女性の不調を整える漢方「桂枝茯苓丸」。なんて読む?

やまぐち・りりこ/kampolab代表薬剤師、漢方薬店kampo’s、無添加薬膳FOOD LAB 築地の代表。大手漢方薬局に勤務後、独立。セミナーへの登壇や漢方薬膳監修なども行う。

日々多くの患者さんと向き合い、漢方相談を行っている山口りりこさんによると、Hanako世代の体調不良は3つのタイプに大きく分けられるという。
「この症状が出たから、この漢方薬を飲む、という対症療法的な関わり方をするのではなく、まずは自分がどのタイプに分類されるのか知ることが第一歩です。一言でPMS(月経前症候群)がひどいといっても、下腹部に強い痛みを感じるのか、イライラしてしまうのか、など様々な症状があります」自分がどのような不調に悩んでいるのか改めて考える時間を持つことも大切。「ストレスを感じやすく呼吸が浅くなってしまい、情緒不安定になりがちな方は肝鬱気滞、のぼせるような暑さを感じながら足先が冷えていて生理不順な方は瘀血、手足がほてり、肌や口の中が乾燥しやすい方は腎陰虚という状態であることが多いです。それぞれのタイプに合う漢方薬や食材を摂り入れて、体の調子を整えていきましょう」
普段の食生活を意識すれば、体の不調やプレ更年期の症状を軽減することにつながる。体質改善をするには、自分と向き合い、自身の体質を知ることが何より大切。
1. 血液の流れが滞り、「冷えのぼせ」が起こりやすい。…瘀血(おけつ)
血行不良が起きている状態。血流が悪く、上半身だけのぼせて、下半身が冷えることが同時に起こる「冷えのぼせ」が主な症状。痛みにつながりやすく肩こりや生理痛、腰痛が強く出てしまうことが多い。シミや濃いクマに悩まされることも。瘀血体質が子宮筋腫を作る原因の一つとも考えられているので上記症状がある人は専門医に相談を。
[お薦めの漢方薬]
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…桂枝(けいし)、茯苓(ぶくりょう)、芍薬(しゃくやく)、桃仁(とうにん)、牡丹皮(ぼたんぴ)が含まれ、血行不良に効果があるとされる。
[食事に摂り入れるなら]
ターメリックやシナモン、サフランなどの風味豊かなスパイスや、玉ねぎ、ニラ、ニンニクなどの香りのある食材は、停滞している血を動かすとされているのでぜひ摂り入れて。
2. イライラ、憂鬱……心が不安定な状態。…肝鬱気滞(かんうつきたい)
精神的な緊張や興奮で、「気」の流れが悪くなってしまっている状態。イライラや不安、過度の緊張により、呼吸が浅くなっていることが多く、のどのつまりやこめかみの痛みを感じたり、自律神経が乱れることも。睡眠障害が起こるのもこのタイプ。常に緊張しているので、しっかり寝られたとしても疲れが残っていることが多い。
[お薦めの漢方薬]
加味逍遙散(かみしょうようさん)…芍薬や牡丹皮などが含まれ、原因のはっきりしない不定愁訴に用いられる。
[食事に摂り入れるなら]
イライラを和らげてリフレッシュさせてくれる、柑橘類を摂り入れて。中医学では、爽やかな香りが気を動かしてくれると考えられている。大葉、香菜などもお薦め。就寝前にミントティーを飲むのも◎。
3. 肌や髪の乾燥が目立ち焦燥感に悩むことも。…腎陰虚(じんいんきょ)
体の潤いに欠かせない「水」が不足している状態。体のあらゆる部位の乾燥に悩んでいる方はこのタイプ。化粧水では補えないような内側からの乾燥が目立ち、白髪や抜け毛、さらには焦燥感に駆られるという悩みが起こることも。水分が足りないことで便秘がちになり、更年期障害の代表的な症状であるホットフラッシュも起こりやすい。
[お薦めの漢方薬]
六味地黄丸(ろくみじおうがん)…山薬(さんやく)や地黄(じおう)などの6種の生薬を配合。だるさやむくみといった不調も改善する。
[食事に摂り入れるなら]
水分を補ってくれる食材を積極的に摂り入れて。山芋やめかぶなどのぬめりのあるものも。また、黒い食材は「腎」を強くしてくれると考えられているので、黒米やひじき、きくらげなども摂り入れたい。