花井悠希の朝パン日誌 渋谷〈hotel koe bakery〉から「フィナンシェ食パン」が登場。渋谷の丘の上で”初めての食パン”に出会う。 LEARN 2020.10.15

ここ数年の食パンの発展は目覚ましい。故に、もうこれ以上新しい食パンなんてないだろう…そう思っていたのに!「フィナンシェ食パン」というキラーワードが舞い込んできたではありませんか。食パンムーブメントに追いつけていなかった私はいてもたってもいられず、クンクン鼻を鳴らしながら行ってきました(←異常)。

食パンとフィナンシェの幸せな関係。

〈hotel koe bakery〉さんで10月1日に発売されたばかりの「フィナンシェ食パン」は、なんとHanakoの連載でもお馴染みのパンラボ池田浩明さんが監修。誰よりもパンを愛しパンギークな池田さんが監修されているのなら、とんでもない食パンなのでは!と期待が高まります。カリカリ系フィナンシェが大好きな私からすると、食パンと合体したら、あのカリカリはあるの?ないの?かなり気になります。

出ました「フィナンシェ食パン」。はーい深呼吸。もうのっけから飛ばしますね兄さん(誰)。香りからしていつもの食パンとは違います。小麦だけじゃ感じたことのない香ばしさ。アーモンドプードルがプラスされると食パンからこんなに芳しく、そして乾いた風のようなカッコいい香りがするなんて知らなかったよ。21世紀でもまだまだ発見はあるんだなぁ(大袈裟)。そこにかの有名なフランス産A.O.P.発酵バターを使った焦がしバターも加わるのだから、向かうところ敵なし。焼き菓子ファンにもたまらない仕上がりとなっております。

このエッジは裏切らない!
このエッジは裏切らない!

歯切れがよく口溶けがよい。最近流行りのモチっと感とは一線を画す軽快なキレ味です。そしてお待ちかねの耳はというと、バター感を余すことなく感じられ、フィナンシェのエッジが立ったカリカリにそっくり(歓喜)!とはいえ油っぽさはゼロで、カリカリから侵入する内側はふんわりとした口当たりで出迎えてくれます。これは「普段、パンの耳は苦手だなー」って思っている人にこそ率先して食べていただきたい!

代官山 hotel koe bakery

この軽やかさだからトーストすると全体がスカッとしちゃうかと思いきや、持ち上げたら生地の重みでふにゃんと形が歪むほど内側は柔らかくほころびます。粘度がないから、温めてふわふわが増幅されてもどこまでも偽りがない。純度高きふわふわ。そして、トーストしてさらに際立つ角っこは、案の定発酵バターとアーモンドプードルの吹き溜り(←言い方よ)。オセロも角を取ったものが制しますが、この子も角を取ったが勝ちです(私調べ)。齧った途端に焼き菓子らしいリッチな味わいが広がり、ほんわか糖の角のない甘さもじんわりと柔らかく伝わり、ご褒美感に包まれます…。あぁ、日頃の疲れも不安も目を閉じて味わうこの一瞬だけは解放されるよ(闇)。

代官山 hotel koe bakery

そのまま食べると生地の歯切れ良さと柔らかさのコンビネーションを、トーストすると皮のカリカリ感と内側のふわふわさのコントラストを、それぞれ違った表情で味わえて奥が深い。手土産で持って行きたくなる、〈hotel koe bakery〉らしいスマートなパッケージもGOODです。

そのほかの食パンたちもすごかったのでチラリとご紹介。

半分にちぎりやすい形に沿って手で割くとスルスルと身離れが良い。そのままいただくとしっとりとした質感にとろーんとした口溶け。トーストすればふっと重さが消滅。余韻には優しいコクと甘みがリフレイン。ぱっと見の雰囲気はフィナンシェ食パンと似ているのに香りも質感も全部違って驚きました。

「全粒粉食パン〜小麦畑からの風〜」。
「全粒粉食パン〜小麦畑からの風〜」。

全面的に香ばしい。あまりのいい香りにこれまた深呼吸が止められません。胸いっぱいに吸い込んで留めておきたくなる(そしてそのまま出かけたい)ほど爽やかな香ばしさです。天然酵母の酸味もその延長線上で顔を出すから、どこまでも気持ちがいい。グルテンを抑えられた生地はトーストするとサクサクで、小麦の香ばしさがまるっと届き、さわさわとそよぎますよ。

これらの食パンは、〈hotel koe bakery〉のモーニング食パンビュッフェで、いろんなトッピングをプラスして好きなだけ楽しめるらしい。おうちでは用意も大変だしほぼバター一択なので、いろんなトッピングができるなんてパラダイス。そんなモーニングで夢見心地になってからの仕事なら、いいアイデアも浮かびそう。渋谷で朝一からのお仕事、お待ちしております(笑)!

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