「人を愛する根源的な喜びを照らし出す。」俳優・山本美月

photo_Eri Morikawa styling_Aya Kurosaki(Linx)hair & make_Ichiki Kita text_Marie Takada
やまもと・みづき/1991年7月18日生まれ、福岡県出身。2009年『CanCam』の専属モデルとしてデビュー。テレビドラマ『幸せになろうよ』にて俳優活動を開始。直近では映画『聖☆おにいさん ホーリーメンVS悪魔軍団』や『大きな玉ねぎの下で』などに出演。

「人を愛する根源的な喜びを照らし出す。」
繊細な物語と生き生きとしたキャラクターを描き、読者を魅了し続ける漫画家・志村貴子の大人の女性同士の恋愛物語をドラマ化。夫がいながらも、偶然出会った女性にどうしようもなく惹かれてしまう綾乃を演じた、山本美月さん。出産後初の単独主演作とあって、思い入れもひとしお。
「高校生の頃から志村先生の作品を愛読してきたので、この役を演じられることがうれしくて。女性同士の恋愛というテーマに注目が集まりがちですが、今まで『こうあるべき』というルールにとらわれてがんじがらめだった女性が、自らの気持ちと素直に向き合い、人を好きになっていく感情の揺れ、そして彼女の成長も見ていただきたいです」
家族への罪悪感に駆られながら、そして世間体を気にしながらも「好きな人と一緒にいたい」という自分自身の心の声に向き合おうと懸命に生きる綾乃に似ているポイントは?
「周りが望む自分でいることを意識しすぎてしまい、その殻をなかなか破れないところは似ているかもしれません。綾乃と朱里の恋愛だけでなく、登場人物それぞれが持つ、情けなさややりきれなさといった人間らしさを丁寧に描写しているのがこの物語の魅力。群像劇としても楽しめると思います」
対話を丁寧に重ねていくことの大切さに光を当てた本作に出演し、正直でいることの難しさや重要さにも気づいたという。
「大人になると自分の気持ちに正直に生きることって難しいと思うんです。ただその半面、自分の中の正直な気持ちを受け止めることが、『大人になる』ということに繋がっていくのかもしれないと思いました」
記憶のなかの旅・食
「子どもが生まれてからはゆっくり食事に行く機会も減っていますが、最近ランチを食べに行ったきれいな創作フレンチのお店がおいしかったです。お刺身に春菊のソースがかかっていて、新鮮な組み合わせに感動しっぱなしでした」

志村貴子の同名コミックをドラマ化。小学校教師の綾乃は、行きつけのダイニングバーで朱里に声をかけられて意気投合。恋愛、家族、仕事など、大人たちのリアルな姿を描く。
出演:山本美月、栗山千明ほか