老舗だからこそのレトロな雰囲気。街に愛され続ける2軒の喫茶のストーリー

1. 愛着ある街に帰還した小さな喫茶店。学芸大学〈かふぇ り どぅ あんぐいゆ〉

時間に磨き上げられたもの特有の美しさが、店の扉を開けた瞬間から目に飛び込んでくる。学芸大学から駒沢大学へ、そして2024年春に再び学芸大学の東口へ移った〈かふぇ り どぅ あんぐいゆ〉。音に、ひらがなの表記に丸みを帯びた店名はもちろん、コーヒー器具も看板メニューもそのままに、店は47年目を迎える。

「熟成させた生豆を毎日直火で焙煎。注文が入ったら杯数分を挽いてネルでハンドドリップ。ブレンドは〈コクテール堂〉のものを二種類。これがいい、これしかないと思っているから何も変えていないんです」と、店主の木村直嗣さん。

20代の頃にお客さんとして通いはじめ、やがて店に立つようになった妻の良江さんは、「学芸大学という街に愛着があって。よいご縁をいただき戻ってくることができました」とにっこり。この笑顔と深いコーヒーの香りが、何年、何十年と通う常連客も、はじめましての一人客も優しく迎え入れてくれる。
住所:東京都目黒区鷹番3-1-9 ボラボラビル2F
TEL:03-6826-2424
営業時間:12:00〜21:00LO
定休日:月休
席数:16席
平日午前中は店主夫妻の友人の波多野三奈さんがモーニングを提供。詳細はSNSで確認を。
2. 一目惚れした空間を歴史ごと受け継ぐ。鶴見〈珈琲専門店 山百合〉
「変わらないね、と言ってもらえることが一番うれしいんです」と話す慶野未来さん。後継者が見つからず4年にわたり閉店していた〈珈琲専門店 山百合〉の2代目店主として、2021年10月に店を再開させた。喫茶店は幼少期から身近な存在で、年齢を重ねるごとにひとつひとつの店ばかりでなく、喫茶店という文化により惹かれるように。小学校教員として働きながら日本各地の喫茶店を巡る日々のなかで、先代のマスターに紹介され、初めて店を訪れた日に、半世紀の歴史とともにこの店を継ぐことを決意した。


「一目惚れだったんです。この空間を守りたい、丸ごと残したいと願ってしまいました」
クラウドファンディングも利用して店舗に修繕を施しながら、創業時から変わらない山百合ブレンドをサイフォンで淹れ、なじみのメニューを作る。
「先代の味を求めていらっしゃる方にも納得していただけるよう、コーヒー修業は続きます」
住所:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4-21-12
TEL:045-521-0560
営業時間:11:00(土日祝12:00)〜19:00
定休日:不定休
席数:20席
ランチ、お茶の時間と様々な表情が。新たな看板メニューはティラミス。
※記事内に特段の記載がない場合は禁煙店です。
※20歳未満の方は喫煙可能エリアへは入ることができません。