『日本一の最低男』『御上先生』など、今期のドラマどうだった?オラリーの今期気になる地上波ドラマ~2025年1月期~

『日本一の最低男』『御上先生』など、今期のドラマどうだった?オラリーの今期気になる地上波ドラマ~2025年1月期~
『日本一の最低男』『御上先生』など、今期のドラマどうだった?オラリーの今期気になる地上波ドラマ~2025年1月期~
CULTURE 2025.04.09
毎クール10作ほどのドラマをチェックし、朝ドラや配信作品にも目がないドラマラバー・オラリーさんが、2025年1月期のドラマ作品を振り返ります。前回記事はこちらから。

プロフィール
オラリー

オラリー

福島県出身、東京都在住。8人組バンド片想いのボーカル。2児の母でもある。

片想い

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『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』

政治家を目指すべく、「自身のイメージアップのため」という最低な目的でシングルファーザーの義弟、その子どもたち2人と共同生活を始めた一平(香取慎吾さん)。そんな”ニセモノ”の家族との生活を通して、これまで気付くことができなかった様々な社会問題や日常の課題と向き合うことに。いつしか本気で社会を変えたいと思うようになった一平が、選挙当選を目指し成長していくストーリー。

冒頭では一平が本当に最低で不安でしたが(笑)、自分の古い考えと新しい価値観をうまく咀嚼してアップデートしていく姿は痛快でした! かつて培ってきた感覚や過ちも決して無駄ではなくて、人間性として活かせる気持ち良さ。過去の否定ばかりで終わらず、全部をひっくるめて未来へ進んでいくということを言語化してくれていて、とても好きでした!

『風のふく島』

東日本大震災の際、原発事故に伴う避難指示の対象となった福島12市町村を舞台に、実在する12名の移住者たちにフォーカスした1話完結のオムニバスヒューマンドラマ。

様々な想いを持って移住してきた人々のストーリーは時にどこか幻想的で、現実とは思えないようなことも多々起きるのですが、最終的にはみな臆することなく突き進んでいく。強くてうつくしい人間模様に、毎話救われるような気持ちでした。年齢も性別もバラバラな12人の生き生きとした姿を見逃さず、1話という縛りの中で演じきるキャスト陣も素晴らしかった! 特に9話の青木柚さんの回、異彩を放つ大学教授役で飴屋法水さんが出てきた時は本当にびっくりしました! それから12話の小西桜子さんの回、アルバイト先の上司役の遠藤隆太さんがかなり個性的で、目が離せませんでした。これから大注目です!

『五十嵐夫妻は偽装他人』

偶然同じ会社に転職してしまった別居中の五十嵐夫妻は、同僚たちにバレないよう他人を装って働くことに。素直になれない二人が、夫婦の在り方を模索していくラブコメディ。

真尋役の新川優愛さん、直人役の塩野瑛久さんの夫婦ペアがとにかく好きすぎて、キャスティングに感謝です。完璧に見える二人にも不器用な面があって、こんな些細なことで悩んだり迷ったりするんですね、、! と逆に元気をもらえるくらい、お二人の演技がリアルで切実。夫婦のままで他人になりすました二人はお互いが大切であることに心から気付き、だからこそ自分自身も大切にしなければならないという結論に。二人は本当の他人に戻り、改めて出会い直していくという納得のラスト。お互いを尊重していく二人は絶対に幸せになれる! 良いドラマでした!

『御上先生』

官僚派遣制度によって私立高校へ出向することになった文科省官僚の御上孝(松坂桃李さん)が、令和の18歳を導きながら日本教育の根本再生へ向かっていくストーリー。

これまでの日曜劇場作品の中でも、『御上先生』は自分ごととして解釈できる内容でとても見やすかったです! 教育再生がテーマなのでラストは腐った権力を暴き、悪い奴らは裁かれていく……という流れなのですが、これが決してスカッと成敗! というわけでもなくて。卒業の日に御上が生徒たちに伝えた「考える力とは、考えても考えても答えが出ない問いについて投げ出さずに考え続けること」という言葉通り、この問題はまだ終わっておらず、考え続けていく過程のひとつということを象徴しているように思いました。どのキャストも素晴らしかったのですが、教育に喜びと苦しみを抱えながら真摯に向き合う是枝先生役の吉岡里帆さん、さすがでした!

『週末旅の極意2~家族って近くにいて遠いもの~』

子どもたちが巣立ったことでなんとなく距離が出来てしまった4人家族が、「週末旅」を通してかつての家族の形を少しずつ取り戻していくストーリー。

疎遠になっていた子どもたちと会話の減った夫婦。旅行といってもいきなり”一家団欒”というふうにはならず、いつの間にか出来た見えない壁のようなものが邪魔をして、距離が縮まらない。それでも旅をすることで生まれる緩やかな強制力が少しずつ皆の本音を引き出し、向き合えるようになっていきます。それぞれの居場所を大事にしつつ、たまに皆と共有する場所があると少し嬉しい。私は主に母親の立場で感情移入していましたが、将来こんなことがあった時は旅行を計画しよう……と素直に思いました(笑)。

今期は他に、”晩活”を通して味気ない日々を取り戻していく『晩餐ブルース』、異国で生きる人々の葛藤を細やかに描いていた『東京サラダボウル』、0日婚という始まりから温かな関係を築いていく『いきなり婚』も面白かったです!

illustration:Misa Itoi edit:Kei Kawaura

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