改めて知りたいiDeCoのこと。|働く女性のための転機の準備 WORK&MONEY 2023.07.12

人生には3つの大きな出費があるといわれ、そのひとつが老後の資金。個人の老後の資産形成を目的として、自分で運用しながら積立ができる私的年金制度iDeCoは、将来への不安を払拭する利用価値の高い制度かもしれません。

年金制度を利用した、老後の資金作り。

出典:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の特徴」https://www.ideco-koushiki.jp/guide/
出典:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の特徴」https://www.ideco-koushiki.jp/guide/

私たちの老後を支える年金は大きく3つある。国民年金や厚生年金など、国から受給できる公的年金、会社員だった場合に受け取れる企業年金、そして、今回紹介するiDeCoなど、投資信託を利用して積み立てて、自分で運用していく私的年金だ。「老後の資金作り用として国が準備したお得な制度を利用して、効率的に貯めていくのは大切なことです。iDeCoは60歳以降に引き出すことができるので、加入する年齢によっては長期的な運用になります」と、経済ジャーナリストの酒井富士子さん。
国民年金・厚生年金に加入していれば誰でも始められ、長く働く人が増えているので65歳まで加入できる。合わせて受給開始年齢も75歳まで延長された。
そしてiDeCo最大のメリットは、手厚い税制優遇制度だ。「拠出(積立)時の掛金が全額控除になるほか、運用益や60歳に一括で受け取る一時金も、65歳から年金として受け取る場合も一定額が非課税となります。収入が高い人ほど節税効果は高くなり、会社員か自営業者かによっても控除額が変わりますが、いずれも3段階で優遇を受けることができる仕組みです」
一方で注意しておきたい部分もある、と酒井さん。「一度始めると途中で解約はできず、積立も60歳までやめられません。息切れしないように、いつ始めるのか、月々の掛金をいくらに設定するのかが重要です。投資なので、最低15年は続けてほしいですね」

iDeCoの3つの特徴

1.65歳になるまでの国民年金・厚生年金加入者が入れる。
2.積み立てた資金は60歳から引き出せる。
3.積立時、運用時、受け取り時の3段階で税制優遇がある。

HOW TO START 申し込み〜開設の5つのステップ。

STEP #1
加入資格を確認しよう。

STEP #2
掛金の上限額を確認しよう。

STEP #3
運用する商品を選ぼう。

STEP #4
口座を開設する金融機関を決めよう。

STEP #5
口座開設を申し込もう。

人生設計に合わせて、初めは無理のないスタートを。
iDeCoは年金制度の一種。国民年金・厚生年金を払っている人が対象で、開設時はマイナンバーのほか基礎年金番号が必要なので事前に控えておこう。年金手帳や、日本年金機構からの送付書類に記載されている。掛金は国民年金の被保険者区分や企業年金の違いで限度額が異なり、年一回変更ができる。運用する商品は大きく2種類。定期預金や保険など、あらかじめ決められた金利で運用され、原則元本が保証される「元本確保型」と、投資信託など元本に変動があり資産が増えるチャンスも大きい「元本変動型」。リスクやリターンを考えながら組み合わせることも可能だ。金融機関は、口座管理手数料が安いところ、スマホ一台で口座開設が完結するネット証券がおすすめ。手数料以外に商品のラインナップや数も見ておこう。ここまでの準備が整ったら、金融機関から加入申し込み書類を取り寄せて作成。会社員の場合は、勤務先に書いてもらう書類もあるので不備のないように。本人確認書類とともに金融機関へ送付し、運営管理機関を通した国民年金基金連合会の審査1~2カ月を経て、個人型年金加入確認通知書、口座開設通知、パスワード設定のお知らせが届き、完了となる。

FOCUS#1 職業によって掛金の上限が変わる!

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掛金の上限が高い自営業者はお得!?
iDeCoの拠出額は月5,000円から1,000円単位で自由に設定できるが、ポイントは被保険者区分によって掛金の上限額が異なること。自営業者などの第1号被保険者は掛金の上限が高い。これは、第2号被保険者である会社員・公務員は国民年金+厚生年金の二階建てで受け取れるのに対し、自営業者は国民年金のみで受給額が少ないためだ。その差額を第1号被保険者はiDeCoを活用して埋められるので老後の資金作りができる。年一回、掛金の額を変更することは可能だが、途中で解約することは原則できないので要注意。無理のない金額から設定しよう。転職して会社が替わったり、自営業から会社員になって被保険者区分が変わる場合は、変更手続きを行わないと口座凍結の恐れが。掛金もそれに合わせて引き下げる必要がある。掛金は全額社会保険料控除として所得控除されるので、年末調整や確定申告も忘れずに。

FOCUS#2 結局いくらの節税になるの?

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特に節税しにくい会社員にとっては、積み立てた掛金が全額所得控除になるのは大きい。では実際に加入した場合、掛金の所得控除による税控除額がどれくらいになるのか。iDeCoの公式サイトが運営する、
かんたん税制優遇シミュレーション(https://www.ideco-koushiki.jp/simulation/)で計算してみよう。Aさんの場合、年間27,000円の節税を60歳までの28年間続けると約75万円も節税に。

illustration : naohiga text : Ami Hanashima

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