左から、カスタードドーナツ200円、べべ180円、ピスタチオクリームパン380円。べべはシグニチャーの超ふわふわパン。
TOP_MG_0035

まだ見ぬパン屋さんへ。 ディープなパンに出会える街。目黒〈les joues de BéBé〉&白金〈Boulangerie Franz〉/池田浩明のまだ見ぬパン屋さんへ。 Learn 2022.10.23

パンラボ・池田浩明さんによる、Hanako本誌連載「まだ見ぬパン屋さんへ。」からお届け。今回は、意外にも渋谷、恵比寿よりパン屋さんが少ない街だったが、新店舗が相次いでオープンし、パン好き御用達の街に変貌。白金へ足をのばせば、マニア心をくすぐるディープなパンに会える2軒を紹介します。

1. 目黒〈les joues de BéBé〉焼きたてのパンとコーヒーで、理想の朝が迎えられる場所。

パン売り場。一日中切らさずパンを用意。
パン売り場。一日中切らさずパンを用意。

権之助坂の近くに今年7月にオープンした〈les jouesde BéBé〉は、薄暗い中に円形の陳列台。そこに輝くようなパン。国産小麦、高加水の生地。料理的な具材を盛りつけたり、カレーパンやメロンパンのようなおなじみのパンもイノベーションされて。
母体となった〈大衆ビストロジル〉の小林 周(まこと)シェフは、視察に訪れた福岡で出会った人気店〈パンストック〉の印象を興奮気味に語る。「びっくりしました。パンであんなに人を魅了するって。参考にさせてもらい、うちらしいパンに落としこんだ。僕はフレンチ出身。フレンチの技術で、新しいパンを作りたい」。

スパイシーラムとパクチーのサンド580円。パティ(仔羊肉)を低温で調理。
スパイシーラムとパクチーのサンド580円。パティ(仔羊肉)を低温で調理。

「スパイシーラムとパクチーのサンド」は、仔羊肉にやさしく火入れしたパティの、血を思わせるような激しい香りに、北海道産全粒粉のやさしい深みが応える。

左から、カスタードドーナツ200円、べべ180円、ピスタチオクリームパン380円。べべはシグニチャーの超ふわふわパン。
左から、カスタードドーナツ200円、べべ180円、ピスタチオクリームパン380円。べべはシグニチャーの超ふわふわパン。

「ピスタチオクリームパン」のカスタードは徹底的になめらかで、北海道産小麦を使った高加水の生地もろとも、水風船が割れたように一気にあふれ、甘い液体を湧きださせる。
選り抜きの食材を使い、パン職人の粕谷裕彰(かすやひろあき)さんとコラボ、試作に妥協はない。
新感覚のぷよぷよ塩パン「パン・ド・ベベ」には、小林さんが「世界一おいしい」と語るパール塩をトッピング。塩味がやさしく、旨味がじわじわ伸びてくる。塩の量をめぐって何度となくテストした。
「ひとつまみもないぐらい。試作するたび、もっともっと少なく。生地に力があるので微量でいい」
おいしいパンとおいしい具材の出会いが、日々繰り返される。

〈les joues de BéBé〉について

_MG_0005

〈les joues de BéBé〉/レ ジュド べべ
住所:東京都目黒区目黒1-3-15 リードシー目黒ウェストビル1F │地図
TEL:050-5589-5122
営業時間:8:00〜22:00
定休日:不定休
高加水パンを、〈大衆ビストロジル〉で培ったフレンチの技術でおいしく。

2. 白金〈Boulangerie Franz〉鬼才シェフが放つ、クリエーションの数々。

福田祐三シェフ。フレンチとブーランジェリーの二刀流。
福田祐三シェフ。フレンチとブーランジェリーの二刀流。

第一線のフレンチ料理人がパン屋を開店したら? 福田祐三(ふくだゆうぞう)シェフは、画家が絵筆を握るように、自由な想像力でパンを描きだす。彼の持つパレットに絞り出されているのはとびきり鮮やかな季節の色彩だ。

シャインマスカットレーズンのパン2,800円。山梨のぶどう生産者が〈FRANZ〉のためだけに作る大粒のドライレーズン入り。
シャインマスカットレーズンのパン2,800円。山梨のぶどう生産者が〈FRANZ〉のためだけに作る大粒のドライレーズン入り。
シャインマスカットサンドイッチ1,200円(季節限定)。完熟のシャインマスカットを、福岡県八女市〈梅野製粉〉の石臼挽きミナミノカオリの特製食パンでサンド。
シャインマスカットサンドイッチ1,200円(季節限定)。完熟のシャインマスカットを、福岡県八女市〈梅野製粉〉の石臼挽きミナミノカオリの特製食パンでサンド。

旅で出会った食材はやがて、巡りきた旬にパンとなる。9月は題して「muscat festival」。山梨県・勝沼の〈朝日園〉から届いた大粒のシャインマスカット。それを、ピエモンテのオッチェリバターたっぷりの食パンに、原価が心配になるほどどんどんのせる。清らかな食パンの内側で弾けるマスカットの滴りは「シャイン」という言葉にたがわず光り輝く。
ライ麦パンには、〈朝日園〉に福田シェフが3度通って、やっと送ってもらえることになった、ドライにしたシャインマスカット。レーズンパンがこんなに贅沢でいいのか? マスカットの香りの高まりと、小麦の高まり、両者は同じひとつの頂きで邂逅、感動的な結合を遂げる。

