6月は環境月間、食と旅から環境を考えよう。

- ▽1. 入り口は、“お得だからやってみる”くらいで、ちょうどいい。
- ▽日常でできるアクション1. 古着・リサイクルショップを利用する。
- ▽日常でできるアクション2. 家の中ではルールをきちんと決めて過ごす。
- ▽日常でできるアクション3. エシカルに関することをググってみる。SNSで調べる。
- ▽日常でできるアクション4. 捨て方も工夫(分別もしっかり)。
- ▽日常でできるアクション5. パワーシフトする(電力会社をエコなものに変更)。
- ▽日常でできるアクション6. 自転車と徒歩でなるべく移動。
- ▽日常でできるアクション7. タッパーやマイカップを持ち歩く。
- ▽日常でできるアクション8. 完璧でなくていい、できる限り植物性の食品を取り入れてみる。
- ▽今日からできること。「環境月間」を考えるきっかけに。
- ▽デコ活とは?
- ▽2. 毎日の「食」と環境の繋がり。
- ▽家庭菜園を始めてみる。
- ▽今日使うものは見切り品を選ぶ。
- ▽ファーマーズマーケットに足を運ぶ。
- ▽楽しんで野菜を使い切る。
- ▽余った食材はコンテナで見える化。
- ▽洗剤は環境負荷の少ないものを選ぶ。
- ▽食卓を彩るエシカルなもの。
- ▽3. 環境視点を持って選ぶと「旅」のスタイルも変わる。
- ▽カトラリー
- ▽洋服類
- ▽学びの本
- ▽アメニティ
- ▽4. 旅先でできるエシカルなこと。さらに旅を楽しむためのエコアイデア。
- ▽親子でしたいファームステイ。
- ▽ローカルなものとの出会いを楽しむ。
- ▽地元に根ざした個人店を選ぶ。
- ▽伝統工芸や民芸の品に触れる。
- ▽お土産には手仕事のものを。
1. 入り口は、“お得だからやってみる”くらいで、ちょうどいい。
環境に負荷をかけないライフスタイルは案外、自分を大事にすることにも直結する。できるアクションを見つけてみよう。

やまなか・あずみ/1981年生まれ。大手アパレル企業を経て2007年に独立。動物好きが高じて2009年よりヴィーガンに(その前はベジタリアン)。現在は、アニマルライツやサステナブル分野に関わる企画やディレクションに携わる。@azuartrev
幼いころから生き物と自然が大好きだったと言う山中安澄さん。ファッション業界に長くいたことで、いかに私たちの生活スタイルが環境に大きな影響を与えているかを知ったという。
「16年前から私自身、ヴィーガンになり衣食住に関わるものの選び方を意識するようになりました。ただ、こういう時に、極端に0か100かと選ばなくていいと思うんです。自分はこれならできる、と思うことを見つけてはじめる。そのきっかけは〝お得だから〞とか〝気軽にできるから〞でいい。入り口はそれくらいでちょうどいいんです」

