言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第9回~ LEARN 2019.08.23

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。第9回はこの夏、夢中になったことについて。

「わが子を思う母のように」

 夏も終わりに近づいていますが、私の中でのこの夏の一番のハイライトといったら、ある番組の最終回を、悲鳴じみた歓声をあげ、あーでもないこーでもないという分析を交えながら見た4時間といえるだろう。あっという間で、見終わったあとは不思議と自分が歴史の証人になれた気がして、どっとした疲れと共に言葉にできない満足感で一杯だった。さあ、気になるその番組とは……『Produce X 101』。予め断っておきますが、テレ朝の番組ではありません(笑)。感度の高い皆さんなら聞いた事あるかもしれないけれど、まあまだ知名度は低いので少々説明させていただきます。

 読み方は「プロデュースエックスワンオーワン」。一言でいうと、韓国のオーディション番組。韓国のテレビ局「M net」が放送していて、向こうではものすごい人気らしい(日本でも若い女の子たちの中でかなりの人気)。内容としては、芸能事務所のいわゆる研修生たち、アイドルを目指している10代から20代半ばの男の子たちが101人集められて、厳しい練習や合同合宿、視聴者のオンライン投票によるオーディションを受けていき、人数が徐々に絞られていく。最終的に残った上位11人がアイドルグループとしてメジャーデビューするという王道オーディション番組。まあ昔から脈々とある典型的なプロットなのだが、激ハマりし暇さえあればずっと彼らを応援しているような夏を送っていた私。そのため、最終回はもはや涙ものだったといっても過言ではありません。
 私はこの番組の前シーズンの女の子版(ちなみにこの時デビューしたのがIZ*ONE)を後追いで見ていて、期せずして男の子版が放送されるというから、ずっと楽しみに待っていた。

 この番組の楽しみ方としては3通りあると思う。まずは、推しメン(アイドル用語ですが、自分の一番のお気に入りのメンバーという意味です)を早い段階で見つけて、その子がデビューできるかできないかハラハラしながら見守るという見方。二つ目はプロデューサー目線で、どの子とどの子が残っていくかなどを予想しながら見ていく見方。これはビジュアル、ボーカル、ラップ、ダンスなど色々な要素をバランスよくグループに収めていくための組み合わせを考えるようなチーム作りの楽しさがある。そして三つ目は、若い子が努力して夢を追いかけている姿をただ応援するという見方。何の気なしにふと甲子園を見ていたのだけど、そのうち情が入ってどちらのチームも勝ってほしいと本気で願う、あの瞬間に似ている。
 ちなみに、私は一つ目と三つ目の混合パターン。推しメンを応援しつつも、自分より十も年下の子たちが切磋琢磨している様子に心打たれていた。あと、その年代だからこそのひた向きさとキラめきに毎回やられていた。私だったら投げ出してしまうような厳しい鬼先生のレッスンを受けている最中で、また、順位が思うように上がらずカメラの前で涙を流していたあの子が、ひとたびステージに上がると人が変わったようにカッコいいパフォーマンスをするのだ…。ギャップ萌え…。パフォーマンスもとにかく毎回本当にレベルが高くて、見ごたえがある。群舞好きにはたまらない細かいフォーメーション移動も最高。あとみんなで合宿生活をしているから、二段ベッドでわちゃわちゃしてたりするのも可愛い…。余談ですが、なんであんなにパーソナルスペースが狭いの?可愛いからいいけど!

 韓国のアイドル事情はかなりシビアで、研修生を何年もやってもデビューできなくて、一度デビューしたけれど思うようにいかず再起をかけてこの番組に参加するようなお兄さんたちもいる。回を追うごとに彼らのバックグラウンドや個性が分かってきて、もう目が離せなくなってしまう。
 ですので、最終回はもう我が子を思う母のように祈りながら見ました。私の推しメンくんは見事デビューが決まりホッとした次第ですが、うかうかはしていられません。メジャーデビューして、ちゃんと人気アイドルになるまで応援していかなくてはいけないので(ヲタクあるあるの無駄な責任感)これからも彼らを応援していこうと思うのです。

Photo:moron_non
Photo:moron_non

(次回は9月13日更新予定)

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