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2021.12.13

私達を勇気づけたあの人に「おかげさまで」を伝えたい。 「ジェンダーギャップが生む不幸に希望の光を見出せました。」/弁護士・太田啓子さんへ【Hanako Empower Award】

コロナ禍で友達にも会えず、おいしいものも食べていない。それでも止まらない仕事や家事、体調の変化……。それでもふと顔をあげれば、耳を澄ませば、本を開けば、私たちに勇気をくれるものがたくさんありました。「姿を見ていると元気が出る!」「この作品を毎週楽しみに生きてきた」という人や作品を、Hanako編集部が「おかげさまで! ありがとう!」と勝手に表彰する“Hanako Empower Award”、開幕です。10月28日(木)発売 Hanako1202号「気持ちいい生活の選びかた。」よりお届け。

弁護士・太田啓子さんへ「ジェンダーギャップが生む不幸に希望の光を見出せました。」

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法曹という立場から女性をサポートしている弁護士の太田啓子さん。事件には「男/女らしさ」というジェンダーバイアスが影響していると考え、本を上梓。不幸の連鎖を断つためにできることを提示してくれました。

扱ってきた事件の根元には、 性差別が根を張っていた。

離婚案件や、セクシャルハラスメントやDVを含む性暴力事件などを多く担当してきた太田啓子さん。シングルマザーとして2児を育てる母親でもある彼女は、2020年に『これからの男の子たちへ』という書籍を上梓した。「わが子をセクハラ加害者にしないために」、自分にも他人にも性差別の呪いをかけない、相手を一人の人間として尊ぶ心を育てるための声がけなど、自身の悩みや実践していることを綴った内容だ。

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――発売されるや否やAmazonベストセラー(ジェンダー部門)第1位になり、現在は10版まで増刷されましたが、どんな反響がありましたか。

「子育て世代の女性が多いのは想定していましたが、それ以外の女性や男性にも幅広く読んでいただいているようです。歳を重ねた男性からも『これは自分のことだ、と耳が痛かったが読まないといけないと思った』という感想を寄せていただき、出版して良かったなと思いました」

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―― 事件を担当するうちに執筆の動機が生まれたとのことですが、具体的にどんな関係があるのでしょうか。
「私自身、幼少期から性差別的な言説に反発を覚えていました。大人になり、セクハラ被害の経験もして“こんな社会を変えられる職につきたい”と漠然と考えて、辿り着いたのが弁護士という職。全体の2割しか女性弁護士がいないなか、女性からの相談が増え、離婚や性暴力の問題を多く扱うようになりました。事件を担当していくうちにまず女性が経済力を持ちづらく、維持しづらい社会構造をつくづく感じてきて。根底には根強い性別役割分業観があり、女性と対等な関係性を築けない男性が少なからずいること、女性も性差別意識を内面化していることもあると思います。DVやハラスメントなど、女性蔑視からくる男性の様々な問題行動を目の当たりにしながら子育てをしていて、『これからの子どもたちを、性差別の被害者にも加害者にもしないよう育てるにはどうすれば』と考えるようになりました」

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―― 本の中では、太田さんが子供たちにジェンダーバイアスをかけないような声がけをして、テレビなどのメディアや親戚、学校などの社会から持ち込まれるバイアスに抵抗する様子も描かれています。私たちにできるのはどんなことでしょうか。
「まず、一人一人が“女らしさ”“男らしさ”を押し付けないということ。無意識に自分に刷り込まれているバイアスを自覚しようとするのが始まりですね。あとはマジョリティの特権を自覚することも大切です。私は性差別の問題では差別を受ける側のマイノリティですが、“異性愛者”“シスジェンダー”“日本国籍保有者”などマジョリティ属性も多く持っています。性差別において『“差別される側じゃない”人ほど声を上げてほしい』とマジョリティ属性の男性に言うならば、別の差別問題で自分がマジョリティである場合こそ声を上げないと、と改めて自戒しています」

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―― では性差別において、何か被害にあった場合はどうしたらよいでしょうか。
「一度法律相談も検討してほしいです。弁護士相談はハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、相談料の相場は1時間1万円程度。私が法律を知って良かったと思うのは、こわいものが減ったことです。躊躇せず、一度話してみると解決法が見つかるかもしれません」

【私が勇気づけられたもの】『ゴールデンカムイ』

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発売日を心待ちにして、息子さんと一緒に読んでいるそう。「ジェンダーがテーマではないけれど、女性の描き方について信頼していて、安心して読めるので純粋に物語に没入して楽しんでいます」(野田サトル・著/集英社/最新刊27巻/594円)

【Information】『これからの男の子たちへ』

2020年8月に発売された太田さんの著作。清田隆之さん、星野俊樹さん、小島慶子さんとの対談も収録。韓国語に翻訳され、中国や台湾でも発売予定。(太田啓子・著/大月書店/1,760円)

Profile…弁護士・太田啓子(おおた・けいこ)

神奈川県弁護士会所属。明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)メンバーとして「憲法カフェ」を各地で開催。「怒れる女子会」呼びかけ人。共著に『憲法カフェへようこそ』(かもがわ出版)など。

(Hanako1202号掲載/photo : Naoto Ohkawa, Satoko Imazu hair & make : Satomi Horie illustration : Masami Ushikubotext : Kimiko Yamada , Rio Hirai, Makoto Tozuka, Momoka Oba, Ayako Nozawa edit : Rio Hirai (FIUME Inc.))

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