花井悠希の朝パン日誌 〈ブラフベーカリー〉のパンをテイクアウト!駅から2分で手に入る横浜元町の味。 LEARN 2021.05.06

5月3日まで「PANORMO」のポップアップストアをそごう横浜店でやっていた関係で、毎日のように横浜にいた私。横浜と聞いたら浮かんでくるパン屋さんは数知れず。だけど買いに行く時間は残念ながらありません。そんなとき、耳寄りの情報が飛び込んできたのです。高島屋の地下のベーカリーコーナーであの〈ブラフベーカリー〉のパンが買える!?帰り道に早速寄ってみました。

遊び心を忘れない、誠実なパンたち。

とはいえ帰り道。時刻は高島屋の閉店30分前。〈ブラフベーカリー〉は人気ベーカリーだし、もうほとんど残っていないだろうなと、期待しすぎない心構えで向かってみると…あれ!これは!?選びたい放題とはいかないけど、10種類ほどは残っているではありませんか(日によると思いますが)!その日の疲れも吹っ飛び、私の目は爛々と輝き出します。きっとパンも応援してくれているんだ(妄想)、頑張ろう!と全部持って帰りたい気持ちを堪え、何種類か選び持ち帰りました。そうなるとやはりもっと色々食べたくなって、また翌日も(今度は昼休みを利用して)突撃したことは、今思い返すと必然だったように思います(遠い目)。

ガリっとハードなバゲットかな?と、歯をロックしてかかってみると(皆やるよね?)、あれ…?見た目以上にソフトなファーストコンタクト。でも食べ進めてみたらやはり違います。ハード寄りの正統派なバゲットの弾力ある生地が待っていました。噛み締める度にそよぐ軽やかな小麦の香り。そこにミルククリームの甘みとコクがガツンとかましてくるから、さぁ大変。舌に触れたその瞬間から油脂分が溶け出し口内を包み込むと、押し寄せるバターの深いコク。室温に戻したバターと同じく一瞬にして体温でとけるから、甘みもうまみもすべてテロンとだらしなくさらけだしてくるのです。ミルククリームがいいとこ全部持っていくなーって、パン部分が少々お怒りかと察しますが(そうなの?)お手柔らかにお願いします。

ふっふっふ。この小ささだから一口で簡単にソーセージに到達できちゃうんです。触れるや否や肉汁をプシャっと弾けさせるとそれを合図にプリプリと揺れ踊り出す。チリドッグの名前にふさわしい、これこそラテン系のノリ!パンチあるチリコンカンソースはかなりキリッとスパイスがたっていて、ひき肉はゴロゴロとお豆はホクホクと大盤振る舞い。そこに畳み掛けてくるようにチーズの香ばしいコクがのっかります。ソーセージにチリコンカンにチーズにと、その部分だけでも完成度高いのに、そんな様子をさらに盛り上げるべくパン生地も張り切っておりました。具材のお祭り騒ぎを決して止めず、むしろ同じくルンルンとした軽快さでステップを踏むパン生地。これはもうあなたも一緒に踊ってみるしかないでしょう(つられてアツくなった人)!

元町にある本店で人気の食パン「ブラフブレッド」を小さくしたのが「ミニブラフ」。触れた場所からしゅわっと指先が感じる繊細なタッチ。そのまま焼かずにまず食べてみると、しっかりとしたクラストの内側はやはりふわふわ。届く甘みは直接的じゃない徐々に染み出てくるようなまあるい甘さで思わず頬が緩みます。

そしてお待ちかねのトーストターンといきますか(トースト好き)。サクッと表面をいくと、もふぁっと柔らかく押し返してくる弾力。綿をたっぷり詰めたクッションのようです。厚切り推奨!この隙のないふかふかさに押し返されるのはぜひ経験してほしいところ。噛み切った断面からゆっくりのっそり立ち上がる生地は、繊細かつ密度が高い故にまったりとした口当たりです。そこから甘みがにじみ出てくる。流行りの甘い食パンとは違う必然性をちゃんと感じる甘さです。ぜひ有塩バターを合わせて甘じょっぱいを楽しんでみてくださいね。

本気だ…この子本気だ。あ、この子ってディルのことです。ガツンとハーブの芳香を放ち道筋を照らします。といっても本気なのはこの子だけじゃありません。スモークチーズもパン全体を包むほど香りがプンプンで、表面のチーズも香ばしさを遺憾なく発揮しております。そんな予感は最初からしてたけど、やはり温めると本領発揮しちゃいますね。表面のチーズはパン生地と共にパリパリと響き、内側のスモークチーズは熱でとろけてコクとスモークの香りがグイングインとうねります。パン生地は目が細かく密度が高いのに、温めると柔らかく緩んでチーズのネットリ感に寄り添って。みんなみんな、本気と書いて“マジ”なやつです(古い?)

ザクザクほかほか系(系って何)。アメリカのホームメイドクッキーみたいなザクっとした食感を歯で割り入って、弾ませている合間にもバターミルクの優しいママの味(◯ルキーじゃないよ)がホップステップジャンプします。表面の砂糖がけがジャリと甘く緩み、食感と香ばしさにシンクロする感じとか、合いの手のようにスコーンらしいバター味が顔を出すところとか、大振りのクランベリーの絶え間なく甘酸っぱい酸味が弾け続けるところとか。一瞬のゆるみも間延びもなく注目したい味わいが一口、一口に詰まっていました。

今回〈ブラフベーカリー〉をゲットしたのは、リニューアルしたばかりの〈横浜高島屋〉の地下食料品フロアにできた〈ベーカリースクエア〉。約40ブランド、500種類以上のパンが楽しめる、パンのセレクトショップのようなお店ができたのです。神奈川県内のパン屋さんが揃うコーナーもあって、まるでパンのテーマパークのよう。それらが雨風へっちゃらの駅直結で買えちゃうんだからすごい。パンは“味わう”から“楽しむ”フェーズへと変化しているのかもしれませんね。久しぶりに流行りに乗れた気がしてうれしい花井でありました(がんばれ)。教えてくれたお友達よ、ありがとう!

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