エコな電力会社にシフトしたら電気代が安くなった。プラントベースの宅配を利用したらおいしくて体にもいい。入り口は自分が気になるもの、やってみたいと思うことからがベスト。
「以前はヴィーガンを扱う店が少なく外食で苦労したんです。でも、東京オリンピック以降は海外の旅行者が増えヴィーガンを扱うホテルや飲食店が急増した。需要があると社会は変わっていく。ドイツの芸術家が提唱した〝社会彫刻〞という言葉があるんですが、私はその考えを大事にしていて。自分たちが求めて行動すれば、社会はその方向に形作られていく。ならば、良い形へと進む選択をみんなでしていけたらいいなと思います」
日常でできるアクション1. 古着・リサイクルショップを利用する。
リユースは、衣服の寿命を延ばし環境に優しく、お値打ちでおしゃれが楽しめる。手放す服は買い取りや回収してもらうのも◎。
日常でできるアクション2. 家の中ではルールをきちんと決めて過ごす。
自分ルールで過ごすことができる家の中では、節水・節電を心がける。食品ロスを減らすなどより意識的に過ごしてみる。
日常でできるアクション3. エシカルに関することをググってみる。SNSで調べる。
SNS特有の効果で情報の視野が狭くなっていることも。検索することで新しい世界を知ろう。
日常でできるアクション4. 捨て方も工夫(分別もしっかり)。
ゴミの問題は環境負荷に直結する。リサイクル可能なものはルールに従って分別したい。
日常でできるアクション5. パワーシフトする(電力会社をエコなものに変更)。
毎日の生活に必要なものから見直しを。再生可能エネルギーを扱う電力会社に切り替えてみる。
日常でできるアクション6. 自転車と徒歩でなるべく移動。
CO2排出を抑えられる移動手段を選択。シェアサイクルなどを便利に使おう。
日常でできるアクション7. タッパーやマイカップを持ち歩く。
レストランで食べ残したものも可能なら持ち帰りするなどフードロスを意識。
日常でできるアクション8. 完璧でなくていい、できる限り植物性の食品を取り入れてみる。
ミートフリーデーを作ってみたり、大豆ミートにトライしたり。コスメも植物性のものを選んでみるのもおすすめ。
今日からできること。「環境月間」を考えるきっかけに。
6月5日は環境の日。1972年、ストックホルムで開催され、環境問題について話し合われた初めての国際的な会議である「国連人間環境会議」を記念し制定されました。
地球温暖化をはじめとする環境問題の解決には一人ひとりが自らの生活・行動を意識することが大切。国連では6月5日を「世界環境デー」と定め、日本では環境省が6月からの1カ月間を「環境月間」と提唱しています。今年は「心地よい暮らしのために、今できる選択を。」をテーマに、環境月間に合わせて知っておきたい特集が環境省HPで公開予定。買い物と自分の幸せを考える番組や、オーガニック野菜の価格の理由を探る動画など、気になるものをぜひチェックして。

デコ活とは?
CO2を減らす脱炭素(Decarbonization)と環境に良いエコ(Eco)を掛け合わせて「デコ」を推していく「デコ活」が今、注目を集めています。意外と身近なことが脱炭素になる? あなたの身の回りのデコ活を探してみて!
例えばこんなことも「デコ活」
- 電気を省エネできる断熱住宅を選ぶ。
- 買い替えをする時はLEDや省エネ家電を選ぶ。
- 移動を減らしてテレワーク。または車は次世代自動車に。
- 宅配便は小分け配送にせず、できるだけ一度に受け取る。
2. 毎日の「食」と環境の繋がり。
食品ロスや食料自給率の問題…食べることにまつわる課題もさまざま。自分たちのキッチンから見直せることを教えてもらいます。

ハル/2021年にロー&ヴィーガンスイーツに和の要素を取り入れたスイーツギフトブランド〈mari〉をスタート。地元葉山には無農薬栽培の畑を持つ。ハナコラボパートナー。@haluchn
学生時代に過度なダイエットを経験、体調を崩し「食」の大切さを知ったというhaluさん。現在はヴィーガンスイーツのプロデュースなど食にまつわる分野でエシカルな発信を続けている。

「地元産のものを食べるとか日々の食材を余らせず使い切ることももちろん大事ですが、意外とみなさんスルーしてしまうのが醤油やみりん、塩、酒などの調味料選び。体のもとになり、味の決め手となる調味料こそ丁寧に選ぶ視点を持つといいと思います」
haluさんが選ぶのは添加物を使わないもの。そして自然の恵みを大切にする伝統的な製法で作られているもの。
「木桶仕込みの醤油や100%海水を原料にした塩など製法にこだわる生産者が日本各地にいます。自分が使うことで、次世代に繋いでいくこともできますし日々の料理でも大切に無駄なく使おうと意識できるはず」

