n17_0112

夏子の大冒険 〜美術館をめぐる旅〜 魂を感じる朝倉彫塑館へ。「窓と庭と畳と猫」編 Learn 2022.05.04

今回の大冒険の舞台は〈朝倉彫塑(ちょうそ)館〉。彫刻家である朝倉文夫さんの自宅兼アトリエだった建物が、美術館として公開されています。閑静な住宅街にある立派な邸宅と館内にあるたくさんの作品からは、朝倉さんの生活を垣間見ることが出来ました。

得体の知れない気配。

n17_0054

彫刻を見るのが好きです。ひとりで彫刻や作品に囲まれていると、必ず気配を感じます。私に霊感はありませんが、それでも“見られている”と感じるのです。作品が発する得体の知れないその気配は、きっと作者が彫りながら、削りながら、込めた「魂」なんだと思います。こんなたくさんの魂を生み出すのはどんな人なんだろう。想像するだけでワクワクします。

----------------------------------------------------------------

「窓と庭と畳と猫」

n17_0020

5月に入ると私は少しホッとする。みんなが「五月病が…」と言い出す頃、不思議と私は元気になり始めるのである。梅雨に入って鬱々とした天気が始まる頃には、私はひとり、ケロッとしている。

n17_0170

代わりに、3月・4月はダメなのだ。出会いと別れの季節、変化の高揚感に包まれたみんなを尻目に、ひとり世界に置いていかれるような気分になる。占い的にもそういうタチらしいので、仕方がないと諦めることにした。桜は優雅よりも狂気に見えている。

n17_0204

まず大抵、食欲が落ち始める。お腹が空いてるはずなのに、スーパーに入っても何も買わずに出てきてしまう。さらに、いつもは本を5冊くらい併読しているんだけど、これもまるで読めなくなってしまう。私にとって、春というのは気力を奪っていく季節なのだ。

n17_0182

そんな危機が訪れたら、私は決まってピアノの演奏会へと行くことにしている。ピアノというのが肝心。活字はもちろん、映画も音楽も響かなくなった心にでも、ピアノの音だけは沁みてくるのだ。そこで大号泣をする。客席でひとり、マスクの中に水溜りを作りながらおろおろ泣いている成人女性は、ちょっと怖い。

n17_0086

毎年、こんなことをしながら、どうにかこうにか春を乗り越えている。ひとり上手になりすぎるのは良くない気もするけど自分の機嫌を取れるのは自分しかいない。

n17_0262

朝倉彫塑館に入った時、“先輩” を見つけた! と思った。そこで仕事をし、生活していた家主が必要とした窓があって、庭があって、畳があった。きっと猫もいた。そのひとつひとつが切実で、アトリエに並ぶ作品を創ることの苦労を知った。朝倉さんは、自分に必要なものがちゃんと分かっている方だったんだと思う。

n17_0234

きっと誰もが何かを擦り減らして、それを何かで埋めながら生きている。今のところ春の私は、すべてピアノが埋めてくれているんだけど。

----------------------------------------------------------------

今回訪れたのは…〈朝倉彫塑館〉

n17_0150

たくさんの作品を鑑賞できるのはもちろんのこと、朝倉さんご自身が設計し、国の有形文化財に登録されている邸宅の中をめぐれるのも、醍醐味のひとつ。館の中央に位置する「五典の池」がなんとも美しく、錦鯉が泳ぐ清らかな水を眺めていると、心身が浄化されていくようでした。平日の朝、来館者の少ない時間帯に訪れるのがおすすめです。

