早稲田で45歳から学び直し、60歳で教授に。まだまだ続くいとうまい子さんの挑戦

いとう・まいこ/1964年生まれ、愛知県出身。1983年、芸能界デビュー。ドラマや映画に出演しながら、現在は研究者、経営者としても活動中。2025年度からは大学教授の肩書きも加わる。

45歳からの学び直しは、恩返しがきっかけ。自分なりの社会貢献を探る中で研究者の道に辿り着いたが、15年に及ぶ学びは予想外の連続だった。
「大学では予防医学とロボット工学、大学院では基礎老化学と思いがけず学びの分野が幅広くなったものの、根本にあるのは、人や社会に対しての恩返し。希望していた教授の定年退職、両親の介護など、何度も学びの道が途切れそうでしたが、その都度もらったアドバイス、流れにとにかく素直に乗る。20歳の同級生から『ロボット工学が人気らしい』と聞きつけて、ものは試しと未知の分野に飛び込んだから今があります」誰かが扉を開いてくれると、好奇心でついその扉を覗いてしまう性分。
「学び直す中で、趣味もなく、何事も三日坊主な私が、寝食を忘れるほど没頭できる〝実験〞に出会えました。実験の手技が美しい先輩に憧れ、培養する細胞を愛しく思う日々。経験上、学びは好きよりも〝得意〞を重視するほうが続けられる。好きが嫌いになっても、得意が不得意になることはありませんから。得意に好きが重なったら、それが自分の道です」

実験の詳細を記録しているノートと愛用のボールペン(ジェットストリーム)。
研究者・いとうまい子さんのヒストリー
2010年 早稲田大学人間科学部eスクールへ入学。予防医学、ロボット工学を専攻する。
2014年 早稲田大学大学院人間科学研究科修士課程へ。ロコモを予防するロボット「ロコピョン」開発。
2016年 早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程へ進学。専門は基礎老化学。
2021年 子どもの教育の未来について提言する、内閣府・教育未来創造会議の構成員に選任される。
2025年 4月より東京大学大学院理学系研究科に所属。情報経営イノベーション専門職大学の教授に就任。