言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第90回~ LEARN 2022.12.26

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。

(photo : Yasutomo Sampei styling : Chie Hosonuma hair&make : Aya Murakami)

「ワールドカップ」

自分の中にある「これは私らしいけど、これは私らしくない」という線引き。私の場合、大きくはインドア〇アウトドア×、スポーツ×音楽〇、エンタメ〇ビジネス×、ラブコメ〇ホラー×などなど。意識して出来あがったものではないけれど、大人も長くなると興味の範囲はなんとなく固まってくる気がする。×印のものに関してはハナから試そうともしない、そんな具合になる。

正直、夫とはまったく趣味が合わない。先ほどの〇と×でいうと全てが逆だし、家に一人でいる時間がないとしんどくなってしまう私と、家に一人でいるくらいなら何処かに出かけたいという彼とでは行動指針も全然違う。まったく方向性の違う二人なので、困るのは休日の過ごし方。けれどもそこは相手を尊重し、互いに強要しないという非常にリベラルなパートナーシップによって、我が家の平和は保たれている。だからといってまったく気にならない、というわけではなく、家に一緒にいるときもその違いを目の当たりにすることは多い。

先日のサッカーワールドカップ。もちろん、いちメディアに勤める者として(そして自局での放送もあったし!)動向や結果は気にかけていたけれども、なにがなんでもリアルタイムで見ようとは思っていなかった。というか、きっとこの職種でなかったら、あとで結果だけハイライトで確認しよう…、というくらい、私はスポーツへのアンテナがポキッと折れているし、蹴り蹴られるボールの行方を追いかけているとなんだか瞼が重くなってくる、というどうしようもない非スポーツ人間なのだ。そんなモチベーションの低い私と、スポーツ大好き!スポーツ最高人間の夫が、ひとつ屋根の下で4年に一度の大舞台を迎えた。

どんなに遅い時間だろうとリアルタイムで見るという夫はハイテンションで事前番組からずっと追っている。対して応援したい気持ちはあるんだけれども、眠気が気持ちに勝ってしまう私。第二戦のコスタリカ戦は夜7時キックオフというとっても見やすい時間だったので、前半後半ちゃんと全部見ることが出来た。負けという結果に対して、スポーツ素人の私は言う。「家庭教師をしてた時もよく生徒に言ってた。最初の簡単な計算問題も5点。後ろの方の長文問題も5点。どっちの5点が取りやすいと思う? 絶対に計算問題だよね? って。ケアレスミスで最初の5点を落とすのはすごいもったいないよって。取れる問題で点を確実に取らないと合格出来ないよって」「そうは言っても仕方ないねん。格下だから確実ってことはないねん。これがスポーツやねん。それがおもろいねん」

チームスポーツをまったくやったことのない私には試験と試合が一緒に思えるけど、相手があることだからそんな簡単に言えることではない、と元高校球児の彼は言う。たしかに、第一戦で日本は真逆のことをドイツにやってのけた。私のすっとんきょうな見解にも呆れることなく、興奮とスポーツの素晴らしさをシェアしようとする彼の熱弁を聴きながら、こういった視野の広がりも二人で生活することの醍醐味なのかもしれないと考えさせられた数日間。熱き戦いの幕が閉じ、あっという間にもう年が明けようとしている。

【弘中のひとりごと】
裏テーマは「ピンクの妖怪イスを運ぶ」です(笑)。

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