Town & City Guide  高知市の魅力#1 高知のカルチャーが詰まったカフェ3軒 TRAVEL 2023.10.11

日本最大規模のストリートマーケット「日曜市」でも有名な高知市。今回は、市で食材を仕入れる店、人々に長く愛される老舗喫茶など、地域に根ざしたカフェ3軒をご紹介。

“市”がつなぐ自然と人、人と店。四国の“市場カルチャー”都市。

Town & City Guide 高知市

毎週火、木、金、日に行われる街路市。特に最大規模の日曜市では生産者、市民、飲食店、観光客が交じり合いにぎわう。温暖な気候と豊かな自然は多くのサーファー、ミュージシャンを魅了し、移住者も多い。
北は四国山地、南は太平洋に面し、四国南部に扇状に広がる高知県にあって、県全体人口の半分に相当する約32万人(東京でいえば中野区とほぼ同規模)を有する高知市。県庁所在地として発展してきた“都市”である一方で、暮らす人たちと自然との距離が物心ともにとても近いという。
「車で15分も走れば、海も山も川もある。いつも自然をすぐ近くに感じることができますね。僕も高知を最初に訪れたのはサーフィンがきっかけでした。波がとにかく良くて」
そう言って穏やかに笑う市吉秀一さんは、大阪の出版社で働きながら、毎週末のサーフィンで高知を訪れるうち、豊かな自然と人の温かさに魅了され、10年前に会社を辞めて移住。現在は高知県の豊かな食材、生産者と全国の飲食店をつなぐ〈KOCHI GOOD FOODS〉を営む、今回の案内人だ。

喫茶ラ・メール ルネ/カフェ

Point!

「高知を表すいろいろなデータがありますが、飲酒費用が全国トップクラスというお酒好き。皿鉢といわれる大皿で出される料理を囲んで誰彼問わずお酒を酌み交わす“おきゃく”という宴会文化が有名ですが、大皿の理由のひとつは、用意が一度で済むのでおかみさんたちも宴会に参加できるからだとか(笑)。あと意外なところで人口10万人あたりの喫茶店数も日本一。お昼過ぎまでボリューム満点のモーニングを出す喫茶店も多い。僕のお気に入りは老舗の〈喫茶ラ・メール ルネ〉です」

藁屋 waraya(わらや)/カフェ

Point!

「高知市に来たら絶対に寄ってほしいのが街路市。300年以上の歴史を誇るストリートマーケットで、毎週火、木、金、日の4日間、高知城周辺の各所で行われていますが、中でも日曜市が最大規模。300店近くが出店し、農家さんたちが採れたての野菜や果物をビックリするような安さで売っています。市内の飲食店の方たちも街路市でそれぞれのお気に入りの農家さんから食材を仕入れているんですよ。都市でありながら、“市”を通じてお店と生産者(畑)とが直接つながっていることも高知の大きな魅力です」(市吉さん)

野菜を金曜市で仕入れているという、〈藁屋 waraya〉もそんなお店のひとつ。野菜たっぷりの定食が人気だ。店主の笹隼也さんいわく、「朝、畑にあったものがその日のテーブルに上りますから。決められたメニューのために食材を集めるのではなく、その日の食材に合わせてメニューをつくるほうが高知では自然なことですね」

terzo tempo(テルツォ・テンポ)/カフェ

Point!

高知の内と外のつながりといえば、昨年度の高知への移住者は高知県が統計を取り始めてから過去最多を記録したという。

 手作りのスイーツが人気の〈terzo tempo〉店主・佐野寛さんは2007年に東京から移住。「街路市の文化が根付いているからだと思うのですが、誰かが何か新しいことを始めたときに周囲が構えず自然に受け入れてくれる雰囲気がありますね。例えば道で露店を出して誰かがパンを売り始めたとしても“一つ買ってみようか”となる感じが良いなって」

photo_Hikari Koki illustration_Yosuke Yamauchi text_Moe Tokai (shop data), Hanako special thanks_Yuko Sakamoto

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