物価上昇、先が見えない世界経済。生き抜くためのお金の管理術


なかむら・よしこ/アルファアンドアソシエイツ代表取締役。早稲田大学商学部で国際経済を学ぶ。日本の女性FP第1号で、相談実績は女性を中心に1,500件以上。著書に『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方・ふやし方』(三笠書房)ほか多数。
「今までしなかった人が投資をすることで国が元気になります」

あんどう・なつ/お笑いコンビ「メイプル超合金」のツッコミ担当。相方はカズレーザー。2015年にM-1グランプリのファイナリストになった。おかっぱ眼鏡に紫色の服がトレードマーク。20代から介護職を経験し、2023年3月に介護福祉士を取得。
「お金の動きが見えないのはこわいのでNOキャッシュレス」


(以下、中村)
安藤さんはお金の心配事はありますか?

(以下、安藤)
私は44歳の今まで、借金をしたことが一度もありません。2015年にお笑いの大会に出るまでは仕事が全然なくて、介護ヘルパーもしながら月10万から15万円の生活費で切り詰めて暮らしていました。その経験から、もし仕事がなくなってもまた納豆ご飯生活をすれば生きていけるな、くらいで思っているので、お金の心配はないですね。ただ、最近NISAを始めていくら増えたとかいう話をよく聞くので、どういうこと?って、興味をもっています。

そうですか。どこから始めましょうか?

投資(※1)の種類や内容とか、あんまりわかってないです。株をする人って、値動きのグラフをパソコンやスマホの画面で毎日何時間も見続けて何億稼いだとか騒いでいる印象があります。

株式(※2)は「投機」と「資産づくり」に区別できます。安藤さんがおっしゃっている人たちは投機(※3)で、短期間で売り買いを繰り返して儲けを狙っているんです。この方法は、専門の勉強をしてフルタイムで時間をかけられる人じゃないと成功しないどころか、逆に損するリスクが大きい。
一方で、時間をかけてお金を育てるのが資産づくり。中でもNISA口座での積立は、長期でお金を増やしていく制度。投資信託という株のパッケージを毎月同額で買っていくことで資産を育てます。そもそも資本主義社会(※4)では、どの国の政府も「自国の経済を成長させる=株価を上げていく」ことを経済政策の柱にしています。
株式相場はアップダウンしながらも上がっていくことが想定されています。景気が良くなれば会社が儲かって株価が上がる。だから、株式会社の株をパッケージにした投資信託は、長期で見ると上がっていく可能性が高いわけです。

短期決戦の投機と資産を育てるNISAでの積み立て。同じ投資でも全然違いますね。

しかもNISAで投資をすると、利益に税金がかかりません。

え!? なんでですか?

それは、国がみんなに投資をしてもらいたい、自分で自分の老後に備えてほしいから。資産運用をする人が増えると株式相場全体にプラスになって、投資した人の財産も増えます。

じゃあ、やったほうがいいじゃないですか!

そう、投資をしない人とする人の差は大きいですよ。最初に方針を決めて一回手続きをしたら、後は放っておけばいい。10年後20年後には、大きく増えているのが期待できます。

放っておけば増えるのはいいですね。どの投資がおすすめですか?

おすすめはできても、投資の仕組みがわからないまま投資を始めると失敗するので、基本から学んでいきましょう。
※1 利益を期待して、株式や金、債券、不動産など値段が動くものを買うこと。預金のように元本や利息の保証がない一方、利息より大きい利益が期待できる。
※2 株式市場で売買される。投資家(株主)は証券会社を窓口にして取引する。会社の利益が増えれば株の値段(株価)は上がる。
※3 株式などを短期(数時間~数週間)の値段の変動を狙って売買すること。当たれば儲かるが損するリスクが大きい。
※4 資本主義は、個人や企業が自由にビジネスをして利益を追求するシステム。企業の競争で、より良い商品がより安く生み出される可能性が高いが、貧富の差が広がる傾向も。
お金を増やす方法ありますか?