住宅街のベーカリーを訪ねて…〈& TAKANO PAIN〉と〈ahiru snack〉
2020.09.03

第77回 花井悠希の朝パン日誌 住宅街のベーカリーを訪ねて…〈& TAKANO PAIN〉と〈ahiru snack〉

てくてくてくてく。歩けば歩くほど、見渡す限り家ばかり。この地図あってるのかな?って不安が期待を飛び越えそうな頃に、見つけましたよ。ドキドキしながら歩いているからこそ、その出会いとの喜びはひとしお。お店がまるで救世主のような輝きを放って見えます(ぴかーん)。今回はそんな住宅街の中に静かに佇む素敵なお店のお話。
花井 悠希
花井 悠希 / ヴァイオリニスト

「三重県出身。三重県四日市市観光大使。3歳よりヴァイオリンを始める。 2010年4月21日コロムビアよりデビュー。〈1966カルテット〉メンバー。http://columbia.jp/hanaiyuki/

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蓮根の真ん中に…〈& TAKANO PAIN〉

目の前には大きな団地が連なり、小さな商店などがぽつぽつとある道沿いに現れるおしゃれな店構えのパン屋さん。昨年末にオープンした新しいお店のようです。見つけた喜びに浸っている間にも、お客様がひっきりなしに訪れ、店内に入れる人数も少ないので(コロナ対策でなおさら)、お店の前には列ができていきます。慌てて後ろに並び、ガラス越しに店内を眺めながら入店待ち。ガラス越しに見るパンって決してちゃんとは見えないのに、どうしてこんなにも胸が高揚するのでしょうか。

花井さん連載 77回
「シナモンロール」。
花井さん連載 77回
バラの花に粉雪が舞い降りたよう(←ロマンティスト?)。

しゃりしゃりと響かせ砂糖がニヤリと微笑みます。その美しいルックスに敬意を払い、上下左右を忠実にまっすぐに口へ運ぶと、まず底に絡みついたカラメリゼと舌が出会うのです。しゃりしゃりから始まってサクリと歯が入る生地は軽やか。シナモンの巻き込みの量とクリームチーズのバランスも絶妙で、いい意味でパンを感じさせません。トップのクリームチーズはコクと酸味を、シナモンの巻き込みはふんだんで、シナモンと甘く滲むカラメルの味がぐるぐると一体となり、その渦に溶け込むようにパンが存在しています。待ったなしでどこまでも甘く広がっていくシナモンとカラメルたちのクッションになっているよう。

花井さん連載 77回
「ペッパーチーズ」。
花井さん連載 77回
この真っ白なチーズ&バターに波乗りしたいという夢はいつか叶うのだろうか(不可能)。

パツン、パツンと歯切れよくきれる生地から駄々漏れるチーズの誘惑。チーズ系パンはやっぱり温めないとね。温め熱でとろけたチーズとバターのコクの海にのって、黒胡椒のピリッとしめる辛みとそよぐ香りが届きます。3種のチーズ+バターの漲るコクが破壊力とカロリー過多であろう背徳感を煽って来るところに、ブラックペッパーでハッと我に帰る感覚です(でもカロリーは消えない)。底の方では滲み出たチーズがカリカリになってスタンバイ。そちらもまごうことなくご馳走であります。

花井さん連載 77回
「ブリオッシュ食パン」。
花井さん連載 77回
どれほど近づいてもブリオッシュのきれいな黄色は見当たらない。なぜ…(理由はわかっている)。

サクッと表面の一瞬のひっかかりの後は、無抵抗にスッと歯が入ります。無抵抗というのは、イコール最強に軽い食感ということ。「ほわほわ」や「ふわふわ」を通り越し、トーストしてみるともはや"無"です(※褒めてます)。その生地からは黄色い(私が焼きすぎたので茶色いですが…泣)見た目を裏切らない、卵のコクとシュークリームの皮みたいな軽快な香ばしさが届いて心地よい。私は食パンらしくバターONで。頭では食パンって決めつけつつも、シフォンケーキみたいな空気のような軽さでどこまでもいつまでも食べ進めてしまいそうな食パンです。

太陽みたいに素敵な笑顔の店主さんが作るお菓子…〈ahiru snack〉

店名の通り、スナックの営業もされていて、生菓子から焼き菓子まで作られている面白いお店なのです(現在、スナックは貸切営業のみ)。営業日はInstagramで要確認なのですが、日曜日のお菓子の日を目指して行ってきました。

花井さん連載 77回
「プラムの焼き込みタルト」。
花井さん連載 77回
ふわふわのケーキ部分からプラムがじゅわぁ(←語彙力)。

とてもサクサクで軽やかなタルト生地。ホロリと崩れる繊細さにハッとしつつも舌に広がる味わいがとても優しくて、身を委ねたくなってしまうこの感じはなんでしょう。この繊細さはホームメイドでは絶対難しいのに、家のオーブンで焼いた手作りクッキーのあの味を思い出している自分がいます。バターのコクも味わいもしっかり舌に伝わるのに、全くもって厚かましくなくて、褒め言葉として良い意味でお店らしい味じゃないんです。血の通った味というか、食べるだけでホロリとグッと来るかんじ。プラムが放つ甘酸っぱさの気の利かせ方や甘く柔らかいケーキ部分も全部そう。ちょこんと手のひらに乗っかるほどの小さなこの子に、こんな優しい気持ちにさせられるとは。

花井さん連載 77回
「プレーンスコーン」。
花井さん連載 77回
断面からも、全粒粉のプチプチとホクホクさがみえます!

ホックホク!全粒粉の粒が目にも口にも香ばしい。生地全体にゆるやかな甘味があるので、何もつけずそれだけでも十分おいしいです。ホクホクと口内をバウンドするにつれ甘みの微笑みがこぼれだし、しみじみとした旨味となってゆっくりと満ちていきます。
そこにクリームチーズと〈Equal〉の「森林ノ牧場のバターミルクジャム」を合わせてみました。クリームチーズのねっとりしたコクと遅れてやってくる酸味に、一瞬舌に触れたそばからキャラメルの旨みがかけぬけるミルクジャムがあらゆる角度から甘みとコクの変化球を繰り出します。どんな球にもノーバウンドで受け止めるナイスキャッチなスコーンさんです。

どちらも地元の皆様に愛されているのがひしひしと伝わってくるお店。でも、ご近所さんだけじゃもったいない!普段あまり行かない街の香りや雰囲気を覗きながら散策気分で向かうパン屋さんへの道のりは、ドキドキもするけどとっても楽しいものですよ。9月、少しずつ涼しくなってくることを期待して…。

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