ドリアン・ロロブリジーダのゆずれないもの
〜第4回〜言葉を使うためには、心を磨く?

LEARN 2023.12.11

踊り場世代のドラァグクイーン、ドリアン・ロロブリジーダさんの"ゆずれない、ゆずりたくない、でも時々ゆずっちゃってるかもしれない?!大切にしているコトやモノ”をゆるーくご紹介する連載です。

ハッシュタグは#ドリゆず。あなたのゆずれないもの、なんですか?

今月のゆずれないもの/「言葉ばかりだけでなく、体験や経験で心を磨く」

師走です。歳末です。クリスマス気分が街を覆って、そこかしこからマライア・キャリーや竹内まりやの例の歌たちがエンドレスリピートで流れ始めています。アタシもご多分に漏れず慌ただしくなってきていますが、それはクリスマスに浮かれているためではありません。なんと言っても今月はアタシのバースデー月間。12月24日という因果な日に生まれたアタシにとって、12月は大切な書き入れ時です。イベントやパーティーのオファーも増える時期ですが、バースデーにかこつけた悪質且つ個人的なイベントもいくつか開催予定です。若い頃は、誕生日という一年の中の大切なイベントを世界規模で邪魔してくるクリスマスが嫌いだった時期もありますが、ここ数年は“アタシの誕生日に向けて、世間様の財布の紐を緩ませてくれる心強い戦友”のような心持ちでおります。これが大人になるということなのでしょうか…。

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今回ご紹介する四つ目の「#ドリゆず」は、【言葉ばかりだけでなく、体験や経験で心を磨く】です。
アタシは昔から言葉が好きです。子供の頃、国語辞典で適当なページを開いては初めて知る言葉を見つけて意味を調べ、その解説に出てきた新しい言葉をまた調べる…、そんな“ワードサーフィン”をよくしていました。大学生の時は三島由紀夫や山崎豊子の小説を読み耽って、華麗なレトリックや古い船場言葉に胸を躍らせたり。

言葉を知るということは、自分を取り巻く世界の解像度を増やすことだと思っていました。美しいものを見たときや、悲しい出来事と遭遇したとき、その心の動きを表現する言葉のグラデーションが幅広いほど、鮮やかにその情動を記憶に留めておける、そんな風に思っています。

今でも基本的にその考えは変わっていませんが、いつしかここに新しい考えが加わることに。それは「言葉を使うためには、心を磨かなければいけない」ということです。

いくら沢山の表現を知っていたとしても、美しいものを美しいと感じ、悲しいことを悲しいと感じる感性が伴っていないと、言葉は虚しく宙を彷徨います。どんなに巧みな表現や美しい言葉遣いをしたとしても、発する人の人間性が磨かれていないと、その言葉は誰の心にも届かないのではないでしょうか。

アタシがそう思うようになったのも、新宿二丁目で様々な方との出会いがあったからでした。新宿二丁目では、てんでバラバラなバックグラウンドや学歴、社会的地位を持つ方が、一つの店のカウンターに横並びになることがよくあります。一流企業で管理職をしているオジサマと、中学を出てすぐ夜の街で働いている若者が隣同士で仲良く飲んでいたり。そのさらに隣では、職業や年齢すら不詳の強烈なオネエサマがカラオケを歌っていて、その歌声にウンザリしたデート中のカップルがたまらずお勘定をする…そんな情景が日常茶飯事です。

アタシも18歳から四年ほど二丁目のバーでバイトをしていました。慇懃無礼で過剰な言葉遣いから“二丁目のお言葉少女(お言葉少女:昔ワイドショーで話題となった丁寧な語り口の巫女の女の子)”というあだ名を付けられたのですが、その店でとても強烈で魅力的な方々と交流をするうちに、言葉遣いや語彙というものは、その人の“表面”でしかないと感じるようになりました。もちろん綺麗な言葉遣いができることに越したことはありませんが、内面からキラキラとにじみ出る感性こそがその人の魅力なんだ、そんな風に思うようになったのです。

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大切なのはバランスです。言葉が“車輪”で心が“エンジン”だとすると、その両方をしっかりと整備することでグイグイと車は進んでいきますが、そのバランスが崩れると車はオーバーヒートやエンストを起こしてしまいます。

様々な本を読んだり、たくさんの言葉に触れて、想いを表現する手段としての語彙力を磨きながら、様々な人と交流したり、たくさんの美しいものや悲しいことに心を動かして、心の感度を磨いていく。そうすることで言葉と心のバランスがとれた豊かな人になれるのではないでしょうか

かくいうアタシも、それが実践できているかというとそんなことは全くなくて、日々たくさんの言葉や感情をインプットしたりアウトプットしたりしながら悪戦苦闘をしています。先述のとおりアタシは言葉に溺れがちになる傾向があるので、感性を磨く修行をする毎日です。豊かな人になりたいわぁ…!

ということで今回は“言葉”と“心”についてのアタシの想いをお話しさせていただきました。最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。またお目にかかれることを楽しみにしております。それでは、ごきげんよう。

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text_ Durian Lollobrigida collage_Fumiko Oda edit_Wakaba Nakazato

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