【2026年最新】今巡るべき、ソウルの現代建築5選

【2026年最新】今巡るべき、ソウルの現代建築5選
【2026年最新】今巡るべき、ソウルの現代建築5選
CULTURE 2026.04.22
2026年に取材したばかりの最新の韓国情報! 建築好きでも意外に知らない、けど巡ってみたいソウルの名建築。建築家、ユ・ヒョンジュンさんに、一度は見るべきソウルの現代建築を教えてもらいました。
photo_Yuko Shimada coordination_Chiharu Fujimoto(TANO International) text_Hanako

人文建築家がおすすめする、ソウルの現代建築。

教えていただきました
ユ・ヒョンジュン
ユ・ヒョンジュン
建築家

1969年ソウル生まれ。延世(ヨンセ)大学校で建築工学を専攻後、マサチューセッツ工科大学大学院、ハーバード大学大学院にて建築設計修士号を取得。〈HyunjoonYoo+Partners〉デザイン総括。

国内外で40以上受賞経験を持ち、建築を通じて社会のあり方を考えるユ・ヒョンジュンさん。「ソウルには、都市や人々と繋がる建築がたくさんあります」

建築を見るとき、空間や素材など設計者の意図を知ると、より楽しい。現在建設中の「JYPエンターテイメント本社」新社屋の設計を担当し、「建築」を社会と繋ぐコミュニティと考えるユ・ヒョンジュンさんに、ソウルに来たら見てほしい現代建築と、その見どころを訊いた。

最初に挙がったのは韓国人建築家、チョ・ミンソクの作品。「〈Pace Gallery Seoul〉が入る『Le Beigeビル』は、伝統的な材料であるレンガをすばらしいディテールで仕上げています。この設計をきっかけにチョさんは少し『成熟した』と感じました。〈圓佛教 ウォンナム教堂〉は、制限のある素材や色味の中で、拡散光をうまく使っています」。尊敬するチョ・ミンソクからユさんは、「実験精神」を学んでいるそう。

次は、韓国最大コスメメーカー〈アモーレパシフィック〉の二棟。「本社ビルは韓国の伝統的な建築様式である韓屋のマダン(中庭)を高層化。マダンを配置することで異なる階の人たちが出会い、コミュニケーションが生まれるんです。〈北村 雪花秀の家〉は、高さが異なる二つの空間を繋げているのに、無理なく続いている点が大きな特徴」

最後は隈研吾が設計した〈Audeum〉。「ファサード(外観)の長さが違うアルミは一見無造作に思えますが、その差異が音程の差となり、建物全体としては一つの『音楽』を作る外装を完成させています」

ユさんのコメントを参考に、ソウルの建築を巡ってみよう。

ユさんの2025年竣工作品はこちら。

高敞ファン・ユンソク図書館
高敞ファン・ユンソク図書館

住所:高敞邑中央路340/340, Jungang-ro, Gochang-eup
Instagram:@gochang_library

世界遺産・宗廟(チョンミョ)から着想を得た木造建築の図書館。自然換気や採光システムを備えた環境配慮型の建築が特徴的で高敞の新たなランドマークに。

OAR美術館
OAR美術館

住所:金城路260-6/260-6,Geumseong-ro
Instagram:@oar_museum

新羅(シルラ)古墳の隣に位置し「3つの古墳と調和した美術館」をコンセプトにした現代美術館。パノラマ窓から屏風絵のように望める古墳の姿が美しい。

KEYWORD 1. MINSUK CHO

韓国を代表する建築家の一人、チョ・ミンソク。建物を都市の一部と捉え、周りと調和するデザインで知られる。

profile
チョ・ミンソク

1966年生まれ。延世(ヨンセ)大学校卒、コロンビア大学大学院修了。〈OMA〉勤務やニューヨークで設計事務所創立を経て、2003年にソウルで〈MassStudies〉設立。2014年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で「金獅子賞」受賞。

1. アートの街とリンクするギャラリービル。〈Pace Gallery Seoul〉設計:チョ・ミンソク(2021年改装竣工)

