#母を連れて行きたい店 銀座で母と過ごすとっておきの店。 (前編) FOOD 2023.04.18

銀座の端から端まであらゆる店を知り尽くした、フードエディターの渡辺“P”紀子さんが、母が喜ぶこと間違いなしの店をセレクト。価格も雰囲気も背伸びをし過ぎず安心できて、メニュー選びで迷わないコースがあることもポイントです。

後編はこちら

ESqUISSE(エスキス)

WATANABE'S COMMENT

まるでアートのような美しい料理。機微のわかる大人になったと母にアピールできる、繊細な味わい。

晴れの日を過ごすのにふさわしい、エレガントな空間で卓越した料理を。

2012年に並木通り沿いにオープンして以来、11年連続で『ミシュランガイド東京』で二ツ星を獲得し、国内外で注目を集めるフレンチ。やわらかな春の光が差し込む空間は、とっておきのランチタイムを母と過ごすのにふさわしい。エグゼクティブシェフを務めるリオネル・ベカ氏が手がけるのは、ランチ、ディナーともにシェフの創作によるコース料理のみ。
「常に大切にしているのは、食材の声を聞くこと。自分がどう料理したいかではなく、食材に触れて感じ取り、皿の上で表現するのが自分の使命」と、シェフ。

たとえば、シロアマダイ。鱗を立たせてパリッと焼き上げる調理法でも知られるが、繊細な身の食感こそ醍醐味とシェフは言う。口に運んだ瞬間に、舌の上で身がふわりとほどけ、上品な脂の甘さが口の中に広がり心を奪われる。

2006年に来日し、日本に暮らして17年。日本食材への造詣が深く、近年は発酵食にも取り組んでいるそう。
「日本にはすばらしい食材がたくさんある。積極的に料理に組み込んでいきたい。ワインも料理もテロワールがとても重要だから」

目下、シェフが心待ちにしている食材は山菜。創造を続ける春のガストロノミーを楽しみに。

ザ・ペニンシュラ東京コンチネンタルダイニング「ザ・ロビー」

WATANABE'S COMMENT

かわいくて楽しくておいしい♡今流行りのヌン活を母娘で。おしゃべりが弾むティータイムを。

あこがれのホテルでお花見気分、贅沢な午後のひとときを過ごす。

2007年の開業時から人気を博しているのが、〈ザ・ペニンシュラ東京〉1階〈ザ・ロビー〉のアフタヌーンティー。今の時季は、淡くはかない桜がテーマ。サワーチェリーを合わせたフォアグラのテリーヌ、桜餡をしのばせたチーズケーキなど。セイボリーとスイーツがそれぞれ6種類、バードケージスタイルのスタンドをかわいらしく彩る。今春は4年ぶりに、可憐な花を咲かせた桜の樹をディスプレイするため、お花見気分を味わうことも(4/2まで)。ラグジュアリーホテルならではの心地よいサービスと、美味の数々に、母と二人で時間を忘れて優雅なティータイムを。

銀座 若松(ぎんざ わまかつ)

WATANABE'S COMMENT

「子供の頃、おばあちゃんによく連れて来てもらったの」と甘味好きの母が喜んでくれそう。

銀座の歴史とともに時を重ねた、老舗甘味処であんみつに舌鼓。

銀座4丁目交差点のほど近く、銀座の中心で移りゆく街並みを見続けてきた〈銀座 若松〉。明治27年に汁粉屋として創業し、常連の要望で店主が考案したのが「元祖あんみつ」だ。昭和5年に誕生して以来、日本国民のおやつとして愛されている。北海道十勝産の小豆を毎日炊いて作るあんこをはじめ、寒天、赤えんどう豆、黒蜜も国産のみにこだわり、同じ製法で作り継がれてきた。時代に左右されることなく変わらず丁寧に作り続ける姿勢は、銀座の老舗らしい凛とした格好良さがある。それでいて、気軽に立ち寄りやすい休憩処であるのが、世代を超えて愛されるゆえんだ。

photo : Kenya Abe, Michi Murakami text : Yumiko Ikeda

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