トルコ最大の文化芸術の祭典に行ってきた。Vol.1 【トルコ】新世代の「現代アート」が今、元気!イスタンブル、アンカラを巡る TRAVEL 2022.12.13

東西文化の交差する地で、世界で最も旅心を誘う国のひとつトルコ。なかでも街のエネルギーを底上げしている、新世代の地元作家による現代アート。2022年10月に開催された、トルコ最大の総合的な文化・芸術の祭典「トルコ・カルチャールート・フェスティバル」の展覧会でも絵画、オブジェ、視覚芸術、ニューメディアなど、多岐分野に渡り、アート文化に拍車をかけていた。なかでも中心部となる都市、イスタンブル、アンカラの現代アートシーンの“今”をピックアップ。

神話の満たされないラブストーリーから着想

まずは最も魅了されたイスタンブルの〈MEŞHER(メシェル)〉での展覧会「I Am Nobody. Are You Nobody Too?(私は何者でもない、あなたも何者でもない)」。何世紀も精神について語り継がれてきたギリシャ神話のエコーとナルキッソスの満たされないラブストーリーに、現代的な解釈を与えたモダンアート。反射、共鳴、変化をテーマに、叶わぬ恋の欲望を絵画、オブジェ、視覚技術で織りなした空間で、絶妙な人の恋心を表現。インテリアとして持ち帰りたいぐらいフォトジェニックなオブジェも魅力的。

トルコ刺繍で織りなすモダンな現代ポートレート

イスタンブルの〈GRANDPERA(グランドペラ)〉で開催されたグループ展では、古代から続くトルコ刺繍をテーマに、さまざまなアーティストが絵画やデジタルアートを展示。なかでも、近くで見ないと刺繍で編み込まれているとわからない繊細なポートレートの絵画は、展覧会では一際目を引く存在。イケメンをモデルとしたステッチの優しいタッチとスタイリッシュな額縁がグッドバランス。

アイコン映画の体験できるシネマミュージアム

名作映画16本と未完成映画3本の詳細や衣装などが展示されたスタンリー・キューブリック展が、イスタンブル〈ATLAS CINEMA(アトラスシネマ)〉で開催。名作『ロリータ』のコラージュや『シャイニング』に登場する双子の衣装展示など、ファンにはたまらない内容となっている。また、触れると映画の詳細が浮き上あがるデジタルブックや、映画の登場人物の声が聞こえる電話機など、名作映画を体験することができる期間限定展。

スタイリッシュな写真集や本がコレクションされた図書館

イスタンブルのアタテュルク文化センターに併設された〈AKM LIBRARY(AKM図書館)〉は、音楽、建築、デザイン、ファッションなど芸術文化に焦点をあてた図書館。1階と2階の2フロアがあり、モダンでありながら温かみある設計で、月曜以外の10時〜17時の時間帯に中にはいることができる。

ガーリーな世界へ引き込まれる絵画

アンカラのアートギャラリー〈Cer Modern(セルモダン)〉ではヤングアーティストの絵画を展示。裸体をアートした絵画とダークガーリーな女性を描いた絵画が目立っていた。また寛ぐ男性をトルコ産のコットンテーブルクロスに鉛筆で描いたユニークな作品も印象的。

キッズやカップルに人気なデジタルアート

アンカラの〈Museum of Republic(リパブリックミュージアム)〉の敷地内の別の建物で開催されたデジタルアート展は、赤、青、緑のカラーランプの灯りで、各部屋や廊下が染まった独特の空間で、デートコースとして訪れているカップル、デジタルアートを眺める子どもが多い。トルコ絨毯が万華鏡のように変化していく部屋や、ボックスの中のキューブが輝きながら形を変えていく部屋など、いくつもの部屋に分かれていて次の部屋を覗くのがワクワクする仕組みだ。

暮らしに溶け込む猫がトルコのアートに

トルコは野良猫がとにかく多い。イスタンブルでもアンカラでも、まるでアートのように街に溶け込んでいる。イスタンブルでは、カフェの椅子や入り口に座る猫を、店員もお客も頭をなで、けしてお店から追い出したりしない。アンカラのハマムではターキッシュアンゴラ(アンカラ猫)という白猫がアイコンになっていて銅像やお土産も。猫にやさしい国として有名であることが頷けた。

歴史的なアヤソフィヤやブルーモスクなどを巡る王道なトルコ観光はもちろん、この国の未来を彩っていく新世代アーティストたちのエネルギーある作品もぜひトルコに行ったときは触れてみてくださいね。

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