ゆる〜い社長と運転手さんに学んだ、今、人を笑顔にするということ|モデル asacoの4回目の育児 – fourth time around MAMA 2020.05.26

この連載は……
モデルとして雑誌やCMに出演するいっぽう、夫婦で手がけるケータリング業「マフィオ」として、最近はママキャンパーとしても活躍中の asacoさんの連載。2018年5月に4人目のお子さんを出産して、ますますにぎやかになった家族との毎日。4児の母ってどう?家事やお仕事は?などなど、なにげない日常から感じたことをつづります。

vol.44 「ゆる〜い社長と運転手さんに学んだ、今、人を笑顔にするということ」

とあるお店に勤める友人から、先日こんな話を聞きました。緊急事態宣言が出て、お店はしばらくの間休業が決定。売上は確実に落ち込むし、自分たちの給料はどうなるのか。なによりお店が存続していけるのかもわからない状況に、不安で仕方ない毎日だったそうです。
そんな彼女のきもちとは裏腹に、なぜだかこんな状況になってからの社長が、いつにも増してチャラチャラしている…!
「いやぁ、暇になっちゃうから家でパターの練習でもするかぁ」「ゴルフうまくなっちゃうなぁ」と、とにかく呑気というか…。正直、その能天気にも聞こえることばの数々に、なぜ? と苛立ちもあったそう。
でも、その後もお店にどんなネガティブなことが起きようとも、社長は決して険しい表情をみせることなく「ま、大丈夫っしょ」とあっけらかんと言い放つのみ。

「でもね、アサコちゃん、それからスタッフたちとも話して気づいたんだよね。あの社長の態度、絶対わざとだって」

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先行きの見えない不安から無意識にイライラすることも増えて、おもわず社長に喰ってかかりたくもなる。でも、なにを言おうとも返ってくるのは予想の斜め上をいく”ゆる~い”ことばたち。何度も拍子抜けを繰り返していたら、ふと、そのおかげできもちがフッと楽になっている自分に気づいたそうなのです。

「だからね、今はすっごく感謝してるんだ」

何よりすごいのは、そのゆるさの裏側で、お給料は早い段階でスタッフ分ちゃ~んと保証してくれていたということ。社長のことをよく知る私は、その話にただただ感動して、なんなら聞き終える頃にはちょっぴり涙目に。だって、そんな男前な話ありますかー?!
きっと、スタッフを想うからこそ、自分は決して動じないと決めていたに違いない。とくに、不安なきもちって簡単に伝染しちゃうものだしね。そして、こんなときだからこそ、上がすべてを指示するのではなく、敢えてスタッフみんなに考えさせることを選んだことにも激しく共感したのでした。
私が親子間でもよく思うのは、レールを敷いてあげるのは簡単だけど、逆に口出しせずに見守り続けることはその何倍もむずかしい。
でも、敢えて後者を選びたいのです。いざというときに自分で考えられる強さをちゃんと持ってほしいから。

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そんな他愛もない話から、いまこそ考えたいと思うテーマは多々あって、たとえば、あいかわらずの自粛生活。学校がお休みなことにもだいぶ慣れてはきたけれど、とはいえ、かぞくみんなが密に暮らす毎日にストレスを感じている親御さんも多いことでしょう。
もちろん、私ももれなくそのひとりなのですが(汗)、さて、はたして私はその社長さんのようにわが子への気遣いが行き届いているのだろうか。自分の感情のまま、子どもたちに強く当たっていることはないだろうか。

先日、2歳の息子と散歩をしていたときのこと。今、バスに夢中なカレは、ひたすら散歩道でバスを見つけることに全神経を注いでいるのですが、向こうからやってくるバスを見つけ「バスー!」と絶叫しブンブンと手を振ると、そのちいさなカレに気づいた運転手さんたちが笑顔で手を振り返してくれることを知ったのでした。
な、なんという粋な計らい! 私とってもびっくりして、思わずその姿に見惚れてしまいました。となりの息子はもちろん、自分に気づいてもらえたことがうれしくてにっこりドヤ顔(笑)。
笑顔は人を笑顔にする、まさにそんな光景を目の当たりにした瞬間でした。

社長さんのゆる~い態度も、バスの運転手さんの気前の良さも、きっとこんな状況で心が疲弊している人たちをさりげなく癒してくれている。
いまこそ、そんな気配りができる大人でありたいと思いました。学校のお勉強が家でうまく進まなくても、3食ごはんがちゃんと作れなくても、部屋がずっと片付かなくても、きょうだいゲンカが勃発しまくっていても、多少のことは目をつぶる余裕も今は大切。
「ま、大丈夫っしょ」と、私も子どもたちとおおらかな暮らしを心がけたいと思ったのでした。

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