松前漬けいちごの白和え、そして春菊の胡麻和え

それぞれが主役級の味わいで、野菜だけでも十分な満足感があります。

三軒茶屋 ひとり飲み せきらら
店長の藤野廉さん
三軒茶屋 ひとり飲み せきらら
手際よくお料理を作る様子がカウンターごしに見て取れます。

日々秋田から届く食材のなかには、ミズ(ウワバミソウ)や、とんぶりのような東京では珍しい野菜も多いそう。

「馴染みが薄い野菜と出会ったときにはオーナーの実家に連絡して使い方を聞くこともあります。日々、野菜の勉強ですね」(藤野店長)

色とりどりの野菜が小皿に並ぶ光景はそれだけでも楽しく、こちらにとっても発見の連続。季節ごとに変わる野菜を味わいながら通ううちに、野菜に詳しくなれそうです。

日本酒は秋田しばりのラインアップ。常時約10種類が一升瓶で揃います。

本日の1杯目は、野菜に合わせた辛口でフレッシュな春酒。爽やかな酸味と、うすにごりのボリューム感が楽しめます。

三軒茶屋 ひとり飲み せきらら
刈穂 1,200円(1合)

日本酒は、その土地の食材に合うように造られてきたもの。だからこそ本領を発揮するのは、その土地の素材と合わせたときです。秋田の酒は、秋田の素材と合わせてこそポテンシャルがより感じられます。
「秋田は米どころなので、辛口ながら米の旨味がちゃんとでている日本酒が多いです。野菜の繊細な味わいにも、いぶりがっこのような発酵食品にもよく合います」(藤野さん)

名物料理とのペアリングに舌鼓

せきららのもうひとつの名物は、カウンター中心の鍋で用意されている「牛すじ豆腐煮込み」。しっかりと出汁を効かせた味わい深い煮込みに合わせるのは、特別純米の「龍蟠(りゅうばん)」です。

三軒茶屋 ひとり飲み せきらら
“名代”牛すじ豆腐煮込み730円、龍蟠(グラス)780円

一升瓶がならぶ冷蔵庫から、テンポよくお酒を運んでくれる竹村さんは、京都出身ながら秋田の素材や日本酒に開眼しているひとり。料理と合わせておまかせでお酒をセレクトしてくれます。

三軒茶屋 ひとり飲み せきらら
スタッフの竹村さん

「龍蟠はラベルがいかついんですが、味わいはやさしい甘みがあります。牛筋すじ煮込みのような味の濃い料理にもよく合いますよ」(竹村さん)

筋と思えないほど肉感のある牛すじに、豊かな旨味とキレのよい日本酒がよく合います。

三軒茶屋 ひとり飲み せきらら
ズワイガニの甲羅詰め(1杯)3,980円

贅沢を絵に書いたような甲羅詰めは、蟹の種類を変えながら、一年を通じてほぼオンメニューされている一品。いまの季節はズワイガニを使用し、蟹酢のジュレで繊細に仕上げられています。ひとり飲みの時はハーフサイズでのオーダーができるのも嬉しいポイントです。

三軒茶屋 ひとり飲み せきらら

「三軒茶屋は暮らしている人が多い街。1週間前に来た人がまた来て、前回の話の続きをしてくれることもあって、働いている側もとても楽しいんです。飲食店が多い街ですが、お客さんとの距離の取り方は唯一無二の存在となるように頑張っていきたいですね」(藤野さん)

お隣さんとも、お店のスタッフとも。徳利を手に差しつ差されつ、“せきらら”な夜をお過ごしください。

information
せきらら
せきらら
三軒茶屋

場所:東京都世田谷区太子堂4-27-3 村田ビル1F
営業時間:17:00~24:00(土16:00~24:00、日祝16:00~23:30)
定休日:不定休
TEL: 03-5787-6857
公式インスタグラム:@sekirara.sancha

text_Mariko Kojima photo_Miyu Yasuda

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