n17_0279
n17_0077

〈朝倉彫塑館〉

■東京都台東区谷中7-18-10
■03-3821-4549
■9:30~16:30(受付締切16:00)
■月木休(祝の場合は翌日)
■500円

※ 入館時は靴下を着用ください。

photo : Yumi Hosomi

Videos

Pick Up

YUNO TAKEMURA PinterestヘアメイクアーティストYUNO TAKEMURAさんがPinterestを使う理由。ヘアメイクアーティストとしてサロンワークを中心に活動するYUNO TAKEMURAさん。私生活では、ヨガを取り入れるなど、充実したライフスタイルに憧れるフォロワーも数知れず。そんなパワフルな彼女の好奇心を日々育んでいるのがビジュアル検索ブラットフォーム。 「ブログやSNSが流行り出したのが学生時代。自然と昔からアウトプットやインプットができるツールに触れてきました。そのうちに、ピンタレストも使うようになり、気がつけば8年目。“五感派”の私にとって、すぐに言語化できない段階の感情や脳内のイメージをビジュアルによって整理してくれるピンタレストはとても便利です」 2021年に独立し、フリーになった彼女。同時にプロダクトブランド〈HOPE〉をローンチしたり、結婚披露宴のコーディネートもはじめ、活躍の幅を広げている。 「〈HOPE〉では自分が使いたいと思うものを展開しています。昔の人が使っていた“カンザシ”を、どれだけ現代のライフスタイルに溶け込ませることができるか考えた時にもピンタレストを利用しました。例えば、最初の段階では、漠然とカンザシを作りたいけれど、どういうデザインにしたいかは自分でも見えていないんです。でも、誰に使ってもらいたいか、どういう自分が身に着けたいかというイメージは頭の中にある。そんな時に、ピンタレストを開けば、どういったライフスタイルに自分が惹かれているのかがビジュアルとして上がっているので、本当に求めているディテールが明確になっていきます。そうやって探索していくうちに、想像を遥かに超えて、新しいマインドにも気づかせてくれるので、プロダクトのデザインも着地していきます。そんなふうに、求めているものをより具体的に形にしていくために、ブランドディレクションやウェディングコーディネートの仕事、そして自分自身のビジョンを思い描くビジョンボードをピンタレストで作ってます」。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。Learn 2022.12.26 PR
ホールに入ってすぐの天井には大きなシャンデリアが。
6630個(!)のクリスタルガラスはアルコールのしずくを表している。文筆家・塩谷舞による「今日、サントリーホールで。」Vol.1「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい。美術館で何かいい展示してないかな、映画館は……」。そんな日常の選択肢に加えて欲しいのが「コンサートホール」。クラシックといって構える必要はありません。純粋に音を楽しむのはもちろん、目を閉じてゆっくりと息を吸いながら、最近の自分のことを振り返ったり、あるいは遠くの場所や知人のことを思い出したり。ホールを出るころには心と体がふわっと軽くなる。文筆家・塩谷舞がサントリーホールで体験して綴る、「コンサートホールのある日常」。Learn 2022.12.26 PR
Pinterest_WEB連載-3見て、考えて、作って。ピンタレストはもの作りのパートナー。美しく盛り付けられたお菓子の写真が人気を博し、SNSで計15万人以上のフォロワーを持つフードデザイナーのAi Horikawaさんは、お菓子作りはもちろん、ビジュアル制作まで手掛けている。高校生(!)のときから10年以上使っているピンタレストは、もの作りの基礎体力をつけ、今のキャリアを築くためのツールであり「もの作りのパートナーです」という、彼女のピンタレストライフとは。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。Learn 2022.12.12 PR
Pinterest_WEB連載_#2-1ピンタレストは自分の視野や世界を広げるツール。人物やトラベル、企業などの広告撮影で活躍しているフォトグラファー、もろんのんさん。昨年、フリーランスになるまでは、会社員と兼業していた。そのキャリアの過程を聞いてみると。 「もともとカメラが好きというよりは、友人とのおでかけの延長線上に写真があったんです。学生時代から、『日光の紅葉を見に行こう』『国営ひたち海浜公園のひまわりを撮りに行こう』と、さまざまなところへ出向き、撮影したカットをSNSに載せていたら、Hanakoさんからお声をかけていただいて。写真の仕事を始めて8年目です」 独学でカメラを勉強してきた中、ピンタレストがおおいに役立ってきたそう。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。 Learn 2022.12.19 PR