〈一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)〉

370年守り継がれた貴族の名邸 【鎌倉】美しい庭園でお茶を味わう、国指定重要文化財〈一条恵観山荘〉へ。 Food 2021.07.20

国の重要文化財〈一条恵観山荘〉では、客人をもてなすための山荘と庭を眺めながら、抹茶とお菓子をいただける。そこで今回は〈一条恵観山荘〉をご紹介します。Hanako特別編集『私が知りたいお茶のこと、すべて。』よりお届けします。

鎌倉駅から若宮大路を抜け、坂を上って行くと、報国寺や浄妙寺などが立ち並ぶ、静かで厳かな一帯がある。その一角に立つ〈一条恵観山荘〉は、建築当時の朝廷文化を伝える貴重な遺構として、国の重要文化財に指定されている。移築後、現在は一般財団法人一条恵観山荘が管理。山荘とお庭を案内してもらった。鎌倉には歴史ある寺院が数多い中、人が実際に暮らした建物を見る機会はそう多くない。

〈一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)〉

〈一条恵観山荘〉は、370年以上前の京都で、公卿・一条恵観が生きた山荘だ。公家の中でも最高位にあたる「公卿」であった恵観は、関白や摂政など高官の立場で朝廷を支えた。第一線を退き始めた40歳の頃、別荘地を造営。自然や文化を愛した恵観が自ら設計した山荘には、恵観と客人がゆったりと過ごすための意匠が凝らされている。山荘は茅葺(かやぶき)屋根と土壁で造られ、外観は一見すると田舎の民家のように素朴。だが、一歩中に入れば全く印象が変わるだろう。

移築の際に新築された建物には、茶室が。
移築の際に新築された建物には、茶室が。
お茶が飲める〈かふぇ楊梅亭(やまももてい)〉。
お茶が飲める〈かふぇ楊梅亭(やまももてい)〉。
山荘の中で最も格式の高い部屋の引き手には、宮中を意味する「月」の文字が使われている。次の間には「の」の文字があり、和歌の始まりを思わせる。
山荘の中で最も格式の高い部屋の引き手には、宮中を意味する「月」の文字が使われている。次の間には「の」の文字があり、和歌の始まりを思わせる。

内部には中央の部屋を取り囲むように10の部屋があり、障子や板戸などの建具で仕切られている。この造りは、寝殿造や書院造、数寄屋造など、さまざまな建築法を織り交ぜた恵観独自のアイデアだ。さらに、それぞれの部屋の天井や戸の引き手まで、細かくデザインが分けられている。建具を開け放つと、山荘の奥にいても庭園の緑を楽しむことができる。庭園は京都にあった当時の姿を再現。鎌倉の気候では繁殖しづらい苔を丁寧に生やし、移築とともに運んできた飛び石を配置した。低く整えられた熊笹、生垣なども見事だ。

開園から4年が経ち、いま人気なのは紫陽花や紅葉など季節の植物で美しく彩った「花手水」。自然を味わう工夫だ。
開園から4年が経ち、いま人気なのは紫陽花や紅葉など季節の植物で美しく彩った「花手水」。自然を味わう工夫だ。
〈かふぇ楊梅亭〉は施設内の滑川沿いに立っている。植物を愛で、風を感じながら抹茶と季節の生菓子1,100円を楽しめる、爽やかでゆったりとした時間だ。
〈かふぇ楊梅亭〉は施設内の滑川沿いに立っている。植物を愛で、風を感じながら抹茶と季節の生菓子1,100円を楽しめる、爽やかでゆったりとした時間だ。

近ごろは季節の花を浮かべた水盤「花手水」、新たに整備された「臨川(りんせん)の森」「さえずりの滝」も人気を集めているという。兄の後水尾(ごみずのお)天皇を招くこともあった恵観のもてなしの心は今に伝わり、見学者を楽しませてくれていた。敷地内にはカフェがあり、この空間で飲む抹茶は格別のおいしさだ。恵観が過ごした時代に思いをめぐらせに、訪ねてみたい。

〈一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)〉

〈一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)〉

山荘建物見学に参加すると解説付きで山荘内見学可(毎月指定日開催、先着順)。庭園は常時見学可。入園料500円、山荘建物見学1,000円(入園料別)。
■神奈川県鎌倉市浄明寺5-1-10
■0467-53-7900
■10:00~16:00(最終入園15:30 )休みはHP参照

https://ekan-sanso.jp/

(Hanako特別編集『私が知りたいお茶のこと、すべて。』掲載/photo : MEGUMI text : Kahoko Nishimura)

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