旬のフルーツを自家製コンフィチュールに。
旬のフルーツを自家製コンフィチュールに。

毎日が新作だらけ、商品数はごくわずか。パン屋の常識を超越した店だが、福田さんは意に介さない。
「正解なんて誰が決めるものでもないじゃないですか。自分がおいしいと思ったパンを出せばいい」
クリエーションが今日も生まれる。

〈Boulangerie Franz〉について

_MG_0302

〈Boulangerie Franz〉/ブーランジェリー フランツ
住所:東京都港区白金5-10-11│地図
営業時間:12:00〜売り切れ次第終了
定休日:月〜木曜日
人気レストラン〈FRANZ〉の福田祐三シェフが昨年11月オープン。同店の呼び物、カンパーニュが中心。通販可。

Navigator…池田浩明(いけだ・ひろあき)

「パンラボ」を主宰しながら、ブレッドギークとして、日本全国のパン屋さんを巡り情報を発信する。いち早く国産小麦にも注目し、日本のパンの未来をみつめる。

■パンラボblog:panlabo.jugem.jp

(Hanako1213号掲載/photo:Kenya Abe text:Hiroaki Ikeda)

Videos

Pick Up

YUNO TAKEMURA PinterestヘアメイクアーティストYUNO TAKEMURAさんがPinterestを使う理由。ヘアメイクアーティストとしてサロンワークを中心に活動するYUNO TAKEMURAさん。私生活では、ヨガを取り入れるなど、充実したライフスタイルに憧れるフォロワーも数知れず。そんなパワフルな彼女の好奇心を日々育んでいるのがビジュアル検索ブラットフォーム。 「ブログやSNSが流行り出したのが学生時代。自然と昔からアウトプットやインプットができるツールに触れてきました。そのうちに、ピンタレストも使うようになり、気がつけば8年目。“五感派”の私にとって、すぐに言語化できない段階の感情や脳内のイメージをビジュアルによって整理してくれるピンタレストはとても便利です」 2021年に独立し、フリーになった彼女。同時にプロダクトブランド〈HOPE〉をローンチしたり、結婚披露宴のコーディネートもはじめ、活躍の幅を広げている。 「〈HOPE〉では自分が使いたいと思うものを展開しています。昔の人が使っていた“カンザシ”を、どれだけ現代のライフスタイルに溶け込ませることができるか考えた時にもピンタレストを利用しました。例えば、最初の段階では、漠然とカンザシを作りたいけれど、どういうデザインにしたいかは自分でも見えていないんです。でも、誰に使ってもらいたいか、どういう自分が身に着けたいかというイメージは頭の中にある。そんな時に、ピンタレストを開けば、どういったライフスタイルに自分が惹かれているのかがビジュアルとして上がっているので、本当に求めているディテールが明確になっていきます。そうやって探索していくうちに、想像を遥かに超えて、新しいマインドにも気づかせてくれるので、プロダクトのデザインも着地していきます。そんなふうに、求めているものをより具体的に形にしていくために、ブランドディレクションやウェディングコーディネートの仕事、そして自分自身のビジョンを思い描くビジョンボードをピンタレストで作ってます」。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。Learn 2022.12.26 PR
ホールに入ってすぐの天井には大きなシャンデリアが。
6630個(!)のクリスタルガラスはアルコールのしずくを表している。文筆家・塩谷舞による「今日、サントリーホールで。」Vol.1「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい。美術館で何かいい展示してないかな、映画館は……」。そんな日常の選択肢に加えて欲しいのが「コンサートホール」。クラシックといって構える必要はありません。純粋に音を楽しむのはもちろん、目を閉じてゆっくりと息を吸いながら、最近の自分のことを振り返ったり、あるいは遠くの場所や知人のことを思い出したり。ホールを出るころには心と体がふわっと軽くなる。文筆家・塩谷舞がサントリーホールで体験して綴る、「コンサートホールのある日常」。Learn 2022.12.26 PR
Pinterest_WEB連載-3見て、考えて、作って。ピンタレストはもの作りのパートナー。美しく盛り付けられたお菓子の写真が人気を博し、SNSで計15万人以上のフォロワーを持つフードデザイナーのAi Horikawaさんは、お菓子作りはもちろん、ビジュアル制作まで手掛けている。高校生(!)のときから10年以上使っているピンタレストは、もの作りの基礎体力をつけ、今のキャリアを築くためのツールであり「もの作りのパートナーです」という、彼女のピンタレストライフとは。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。Learn 2022.12.12 PR
Pinterest_WEB連載_#2-1ピンタレストは自分の視野や世界を広げるツール。人物やトラベル、企業などの広告撮影で活躍しているフォトグラファー、もろんのんさん。昨年、フリーランスになるまでは、会社員と兼業していた。そのキャリアの過程を聞いてみると。 「もともとカメラが好きというよりは、友人とのおでかけの延長線上に写真があったんです。学生時代から、『日光の紅葉を見に行こう』『国営ひたち海浜公園のひまわりを撮りに行こう』と、さまざまなところへ出向き、撮影したカットをSNSに載せていたら、Hanakoさんからお声をかけていただいて。写真の仕事を始めて8年目です」 独学でカメラを勉強してきた中、ピンタレストがおおいに役立ってきたそう。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。 Learn 2022.12.19 PR