同様にキッチングッズも見直してみてほしい、とも。
「フッ素樹脂加工のフライパンはコーティングがはがれたら使いづらくなる。プラスチック製のキッチンツールも安価ですが耐久性が低い。すぐダメになるものより、鉄のフライパンや木べら、木製ブラシなど長く大事に使えるツールを揃えてみるのもおすすめです」
家庭菜園を始めてみる。
ハーブや葉物野菜など手軽にできるものを育ててみよう。「収穫の楽しさを知ることで大事に食べる気持ちにも繋がると思います」
今日使うものは見切り品を選ぶ。
スーパーの見切り品コーナーは必ずチェックする。「無駄にしないために、今日食べられるものがあれば率先して選びます」
ファーマーズマーケットに足を運ぶ。
「旬の食材に出会えるだけでなく、生産者さんと直の交流もでき、いい情報収集に。知らなかった地元の食の名品にも出会えるはず」
楽しんで野菜を使い切る。
「足の早い野菜は茹でて冷凍。皮などはだしをとりベジブロスに。乾燥させると長持ちするだけでなく、栄養価が増すものも」
余った食材はコンテナで見える化。
冷蔵庫内の保管はガラス製コンテナを愛用。「ひと目で何があるかわかるように。余った野菜は毎日飲むお味噌汁に入れて食べ切ります」
洗剤は環境負荷の少ないものを選ぶ。
「基本、自炊なので食器洗いは毎日のこと。洗剤は海や河川など水環境に負荷が低いものを選びたいです」
食卓を彩るエシカルなもの。
haluさんが、実際に愛用している調味料やエコなキッチンツールを教えていただきました。
〈仁井田本家〉の料理酒 旬味(720㎖)

創業は江戸中期、福島県郡山市にある老舗蔵元による自然米で仕込んだ純米100%の料理酒。砂糖を使わずともおいしい甘味を引き出す。1,430円(024-955-2222)
〈ヤマロク〉の鶴醤(つるびしお)(500㎖)

香川県・小豆島のもろみ蔵で現在も全量木桶仕込みで造られる〈ヤマロク〉の醤油。鶴醤は深いコクとまろやかさが味わえる自信作。1,944円(0879-82-0666)
〈角谷文治郎商店(すみやぶんじろう)〉の有機三州味醂(1,800㎖)

愛知県碧南市にて「もち米、米麹、米焼ちゅう」のみを用いた伝統製法でみりんを醸造。中でもこちらは国内産有機米を厳選して使う。3,960円(0566-41-0748)
〈海の精〉のあらしお(240g)

100%海水を使用した日本の伝統海塩。塩辛いだけではない旨みのある「あらしお」は日常使いに。天日のみで仕上げた「ほししお」もあり。648円(03-3227-5601)
野菜いきいき鮮度保持袋(80枚入)

袋に練り込んだ天然成分ゼオライトが野菜のエチレンガスを吸着し、鮮度を保つ。キャベツ1玉が入る大型サイズ。598円(エルベ・プランズ 0120-58-5300)
〈ビタクラフト〉のスーパー鉄フライパン(26㎝)

独自の「窒化4層加工」により錆びにくい窒化鉄フライパンを実現。焼き入れなど手入れ不要なのもうれしい。11,000円(https://www.vitacraft.co.jp/)
〈トランパラン〉のセルロース台ふきん

木の端材を使った再生繊維セルロースと綿を配合し、吸水性に優れ速乾性も高いシート状ふきん。食器用スポンジとして使うのも◎。550円(072-468-6456)
〈airnex〉のプラントベーススポンジ

スポンジもプラスチック製でなく植物由来のものを。生分解性で堆肥にもなるセルロースとココナツ繊維を使用。6個入り1,590円(アユラ 0426-10-2907)
3. 環境視点を持って選ぶと「旅」のスタイルも変わる。
スタイリストの木村舞子さんと考える、これからの旅のアイテム選びと、自然や伝統を楽しむエコツーリズムな旅先の決め方。

