「まずアレをオーダーします」喫茶店を愛する二人がお店で頼むものとは?


カフェオーナー、モデル。喫茶店へのリスペクトを込めて東京・東長崎にオープンしたカフェ〈MIAMIA〉が2025年春に5周年を迎え、2025年夏には浅草橋に2号店を開店予定。

かぶき・ゆうすけ/日本らしい喫茶の世界観が人気を博す蔵前のネルドリップコーヒーとチョコレートの店〈蕪木〉代表。〈大倉陶園〉の器に映える一杯にファンも多い。

実は約8年前、この店で偶然同席したのが最初に挨拶したきっかけという二人。

(以下、ヴォーン)
今日は大好きな店で再び蕪木さんと会えるなんて。泣きそうです(笑)。

(以下、蕪木)
僕も昔からここに通っていて。今日も店長のカップ選びやコーヒーを淹れる姿を拝見して、改めて背筋が伸びました。ちなみに、ヴォーンさんは喫茶店に行ったらまず何を頼みます?僕はほぼブレンドなんです。

僕も初めて行く店はブレンドを頼むのがマナーだと思っています。店の名刺みたいなものだから。

ええ、昔の安価な豆や余った豆を混ぜていた〝コストダウンブレンド〞とは全く違い、店主が一番表現したい味ですから。店の好みや方向性をイメージできるんですよね。

そしてネルドリップ。カウンターでネルを落とす職人技を見るのも、喫茶店ならではの経験です。


ええ。僕はネルでおいしいと思った最初の店が福岡の〈珈琲美美〉なんです。深煎りは苦いだけでなく、苦味の中にも複雑味や甘みがあることを知ったのがあのお店でしたね。

〈珈琲美美〉はお店に入ると涙が出るくらい完璧な店。あと、京都でお酒を飲んだ翌朝に、〈六曜社〉のモーニングの深煎りブレンドで目を覚ますのも最高。蕪木さんのお店は、ネルはもちろんアイリッシュコーヒーなどを作る所作がバーテンダーのように美しくて感動します。

うれしいです(笑)。〈トロワ・シャンブル〉のニレ・ブレンドはエイジング(熟成)というクラシックなスタイルで、スモーキーでいい意味で枯れた、ダンディーな味ですし、片や〈喫茶 穂高〉のコーヒーは軽やかで、本を読みたい時に行きたくなる。長く営業する喫茶店は、店の雰囲気と味わいの着地点が近い。

時代とともに味わいが進化している〈十一房珈琲店〉しかり。

ええ。それは店主の美意識や思いが表れているからだろうし、そこに日本人らしい真面目さがあって、ある種の色気になるんだと思います。

色気とロマンチックさは喫茶店の大事な要素ですよね!

あと、カップ&ソーサーも。皿にのせたスプーンが立てるカチャカチャという甲高い音色も、店の色気に繋がるのかも。また〝内側に向ける時間〞も喫茶店らしさですね。

はい。僕にとって喫茶店は〝街の大事な場所〞。人々が集まり多様な文化が生まれ、そしてもちろん、一人で過ごせる居場所でもある。守るべき日本の財産です!
1. ブレンドはマスターの「名刺」代わり
2. ネルドリップ&深煎りという普遍的美学
3. エイジングという〝枯れ〞を味わう
4. アレンジコーヒーで職人技を堪能する
5. 嗜(たしな)むのはマグでなくカップ&ソーサーで
住所:東京都渋谷区渋谷1-15-19
TEL:03-3400-9088
営業時間:11:00~23:00(22:00LO)
定休日:無休
席数:50席