「推しよ褒めてポーク」 児玉雨子のきょうも何かを刻みたくて|Menu #14 FOOD 2023.07.11

「生きること」とは「食べること」。うれしいときも、落ち込んだときも、いそがしい日も、なにもない日も、人間、お腹だけは空くのです。そしてあり合わせのものでちゃっちゃと作ったごはんのほうがなぜか心に染みわたる。作詞家であり作家の児玉雨子さんが書く日々のできごととズボラ飯のこと。

児玉雨子 連載 ローストポーク

ほったらかしでできるご褒美ローストポーク。

昨年の春、新しいことをしようとして顔の脱毛をしたことを当連載で書いたと思うのだが、あっという間に一年が経過。脱毛も予定通りに完了してすっきりした。そして今年も春めいてきた時季に、何か始めたいなぁと思いつつダラダラと筋トレ女性YouTuberの新着動画を観ていた。昨年その方が初めてフィジークの大会に挑戦している動画に感動し、ひっそりと推していたのだ。そしてここ最近パーソナルトレーナーとして働き始めたらしく、思い切って体験の予約を取ってみた。今までもリフレッシュ目的で週に一〜〜二回ほど有酸素マシン、気が向いたらレッグプレスマシンを少しだけやる程度に24時間営業ジムを使ってはいた。まったく運動していないわけじゃないからな!?

とちょっと自信持って初めてのパーソナルに挑んだ。動画で見たまんまだ……!とご本人を前にして、完全に握手会で推しに会って言葉を失うファンのように内心舞い上がっていたのも束の間、天使のような笑顔で悪魔のようなブルガリアンスクワットのセット数を課され、中臀筋(ちゅうでんきん)が弱っているとバレると、すぐにお尻のトレーニングを追加され、生まれたての仔鹿のように脚を震わせて立っているのもやっとというほど追い込まれた。こんなに苦しかったの、中学時代のバレー部の最悪練習メニューであるワンマンレシーブ以来……こんなのトレーニングではなく傷害だ、訴えてやる……と恨みをこめて顔を上げると「めっちゃすごい!頑張りましたね!」と弾ける笑顔で褒めてくださる。気づけば、約半年分のパーソナルトレーニング回数券を買ってしまっていた。

もちろん決して安くない金額だ。お金を払ったからには絶対にボディメイクの成果を上げたいと思い、食事も見直して、ヘルシーにおいしくタンパク質が摂れるレシピを調べてみると低温調理のものが多くヒットした。すぐに低温調理器を購入し、おいしく調理したお肉をかならず食事に取り入れるようにした。サラダ用のカット野菜パックと併用すれば、パーソナルで追い込まれてへとへとの夜でも、簡単にご褒美ごはんの用意ができる。

まだ始めて一ヶ月程度なので見た目に大きな変化はないものの、心なしか腰痛・肩こりが軽くなったような気がする。これだけでも個人的にはうれしい!そして推しに直接褒められて超うれしい!ひとまず今年度はトレーニングを頑張ってみることにした。私はいったいどこへ向かうのか……。

photo & text : Ameko Kodama edit : Izumi Karashima

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