演劇の歴史がぎゅっと詰まった博物館へ。「演劇工程」編。
2021.05.05

第5回 夏子の大冒険 〜ちいさな美術館をめぐる旅〜 演劇の歴史がぎゅっと詰まった博物館へ。「演劇工程」編。

ちいさな美術館を巡って、作品から思いを馳せて物語を綴るこちらの連載。第5回目の舞台は〈演劇博物館〉。なんと早稲田大学のキャンパス内にあり、古今東西の演劇にまつわる資料が集められた、演劇・映像を専門とする世界有数の博物館なのだそうです。
夏子
夏子 / 女優・モデル

「1996年、夏生まれ。美術と文学、猫が好き。夢は『夏子の冒険(三島由紀夫)』で夏子役を演じること。現在放送中のHuluオリジナルドラマ『THE LIMIT』に出演。また、今月上演予定の演劇『東京ゴッドファーザーズ』にも、ヒロインとして出演する。」

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演劇の魅力って…⁉

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“演劇はなんだか敷居が高い”、そう思われる方も多いのではないでしょうか。取材等でも「演劇を見たことがない方に向けて何か魅力を教えてください」というような質問を度々して頂きます。実は私自身も数年前まで全く演劇など見たことはなかった。しかし、舞台を初めて見た時の衝撃と言ったら、忘れられません。

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3時間強、役者は何も見ないで台詞を話し続ける。巨大なセットを、登ったり、降りたり、天井からは大量の水が降ってくる。呆気に取られて観劇し終えると、今自分が見たものはゲネプロというもので、これから本番が始まるというではないか。これが1ヶ月 毎日続くらしいのです。“正気の沙汰ではない” 、そう思いました。それから、幸運にもその “正気でない” に参加するようになり、その後も演劇の奥深さにすっかり魅了されていく訳ですが、今回は新参者の私が垣間見た、ひとつの演劇が出来上がるまでを、少しだけ書いてみようかと思います。

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「演劇工程」

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本番が完成するまでに、まず稽古が1ヶ月ほどあります。初めにみんなで台本を読む「テーブル稽古」という期間が あって、それから「立ち稽古」が始まります。何もなかった稽古場に、毎日新しいシーンが生まれていくことに感動していると、あっという間に本番まで1週間を切っていたりして、青ざめるのが常です。

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そう、絶賛稽古中の私は今まさに、ここ。ムンクの『叫び』のようになっています。『叫び』は、叫んでいるのではなく、怯えているのだというのは有名な話です。

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そして、劇場に入り、本番と同じ環境で 2、3回稽古をして、ゲネプロなる擬似本番を迎えます。ちなみにこのゲネプロの客席には、いわゆる“関係者”しかいないので、本番にはない、お腹がチクチク痛む緊張感があるのです。これも、あと1週間後ぐらいに差し迫る、未来予想図。

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実現されなかった「メイエルホリド新劇場」再現模型 1920年代後半〜30年代/ロシア(製作:伊藤暁建築設計事務所)

そうして、ようやく本番の日々が始まります。その日の自分たち、その日のお客様たちが出会う毎日です。幕が上がることが奇跡のような昨今ですが、この工程はきっと、昔から繰り返されてきた演劇の歴史なのではないかと思います。そんな歴史の新たな一ページを今、生きているのかもしれません。とっても浪漫。少しでも、魅力が伝わったでしょうか。

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今回訪れたのは...〈演劇博物館〉

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アジアからヨーロッパ、古代から近代、現代まで。演劇の歴史がぎゅっと詰まった博物館の中には、さらに演劇にまつわる書籍ばかりを集めた図書室も。演劇に携わらせてもらう端くれとして、歴史や知識をもっと身につけたいと思っていた私は、ここに通って片っ端から資料を読み漁ることに決めました。

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16世紀イギリスの劇場「フォーチュン座」を模した建物。建物自体もひとつの演劇資料のよう。
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常設展は、日本の古典芸能や近代・現代演劇、西洋・東洋演劇などにジャンル分けされています。

〈早稲田大学演劇博物館〉

■東京都新宿区西早稲田 1-6-1
■03-5286-1829
■不定休
■10:00~17:00(火金は 19:00)
■入館料無料

※普段は撮影禁止です。

photo : Yumi Hosomi

そうそう、今月舞台に立たせて頂きますので、皆さまと劇場でお会いできますように。と、ちゃっかり宣伝をして、また来月〜!

2021年4月1日以降更新の記事内掲載商品価格は、原則税込価格となります。ただし、引用元のHanako掲載号が1195号以前の場合は、特に表示がなければ税抜価格です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。

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