アートの街とリンクするギャラリービル。〈Pace Gallery Seoul〉設計:チョ・ミンソク(2021年改装竣工)
窓を覆うレンガはウォータージェットでカットされ、繊細なカーブの凹凸がある。

ソウルの現代アートの拠点・漢南洞にある世界的ギャラリー〈Pace Gallery Seoul〉。移転先に選んだ「Le Beigeビル」は2012年にチョが手掛けたもので、2021年のギャラリー内装の設計も担当。中央の中庭が周辺道路との繋がりを持ち、外壁や階段に使用された透かし積みのレンガは、リズミカルに波を打つ形状で外壁の重厚さに軽さを与えている。

information
Pace
Pace Gallery Seoul

住所:龍山区梨泰院路267/267, Itaewon-ro, Yongsan-gu
営業時間:10:00~18:00
定休日:日月休
入館料:入場無料
Instagram:@pacegallery

次回は4/26~6/5に、ピーター・アレクサンダーとメアリー・コースの個展を開催予定。詳細はHPにて。

2. 都市に開けた現代的宗教建築のかたち。〈圓佛教 ウォンナム教堂〉設計:チョ・ミンソク(2023年竣工)

都市に開けた現代的宗教建築のかたち。〈圓佛教 ウォンナム教堂〉設計:チョ・ミンソク(2023年竣工)
本堂に祀られる「一円相」は9mの白いスチールプレートをくりぬいた直径7.4mの円。

朴重彬(パク ジュンビン)が1916年に韓国で創始した仏教系新宗教「圓佛教(ウォンブルギョ)」。1964年に建てられたウォンナム教堂の建て替えをチョが手掛けた。いびつな敷地に建てられた建物は、コンクリートのファサードが現代的で従来の寺院建築の印象とは異なる。本堂には天窓があり、フィルターを通した優しい自然光を受けて、「一円相」が存在感を放っている。

information
圓佛教
圓佛教 ウォンナム教堂

住所:鍾路区昌慶宮路22ギル23/23, Changgyeonggung-ro 22-gil, Jongno-gu
営業時間:10:00~18:00
Instagram:@o.nam_weu.o

基本的には時間内なら敷地内出入り自由だが、法事などの際は立ち入りが制限される場合あり。

KEYWORD 2. AMOREPACIFIC

韓国最大化粧品メーカーの建築が面白い。ビルそのものを都市にした本社や、伝統建築を再構築した旗艦店。

1. 由緒ある韓屋の中庭を高層ビルで再現。〈アモーレパシフィック 本社〉設計:デイビッド・チッパーフィールド(2017年竣工)

profile
デイビッド・チッパーフィールド

1953年ロンドン生まれ。キングストン美術学校、AAスクールを卒業。1985年自身の事務所を設立。2023年「プリツカー賞」を受賞した。

由緒ある韓屋の中庭を高層ビルで再現。〈アモーレパシフィック 本社〉設計:デイビッド・チッパーフィールド(2017年竣工)
〈アモーレパシフィック〉本社のアトリウム。天井にある格子の空洞は5階まで続いている。左に見える大きな透明のバルーンは、現代美術作家、イ・ブルの作品。
Lee Bul,〈Willing To Be VulnerableーTransparent Balloon〉, 2025. © Lee Bul. Courtesy of the artist
由緒ある韓屋の中庭を高層ビルで再現。〈アモーレパシフィック 本社〉設計:デイビッド・チッパーフィールド(2017年竣工)
地下7階、地上22階の立方体ビル。5階の中庭には池があり、1階から天井を見ると水底が見える。

龍山(ヨンサン)のシンボル〈アモーレパシフィック〉本社。チッパーフィールドは都市に開けたビルでありビル自体が都市になるよう設計。一般の人も利用できる美術館やカフェを作り、5階、11階、17階には社員の憩いの場になる大きな空中庭園を設けた。伝統建築・韓屋のマダンから着想を得て現代建築の手法で表現している。

