【江戸切子職人】三澤世奈さんのストーリー/「自分のやりたいことに素直に向き合い続ける」
2020.05.13

第2回 ハナコと考えるSDGs 【江戸切子職人】三澤世奈さんのストーリー/「自分のやりたいことに素直に向き合い続ける」

最近よく耳にするようになったSDGs(Sustainable Development Goals)という言葉。「持続可能な開発目標」と訳され、2030年までに“誰一人取り残さない”よりよい世界を目指して17の国際目標が掲げられています。それは政府や企業の頑張りだけでなく、私たちがもっと意識して毎日を“変えて”いくための課題でもあるのです。そこでハナコは、SDGsについて読者のみなさんと考える特集を企画しました。今回は“わたしらしく働く”ことをあきらめない、江戸切子職人・三澤世奈さんのストーリーを紹介します。
Hanako SDGS
Hanako SDGS / Hanako編集部

「政府や企業のだけのものではなく、私たちが毎日を変えていくための課題でもSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)。Hanakoはみなさんと一緒にSDGsについて考えていくために、様々な情報を発信していきます」

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夢を追いかけるということ。

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〈堀口切子〉の工房内。様々な工具を付け替えながら、集中して作業を行う。

東京・江戸川区。ここで伝統工芸・江戸切子の職人として日々作品を生み出しているのが、三澤世奈さん。職人歴年目にして、自身のブランド「SENA MISAWA」を展開している。現在約100名いる切子職人のうち、女性は15名ほど。その中でも若手の彼女は、伝統的な職人の世界で、自分の感性を信じ、新しい世界を切り開いている。「昔から工作が好きで、中高生の頃には、デコ電やネイルチップを友達に作ってあげていたんです。その時に喜んでもらえてうれしかったので、自分の好きなことで喜ばれる仕事をしようと、心に決めていました」

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切子はガラスの内側を覗いて切るため、不透明な色は見にくく、難易度が高くなる。

江戸切子との最初の出会いは大学時代。現親方〈堀口切子〉の堀口徹氏の作品を見て、その美しさと可能性に感銘を受けた。「その時点で弟子入りを志願したのですが、タイミングが合わなくて。大学卒業後にネイル関連の会社に就職はしたのですが、諦めきれずにHPをチェックしていたら、ある日、小さな文字で書いてあった求人募集を見つけたんです」そうして再び門を叩いたところから、三澤さんの職人人生が始まった。

「ブランドを出すことになったきっかけは、切子職人の展覧会に出品したこと。そこでは、伝統的な色や柄ではなく、不透明な色やマットな質感を取り入れて、自分が純粋にやりたいことを表現してみました。すると親方が、この作風を商品に落とし込んではどうか、と言ってくださったんです」最初は、自分のテイストが受け入れられるのか、不安もあった。しかし彼女には、自分の感性を信じ切れるだけの周囲の後押しがあった。
「個人的に作った作品をにアップしてみたら、友達からの反応が良くて。最終的には親方が面白いと評価してくださったことが自信になりました。小さくてもやりたいことをアウトプットすることは、一つの努力の形だと思います」

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「SENA MISAWA」の作品。伝統柄をアレンジしたもののほか、新たにシンプルな柄も考案。

今では、彼女の新たなテイストに惹かれた新しい世代にも切子の魅力が浸透してきている。また、ミシュラン掲載の日本料理店でも、彼女の作品が使われている。
「親方から教えていただいた伝統が、今の私を形作っています。だからこそ、一人じゃ何もできないことも自覚しています。そんな自分を認めると、やるべきことが鮮明に見えてくる気がするんです。この伝統を後世につなぐためにも、新しいやり方で新たなファンを作っていかなければ。そんな思いを持って、職人やブランドを続けています」伝統を重んじながらも、自分の感性を表現し続けること。それが彼女らしい、職人としての姿だった。

【わたしが影響を受けたもの】『ご近所物語』 矢沢あい

『ご近所物語』 矢沢あい
(集英社/完全版全4巻/各1,200円)

情熱的な主人公の実果子だけでなく、それぞれのキャラクターが、好きなことを仕事にすることに対して真剣に向き合い、奮闘する姿に感化されました。私の働き方や生き方に、刺激を与えてくれた名作です。

Profile/三澤世奈(みさわ・せな)

1989年、群馬県生まれ。2014年、〈堀口切子〉入社。2019年7月に設立したブランド「SENA MISAWA」では、“日常空間に心地の良いトーンの切子”をコンセプトに、今までにない新しい色や質感の切子を提案する。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について。

昨年、国際労働機関(ILO)が発表した日本における女性の管理職比率は、全世界平均27.1%に対してわずか12%。この国は女性にとってまだまだ働きにくい環境だといえます。今後、世界中が一丸となって、女性の力をもっと引き出せるような取り組みが進められていく中、私たちも自分の働き方についてポジティブに見つめ直す良い機会なのではないでしょうか。
Hanakoは“わたしらしく働く”ことをあきらめない、女性のストーリーを紹介します。

(Hanako1184号掲載/illustration:Nodoka Miyashita photo:Takehiro Goto , MEGUMI, Yoshiki Okamoto text:Makoto Tozukai, Rie Hayashi, Narumi Sasaki, Rio Hirai edit:Rio Hirai)

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