喫茶店から学ぶ、インテリア。-つるや- FOOD 2023.05.23

昔ながらの洋食が食べられる老舗喫茶として知られる〈つるや〉は、喫茶建築の名店でもある。
建築家の池原義郎が家族のために手がけた内装は、モダンでありつつ家庭の温もりが宿っていた。

昔ながらの洋食が食べられる老舗喫茶として知られる〈つるや〉

西武新宿線・都立家政駅から歩いて3、4分。一軒家のガラスの扉をくぐると、入り口の雰囲気からは想像もしなかった、どこか懐かしくて、でもほかにはない特別な空間が広がる。早稲田大学の所沢キャンパスや西武球場などを設計した建築家の池原義郎が親族のために手がけた内装は、他に類をみないユニークなこだわりが詰まっていた。

「義郎おじちゃんが考えたもので、私たちは何もわからないんですよ」と笑うのは、3代目店主の渡部みゆきさん。それでもこのお店の居心地の良さの秘訣を教えてくれた。

「過去のおじさんの記事なんかを読むと、こだわりだったのは人間の視線と意識が向かうところを大事にすることだったみたいですよ。それはどこなのかというと窓辺。このお店もお客様が窓の外をみる空間というのをとても意識して配置を考えてくれた。私たちが作業をするカウンターの中は、実は一段下がっているんです。それは椅子に座って外を眺めるお客さんと目線を合わせやすくするため。顔と顔が見えるからカウンターでコーヒーを淹れながらでも、お客さんとの会話が弾むんです」

視点が交わる椅子の高さの選び方。開放的な窓と椅子とテーブルの配置の仕方。訪れたら、くつろげる場所に必要なものはなにかのヒントをもらえるはずだ。

photo : Shinnosuke Yoshimori text : Kana Umehara

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