【カレーときどき村田倫子】第1回 二人の女性店主がつくるスパイスカレーのお店〈小さかった女〉へ。まるで西小山の秘密基地。 LEARN 2019.08.03

はじめまして。村田倫子です。「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえる企画。「ASBS」というWEBメディアから、この夏、「Hanako.tokyo」に引っ越してきました。憧れのHanakoさんのお膝元でカレー欲を炸裂できる場をいただけて、とても光栄です。そんなわけで、はりきって(前のめりで)様々なカレーを紹介していくので、どうぞお見知り置きを…。記念すべき第1回目は西小山にある〈小さかった女〉へ。

西小山駅にちょこんと店を構える〈小さかった女〉。

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何やら物語がはじまりそうな含みのある名前。「小さかった」過去とスパイシーな一皿。あぁどんなカレーが私を待ちうけているのか…。未開の地に、プロローグから思考も胃袋も好奇心で満ち溢れる。

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スパイスの香りが漂う、ウッドベースで落ち着きのある一間。

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粋な本が並ぶ棚、沈黙を守るピアノ、地球儀、ゲームボード…。一見無秩序でありながら、不思議と落ち着く空間は、だれかの秘密基地に迷い込んだよう。

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この魅惑の基地の主は、小助川麻里耶さんと田尻紡さん。柔らかな笑顔が素敵なこの二人で、〈小さかった女〉の物語がはじまった。元々、とある飲食店のバイトメイトだった二人。「自分のお店を持ちたい」という大事に育ててきた想いを、5年ほど前にこの地で形にした。

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家具、内装、壁の塗装まで…2人でゼロから描いた場所。前の職場で、2人の距離を一気に縮めた共通項は「アート」。このセンス溢れる内装の雰囲気は…、なるほどそうゆうことね。外国人の方からも絶賛されるというこのアートも、小助川さんが手がけたそう。

オーナー自身の感覚から抽出し、表現されたカレーたち。

「KOYAMAチキン 」950円
「KOYAMAチキン 」950円

ある日、啓示を受けたかの如く鍋を振るい、スパイスを調合し、自分が思う「美味しい」の形を、一皿に惜しみなく閉じ込めてできたのがこの「KOYAMAチキン」。感性と感覚を研ぎ澄まし生まれたアーティスティックな一皿。

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ピリリと爽やかな辛味がスーと抜けた後に、深いコクがまったりと押し寄せる。ホールスパイスから潰したてのピチピチの香辛料が無邪気に弾け飛び、口内は幸せな花火でわっしょい状態。

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「西小山」の名前からインスピレーションをうけた、ご飯の「小山」は硬めに炊かれた北海道産の「ななつぼし」を使用。ルーとの絡みが抜群で、勢いづいたスプーンは、雪崩のごとくライスマウンテンを侵食する。

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マイルドな酸味が口あたりのよいキャベツのマリネは、お好きなだけどうぞ。

驚くことに、小助川さんと田尻さんはカレーを研究したり、食べ歩くことはあまりしないそう。これを自身の感覚から抽出し、表現したって…!?え…天才ですか?

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カレーのお供に頼んだコーヒーは、〈小さかった女〉のカレーのために焙煎されたもの。お客さんとして訪れた〈compass coffee〉さんが、この一皿に惚れ込み、この一皿を想ってブレンドしてくれたそう。人の縁を紡ぐカレーの輪。そうなんだよ、カレーは人を引き寄せ繋げてくれる媒介者。この連載だって、ご縁の重なりで今こうやって皆さんの目にふれている。

「東京キーマ」850円
「東京キーマ」850円

「東京キーマ」とシティガールな看板を掲げるキーマカレーもおすすめ。一粒一粒、ぎゅぎゅっとコクと旨味がつまったスパイシーなそぼろ。そこにゆらゆら輝く黄身を溶かしたら…あぁもう、ずるいなあ。(絶品)

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ガツンと鋭角に攻めてくる「チキンカレー」とはまた違ったベクトルからのアプローチ。ポークやフィッシュのカレーも全く違う風合いに仕上げているそう。一つ屋根の下に、個性豊な子がぞろりと揃ってるのは、何度も足を運ぶ楽しみがある。平日は2種のあいがけカレーもできちゃうらしいから、色々欲張っちゃうのもありだな。

2人の女性店主がつくる、おいしさの秘密。

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〈小さかった女〉の秘密の隠し味は、手作りの調味料。味噌のような深いコクと旨味は、このオリジナルのソースから醸される唯一無二の味。何が入っているかは企業秘密。気になる人ほど、ちょっぴりミステリーがあるほうがいいよね。(もっと気になっちゃう)

〈小さかった女〉の住処にどっぷり身を委ね、のびのびとした香辛料の芳香にうっとりする。夜のアラカルトも気になるから、次は日が暮れたときにでも立ち寄ろう。

〈小さかった女〉

■東京都品川区西小山5-25-14〈カーサファイブ〉1F
■03-6887-2292
■11:30〜15:00 18:00〜21:00(L.O.20:30)月曜定休

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