あなたはどう思う? 精神科医・星野概念のあまから恋わずらい No.21「学び」 LEARN 2019.11.03

Hanako本誌で連載中の精神科医・星野概念さん「あまから恋わずらい」を掲載。今回は、1178号「自分を高める学びの場へ」特集よりお届けします。

今回のテーマは、「学び」と恋。

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今回のHanakoの特集は「学び」がテーマ。
「学び」で僕が最も楽しかったのは、医師国家試験の勉強です。試験なので、覚えることはたくさんでしたが、同じ目標を持って学ぶ仲間が多くいました。時には勉強を中断して出かけ、「やばい、時間を無駄にした!」と言って焦ったりするのも、今思うと遊びの一環のようです。

僕には勉強もサボりもずっと共にしていた二人の男友達がいて、そのうちの一人には、気性が激しめの恋人がいました。ある日我々は、勉強が一段落したらみんなで古着屋に行こうと計画しました。特に恋人がいる彼は、服が何より好きで、日頃の自分への褒美に革ジャンを買うと息巻いていました。しかし、まさに出かけようとしたその時、恋人から連絡。30分後に校門で待ち合わせと聞いて、我々二人は延期せざるを得ないと肩を落としましたが、彼だけは革ジャンを諦めませんでした。ただ、大学は神奈川県相模原。30分で渋谷まで往復できるはずがありません。結局、ジャストサイズの革ジャンに身を包んだ彼は、1時間遅れで校門に到着。すぐさま彼女に深々と謝罪をしました。でも当然、返ってきたのは平手打ちです。さらに、「おい革、お前何考えてんだ」と人間ではなく革呼ばわり。彼を見下ろすナイフのような視線を僕は忘れません。その彼らはなんと、のちに結婚しました。あまからの恋とはこういうこと……。ではないか。

星野概念(ほしの・がいねん)/精神科医として総合病院に勤務。雑誌・webでの執筆業や、音楽活動も行う。いとうせいこう氏との共著『ラブという薬』が発売中。

(Hanako1178号掲載/illustration:Misaki Tanaka text:Gainen Hoshino)

☆『精神科医・星野概念のあまから恋わずらい』No.20「ファッション」はこちらから。

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