その笑顔に会いに行く…〈馬場FLAT〉と〈STYLES CAKES & Co.〉
2018.12.17

第36回 花井悠希の朝パン日誌 vol.35 その笑顔に会いに行く…〈馬場FLAT〉と〈STYLES CAKES & Co.〉

いよいよ、年内最後の朝パン日誌。2018年も美味しいパン達に振り回されるがままに(これが幸せ!)綴ってきましたが、改めて朝パンって豊かで温かい気持ちにさせてくれるよねって、再確認させてくれるようなお店を今年の最後にご紹介します。

花井 悠希
花井 悠希 / ヴァイオリニスト

「三重県出身。三重県四日市市観光大使。3歳よりヴァイオリンを始める。 2010年4月21日コロムビアよりデビュー。〈1966カルテット〉メンバー。http://columbia.jp/hanaiyuki/

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古きショッピングセンターの片隅に…〈馬場FLAT〉

近所に住む方々が思い思いに通り過ぎたり休憩したり、そんな穏やかで長閑な風景の中に佇む〈馬場FLAT〉。扉を開けばとびきりの笑顔でスタッフの男性が明るく声をかけてくださいました。店内にずらりと並ぶパンの種類の多さに、好奇心とワクワクが爆発した私としては、このウェルカム感はありがたい!気になるパン達のキャラクターを一つずつ聞いたり教えてもらったり、そのやり取りもハートフルで、いいパン屋さんだなぁとじわじわ胸に幸福が広がっていきます。

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「ミルクフランス」

なんてまっすぐに響くんだろう。一口食べて体温が上がったのを感じました。青春真っ只中にある直球の告白みたい。その強い想いにぽっと火照ってしまいました。特製みるくクリームは、ミルクのコクとバターのコクが徒競走しているみたいに(ゴールは私の喉仏)、走り込んでくる。勢いがあって手加減なんて知らなくて、素直で不器用で…(勝手に少女マンガに出てきそうな男子に脳内で擬人化)。そんなに急がないでいいのよって、すっかり大人である私がお姉さん面して声をかけてあげたくなる。

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でもその役目はね、私がしなくてもいいのです(しくしく…)。ガードマンのように脇を固めるフランスパン生地が、一手に担っております。歯応えのある生地が、クリームの旨味、甘さ、コクを吸い込み、噛みしめる度に溢れ出します。どっしりと構えて小麦の香りを堂々と放ちながら、この子たちの想いをギュンギュン受け止めて、ドンドン代弁してあげているのだ。

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切り込みが入っていて手で1かたまりずつちぎって食べられるのも良い。勢い余ってがぶりといってしまって、押し出され端からクリーム落下という悲しい事件が起きずに済みますね(やりがち)。

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「トマトチャバタ」

きっとイタリアーンなテイストだろうなとトマト缶的な味のイメージを頭に膨らませたらば、想像以上にフレッシュ!乾燥させたトマトはしっかり旨味が濃いのですが、セミドライ故の瑞々しさの方へまず舌の関心が向かいます。ドライと生のいいとこ取り!

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フォカッチャ生地の表面は膜のように少し歯応えがありますが、そこが決壊すると水分量高めな生地がもちもちとゆるみます。これこれ、これよ。この食感こそフォカッチャよ。フォカッチャを食べる度に、これはきっとイタリア版おにぎりに違いないと思っている私です(イタリア行ったことないけど)。

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「全粒粉食パン」甘みよーし、もっちりよーし、香りよーし!全粒粉ゆえ、香ばしさもひとしお。小麦の稲穂が穏やかにそよぐ映像が目に浮かびます。柔らかいけどしゅわしゅわ溶ける系ではなく、かといってざらっと無骨系でもなく、言うなれば優等生的な安心感と信頼感を寄せられる食パン。この子に任せておけば大丈夫だしどんな取り合わせを持ってきても(サンドしてものっけても)上手にやってくれるでしょう。クラスにいたら間違いなく人気者タイプです(パンの学園物語の妄想膨らむな。クロワッサンはきっと花輪くんだ…)。

先日テレビに取り上げられて連日お客様が殺到し品薄状態になっていた時に訪れた際には、とても申し訳なさそうで…素直に応援したくなりました。肩肘張らないお店の空気感も含めステキなパン屋さんです。

魔法にかけられて…〈STYLE'S CAKES & CO.〉

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「季節のフルーツ焼きタルト」

実はこのお店、ずっと訪れたくてたまらなかったお店。虎視眈々とそのチャンスを伺っていたのですが、ついに来たのですよその日が。でもこちら、パン屋さんではなくケーキ屋さん。ならばここは私の少々強引なパン定義(朝の焼き菓子は朝パンの仲間)を振りかざさせて頂き、こちらの焼きタルトを朝パンに。

林檎、バナナ、金柑、ぶどう等々(まだあったけど失念…等々って便利な言葉ね)フルーツをたっぷり贅沢にのせて焼き込んだタルト。所狭しと長三角形におさまるフルーツ達は一つ一つが主役な顔をしてキラキラと輝いています。愛情いっぱいに作られたのが見て取れる生き生きさ。フォークを入れる度に顔を出すフルーツが変わるから、フルーツの個性に合わせて様々な表情をみせるタルトです。下のしっかりめに焼き込まれたタルト生地はバターが香り、ザクッとクリスピーだけど繊細な口溶けで、間を繋ぐアーモンドクリームはしっとりとジューシー。タルトの基盤に揺るぎない丁寧な味わいが広がっているから、フルーツ達が伸びやかに踊っているんですね。

最後のタルトのひとかけらにまで行き届く洗練された味わい。大切大切に、美味しくなぁれと魔法をかけられた(私の勝手なイメージですが)タルトは、こんなにも食べる人にまで幸せな魔法の効力が届くんだなぁ。

お店を出る時には「寒い中お越しくださりありがとうございました。お気をつけてお帰りください」と穏やかな笑顔で送ってくださり、もうもう大好き。確かにすこぶる寒い日だったけど、心の奥の方からポッと温もりが広がっていくのを感じました。

お店を出た後も温かい余韻が続く、その日1日を特別なものにしてくれるお店との出会い。お腹だけじゃなくて心も満たしてくれるそんな出会いがまた来年も沢山ありますように。ということで2018年の朝パン日誌、締めくくりましょう。

皆さま、今年も沢山読んで頂きありがとうございました!良いお年をお迎えください。

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