手仕事で丁寧に作られています。 大注目のこだわりベーカリー5軒。いま、東京で活躍するパン職人のいるとっておきのお店へ。 FOOD 2018.10.05

駅から少し遠くても、わざわざ行きたい理由がある。いま、目指すなら人々を魅了するパン職人がいるお店。おいしいパンを作り出す人々を訪ねました。

1.パリで魅せられ、日本で再現 。パティシエ出身のパン職人。〈ブーランジュリー ボネダンヌ〉

対面式のショーケースの中には、心がときめくパンが並ぶ。棚の右側にある大きなパンは、量り売りで販売。
対面式のショーケースの中には、心がときめくパンが並ぶ。棚の右側にある大きなパンは、量り売りで販売。

静かな住宅街で、フランスの伝統的なパンと焼き菓子を作る荻原シェフ。当初は、パティシエを目指してパリに渡ったものの、「そのときに食べたバゲットがおいしくて」と、それまで興味のなかったパンの世界に魅了された。パリのパン屋で修業を重ね、日本に戻ってからもパン職人一筋。「向こうのパン屋には、お菓子も置いている。そんな街角に普通にある店にしたかった」。

そのどれもが愛らしい姿なのも特徴。
そのどれもが愛らしい姿なのも特徴。

店作りにもこだわりを凝縮。シャンデリアやブロカントなどは、修業時代に現地で買い集めたもの。床のタイルがいいアクセントとなりパリの空気感たっぷり。もちろん、味も現地そのもの。荻原さんをパンの道に進めさせたバゲットは、フランス産小麦を10‌0%使用。できたてのおいしさを味わえるようにと、オーダー後に作るサンドイッチも用意。
週末限定で近所のお店のコロッケを使ったスペシャルなサンドも登場。

2.姉妹でスタートした、自家製天然酵母のパン。〈粉花〉

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自家製レーズン酵母に国産小麦、きび砂糖、オーガニックドライフルーツなど、使う素材にこだわるのが〈粉花〉のパン。素材の風味が生きたパンは、噛み締めるごとに味わいを増す。ころんとかわいいパンを作るのは姉の真由美さん。それを手伝いながらカフェのコーヒーを淹れるのが妹の恵さん。息の合った姉妹が作りだすやわらかな空気感が、優しいパンの味わいと重なる。
カフェの営業は不定期のため、事前に確認するのがおすすめ。

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オープン前の店内では、小さなオーブンから焼き上がったパンが籠の中で並ぶのを待つ。手前が人気の丸パン1 個200円。

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全粒粉のスコーン180円と、恵さんがドリップするコーヒー500円。

3.はじまりは麦作りから。厳選素材で作られるパン〈空と麦と〉

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店主の池田さんは少し変わった経歴の持ち主。自分の田舎を作ろうと、山梨県北杜市に畑を借り、無農薬・無肥料で野菜を育て始め、次に麦の栽培に興味を持つ。自家製小麦のパンは評判を生み、代官山にベーカリーカフェを開いたのが2014年のこと。体にいいものを食べてほしいという思いから、パンに使われる素材や調味料はもちろん、デリの野菜など、提供するすべての食材にこだわり抜き、愛されている。

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安心して食べられる野菜や食材なども販売する。

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働いている人にいい食事をとってもらえるように、サラダやデリ、体に優しいドリンク類も販売。店頭には野菜なども。

4.ゆっくり、じっくり。理想の形にすべてを捧げる。〈ソンカ〉

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村山さんがフランスパンのおいしさに開眼したのは、パン職人になってから。毎日作り続けるうち、自分好みの味を追い求めてみたくなった。あらゆるお店で食べ比べ、研究を重ねること2年。独学で辿り着いたのは、発酵に2日間かけ旨みを引き出す製法。発酵中も頻繁に生地に空気を含ませる作業を繰り返す。丁寧に作業する姿を見るだけでも、おいしいパンを地道に目指す姿勢がわかる。
南阿佐ケ谷駅から徒歩約15分。

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チョコ・フランスや、あん・フランスなどのパンは、平日午前と休日に出合えればラッキー!

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ご近所さんから遠方客まで大人気。「フランスパンは皮を楽しむもの」と細めの形に。超高温で短時間に焼成すると、皮はバリバリ、中はもっちり。

5.灯りの下で食べたい暮らしに寄り添ったパン。〈アカリベーカリー〉

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大好きな国立の街で、丁寧にパンを作る店主の高山顕さん。店名の由来は、食卓の「灯り」から。家族が食卓に集う情景を思い描き、日々食べたくなるパンを目指す。その願いが一番感じられるのが「アカリブレッド」。生地本来のおいしさが伝わることを追求し、湯種製法で仕込んだ食パンは、その味わいともちもちの食感が評判に。パンの種類も豊富で、訪れるたびに食べたいと思えるパンに出合える温かなお店。
毎日食べたくなるように、どれも価格は200円前後なのもうれしい。

アカリベーカリー

焼き上がったばかりのアカリブレッドは、高山さんの自信作。もちもちの食感が特徴で、噛むごとに小麦の香りが広がる。

〈アカリベーカリー〉

14時になるといったんクローズ。商品をしっかり補充してから、15時に再びシャッターを開ける。

(2017年8月1日Hanako food掲載/photo:MEGUMI, Kiyoko Eto,
text:Kahoko Nishimura, Kisae Nomura edit:Kisae Nomura)

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