〈アモーレパシフィック美術館〉の展示。《Mark Bradford: Keep Walking》Courtesy of the artist and the Amorepacific Museum of Art
〈アモーレパシフィック美術館〉の展示。《Mark Bradford: Keep Walking》Courtesy of the artist and the Amorepacific Museum of Art
information
アモーレパシフィック
アモーレパシフィック 本社

住所:龍山区漢江大路100/100, Hangang-daero, Yongsan-gu
Instagram:@amorepacificgroup.official

地下1階~地上2階にはカフェやショップなど、3階は来客との会議室が入り社員以外も入場可。

2. 韓国の伝統美と現代的センスを調和した空間。〈北村 雪花秀の家〉設計:チェ・ウク(2021年竣工)

profile
チェ・ウク

1963年釡山生まれ。弘益(ホンイク)大学校建築学科を卒業後、ヴェネツィア建築大学(IUAV)でも建築を学ぶ。2000年〈ONE O ONE Architects〉をソウルに設立。

韓国の伝統美と現代的センスを調和した空間。〈北村 雪花秀の家〉設計:チェ・ウク(2021年竣工)
韓屋の1階が洋館では地下1階となる。かなり高低差のあった2軒を一つの店舗に生まれ変わらせた。

〈アモーレパシフィック〉のラグジュアリーブランド「雪花秀(ソルファス)」の旗艦店。チェは隣接する1930年代の韓屋と1960年代の洋館が共存する空間をデザイン。二つを遮っていた6mの擁壁を解体し、洋館に地下を増築。韓屋は骨組みはそのままにガラス張りのレセプションやギャラリーに改装し、伝統と現代の美が融合している。

韓国の伝統美と現代的センスを調和した空間。〈北村 雪花秀の家〉設計:チェ・ウク(2021年竣工)
マダン(中庭)が韓屋と洋館を繋いでいる。
information
北村
北村 雪花秀の家

住所:鍾路区北村路47/47, Bukchon-ro, Jongno-gu
営業時間:10:00~19:00
定休日:月休
Instagram:@sulwhasoo.official

「雪花秀」の販売は洋館の地下1階。洋館1~3階には〈OSULLOC(オスロック)〉のティーハウスも。

KEYWORD 3. NEO MUSEUM

世界から注目される美術館も多いソウル。2025年「ユネスコ国際建築賞」を受賞した、新感覚のミュージアムへ。

「音」にフォーカスした全く新しいミュージアム。〈Audeum〉設計:隈研吾(2024年竣工)

profile
隈研吾(くま・けんご)

1954年横浜生まれ。東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て1990年〈隈研吾建築都市設計事務所〉設立。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。

「音」にフォーカスした全く新しいミュージアム。〈Audeum〉設計:隈研吾(2024年竣工)
正面道路に入り口はなく、階段を下りていくと現れる。建物を体験してから入ってほしいという隈の思いから。
「音」にフォーカスした全く新しいミュージアム。〈Audeum〉設計:隈研吾(2024年竣工)
〈Audeum〉ツアー最後のラウンジでは約7,000席規模の劇場で使われるスピーカー「ミラーフォニック」で音楽を鑑賞。布で覆うことで、立体的な音響を演出する。

ヴィンテージのオーディオや蓄音機、オルゴールなどを展示する世界初の「音」をテーマにした博物館。外装は長さや太さの異なるアルミパイプをランダムに並べ、森の中のような光を生み出す。館内には優しい香りのヒノキの壁や柔らかい布を装飾し音を最大限に伝える演出をするなど、視覚だけでなく光、風、香り、音、五感で楽しむ特別な体験に。

information
Audeum
Audeum

住所:瑞草区献陵路8ギル6/6, Heolleung-ro 8-gil, Seochogu
営業時間:10:00~17:00
定休日:日~水休
入館料:入場無料
Instagram:https://audeum.org/

公式HP(韓国語・英語のみ)から要予約。20名ほどのツアー形式。

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