きむら・まいこ/百々千晴(どどちはる)氏に師事し、独立。雑誌、カタログなどで活躍。『Union Magazine』ではエディターも。『GINZA』webでサステナブルなものを紹介するコラムを不定期連載中。
コロナ禍によりライフスタイルが変化する中で、環境への意識が芽生えたという木村舞子さん。旅に必要なアイテムも「ミニマムで十分」と話す。
「わざわざ旅用にシングルユース(使い捨て)のものを買うことはなく日常で使っているものをそのまま旅に持っていく。そうすることで自然と使い捨てのものは選ばずに済みます。家で使っている固形石けんを切って持っていき、カトラリーやマイボトルも日常使っているものを兼用で。最近は、給水所があるホテルも増えていますから。旅先では、まずボトルに水をしっかり補給してから出発です」
カトラリー
基本のマイボトルとカトラリーに加えて、旅には洗剤なしで食器洗いができるふきんやパッケージフリーで買ったものを入れる保存用容器も持参。「ふきんはさっと洗って干しておけば繰り返し使えます」

洋服類
洋服やバッグなどもデイリーに使っているものを活用。「旅に限定せず日常的に着るものもアップサイクル、リサイクルの視点や自然環境に負荷をかけない働きかけのあるブランドのものを選びたいです」

学びの本
移動時間にゆっくり読書するのも旅の楽しみ、とあげてくれた2冊。「もちろん日常的にも読書はしますが、エシカルな旅先を選ぶなら持っていく一冊も環境問題を考えるタイトルを選んでみても」

アメニティ
歯ブラシやボディソープなどは持参する。「最近はホテルでも必要な分だけ部屋に持っていくスタイルになっているところも多い。できるだけ普段使いのものを持参して快適に。不要なゴミも出さずに済みます」

4. 旅先でできるエシカルなこと。さらに旅を楽しむためのエコアイデア。
エシカルな旅とは? ハナコラボパートナーが感動した旅&してみたい旅をご紹介します。
いしい・さゆり/バースフォトグラファー、トラベルフォトグラファーとして活動。葉山に移住し、ゴミの分別から環境問題を考えるように。
親子でしたいファームステイ。

仕事で訪れた農家のおうちが畑で採れた野菜を使い自家製味噌の味噌汁を出してくれた。そこでしかできない体験に感動し、家族と一緒にファームステイをしたいと思ってます。新潟の〈農家民泊おくやま〉など農業体験ができる宿を探し中!
ローカルなものとの出会いを楽しむ。

旅に行ったら必ず道の駅や地産のものと出会えるお店へ。地域の資源を生かした加工品や新鮮な食材を率先していただきます。日本ではないですがタイのローカル市場で飲んだココナッツジュースは今でも思い出す、フレッシュな味でした。
おもて・ももか/写真家。海外でのボランティア活動をきっかけに、写真を撮るようになる。帰国後アシスタントを経て独立。国内外で活躍。
地元に根ざした個人店を選ぶ。

旅先では、食を通して訪れた土地の風土を味わいたいので可能な限り地産地消のレストランや個人でやっているお店を訪れます。山梨県北杜市の〈草至庵〉は野菜も蕎麦もすべて自家栽培の自家製。そのこだわりぶりに惹かれました。
伝統工芸や民芸の品に触れる。

土地ごとにある手仕事に触れることで、脈々と受け継がれてきた先人たちの暮らしの知恵や工夫を知ることができ、そこにある豊かさも知ることができます。旅先に民芸館や郷土館があれば、できるだけ立ち寄るようにしています。
お土産には手仕事のものを。

地域の民芸館や工芸品を扱うお店を訪ねたら、お土産探しも必ず。モロッコでは絨毯を織るベルベル村を訪れ、メキシコでは焼き物の工房を訪れました。実際に手仕事を生み出す場所を知り、話を伺えたことも大切な心のお土産に。